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ROJAC
About ROJAC/ロヤッツについて
産地:スロヴェニア、プリモルスカ地方、
イストラ半島、イゾラ
創業:19世紀
畑面積:15.5ha
特徴:2002年〜有機農法、瓶内二次も補糖なし
天然酵母を使用、部分的にビオディナミを採用
ユーロリーフ・オーガニック認証取得
遊び心のある気まぐれ野生児・ウロシュ ロヤッツ
“スロヴェニアで最も美味しい赤ワインを造るのはオレだ!”
ー Uros Rojac
白の銘醸地で赤ワインに挑み続けるワイナリー
スロヴェニア西部・プリモルスカ地方のイストラ地区。その海辺の港町イゾラに、家族代々ワイン造りを続けてきたワイナリーがあります。それがROJAC(ロヤッツ)です。海から内陸へ進むとなだらかな丘が連なり、その頂には黒ぶどうの畑が広がります。ここで、ロヤッツは何世代にも渡って「赤ワイン」を中心に挑戦を続けてきました。
1980年代、スロヴェニアでは赤ワインの品質が悪く、コーラで割って飲むというような“苦肉の策”が当たり前に行われていた時代がありました。生産者にとっては悔しい話です。月日は流れ、ワイン全体の品質は向上しましたが、今でもスロヴェニアではほとんどのワイナリーが白ワイン中心で、赤ワインの種類はごくわずか。国内全体として、赤と白の比率はおよそ3:7。多くの人が価格や選択肢の幅から、自然と白ワインを手に取ります。同じ造り手の赤白が並んでいたら、9割のスロヴェニア人は白を選ぶでしょう。
そんな「白ワイン大国」で、あえて赤ワインの可能性を追求し続けてきたのがROJACです。60年以上も前、現当主ウロシュ・ロヤッツの祖父の時代からその挑戦は始まっていました。ウロシュは友人のワイナリーの赤ワインを「白やオレンジは美味しいのに、赤は正直このレベルだもんな」と、ストレートに評してしまうほど、自身の赤ワインに対して強い誇りと情熱を持っています。その厳しい評価の裏には、自らが“美味しい赤ワイン造り”に人生をかけてきたという信念があるのです。白が主流の国で、あえて赤にこだわり抜く。その姿勢に、私たちは敬意を抱かずにいられません。
赤ワインの最適地「スロヴェニア・イストラ」
スロヴェニアは南西部でアドリア海に面し、イストラ地区はその地中海性気候の恩恵を受ける特別な土地です。真夏の強い日差し、朝晩の寒暖差、海からの風が吹き抜ける丘の斜面。こうした条件が揃うことで、酸と糖をしっかり含んだ上質なぶどうが育ちます。実際、スロヴェニア全土の赤ワイン生産量のうち、46%がこのイストラ地区で造られています。中でもロヤッツが主に使用するのは、スロヴェニアで最も栽培されている黒ぶどう品種「レフォシュク/Refošk」です。この品種のルーツはローマ時代よりも前。タジキスタンやウズベキスタンから伝わり、やがてイタリアにも広がり「レフォスコ」として知られるようになりました。
ウロシュは、首都リュブリャナの大学でバイオ工学を学びながら(※時にバイク事故も起こしながら)、レフォシュクをテーマに論文を執筆。その内容が議論を巻き起こしたほど、彼にとってレフォシュクは特別な存在です。ロヤッツの畑の平均樹齢は30年。果皮の色が濃く、酸味が豊かで、糖度計で30度にも達する果汁は非常にバランスのとれた味わいを持ちます。また鉄分にも富んでおり、健康な果実を生み出す力強い品種でもあります。ロヤッツではぶどう1本あたりの収量を約1kgに抑え、高品質を維持しています。
伝統と哲学が息づく醸造法
醸造では、天然酵母のみを使用。温度管理を行わず(25〜30℃)、開放型の大樽でおよそ2週間かけて発酵を行います。毎日4時間、かい棒で丁寧に手動パンチングダウン(果帽を果汁に沈めて成分を抽出する作業)を行い、果皮の色や成分をじっくりと引き出します。発酵後は、キュヴェによって18ヶ月〜それ以上、フレンチオークとスロヴェニアオークの古樽、そしてステンレスタンクを併用して熟成。新樽は使用しません。なぜなら、樽の香りがワインの個性を覆い隠してしまうからです。また、熟成中に自然と蒸発する分の補酒(リザーブワインによる補填)も極力控えます。さらに6ヶ月間、ステンレスタンクで静置して自然沈殿を待ち、フィルターをかけず、上澄みだけを丁寧に移し替えます。瓶詰めのタイミングは、月の満ち欠けなど自然のリズムを大切にするビオディナミのカレンダーに従い、月明かりの下で行われます。
ウロシュ・ロヤッツという人物について
「スロヴェニアで一番美味しい赤ワインを造るのは、自分たちだ」。そうウロシュは迷いなく言い切ります。それを裏付けるのは、口にした瞬間に思わず笑みがこぼれるほどの完成度と、熟成によってさらなる進化を遂げるポテンシャルです。ウロシュの真摯な姿勢と徹底したこだわりには、心を打たれます。彼との出会いは2017年10月、リュブリャナで開催されたワイン展示会でした。弟のプリモシュと話す中で赤ワインの試飲をしたとき、「これは本当に美味しい。造り手に会いたい」と強く感じたのを今でも覚えています。その場で兄がコペルにいると聞き、「鉄は熱いうちに打て」とばかりに即アポイントを取り、ワイナリーを訪問。当時のウロシュはまだ若く、細身でスラッとした印象の好青年(※今と比べてですが!)でした。セラー見学と試飲の後、彼と熱く語り合い、「この人は本物だ」と確信しました。「必ず注文するから、待っていて!」と伝えたものの、当時の365wineにはまだ輸入や販売の力が足りず、すぐには取扱いができませんでした。3年後、ようやく会社の体制を整えて初めてのオーダーを出し、今では継続的にお取引をさせていただいています。
型破りで自由、でもワインに一切の妥協なし!
ウロシュという男、ただの造り手ではありません。スピード狂で、お酒の席ではやんちゃが過ぎ、口も悪ければ喧嘩っ早い。結婚も4回しているという、まさに「型破り」。けれどそんな彼がワインの話になると、目の色が変わります。情熱とこだわりの塊のようなその姿勢には、一切の妥協がありません。セルビアから来た労働者たちにも、彼の厳しさがビシバシと伝わります。普段は不仲と言われるKABAJのジャン・ミッシェル・モレルでさえ、「彼のワインには一切のミスがない」と密かに称賛するほど。ROJACの赤ワインは、スロヴェニアの赤を語る上で絶対に外せない存在です。
そしてもうひとつ。アンフォラで仕込まれたオレンジワインも、これまた素晴らしい仕上がりです。誰が飲んでも美味しいと頷く、完成度の高いワインです。ぜひ、ご賞味下さい♩
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