FOOD OF SLOVENIA


WINE & FOOD

 
 365wineはスロヴェニア専門のインポーターなので、スロヴェニア料理に関してもよく聞かれます。ワインと切っても切り離せないのが食ですよね。私たち日本人にとっては馴染みのない国なので、どんなお料理なのか想像が付きにくいかもしれません。


 世界地図を見て頂けたら少しはイメージが湧くかもしれません。西は北イタリア、北はオーストリア、ハンガリー、南はクロアチアに囲まれています。アルプス、地中海、パンノニア、そしてカルストの4つの特色ある地方から成り立ち、それぞれの地方は国外からも影響を受けつつ、異なった食文化が育まれてきました。
 

 素材そのものを活かした味付けのスロヴェニア料理は、辛い刺激や強烈な香味などはなく、どの地方のお料理もマイルドな味付けで、ほっこりとした優しいイメージです。ソーセージ、ハム、サラミ、チーズをはじめとした保存食のオンパレード。野菜、キノコ、雑穀や豆がたっぷり入った熱々のスープ。内陸部では蕎麦の消費量が日本の1.5倍です。蕎麦実や粉を使用した素朴な付け合わせ、おかゆ、ダンプリング。そしてパンやお菓子に至るまで、どれも優しい味わいです。
 

 日本で唯一のスロヴェニア料理専門店が、京都の太秦にあります。その名もピカポロンツァ(てんとう虫の意)!!スロヴェニア人のイゴール・ライラ シェフと、その奥様の智恵さんが35年切り盛りしているレストランです。お店で出す食材には、愛情たっぷりに育てた有機野菜を用います。日本人の味覚にぴったりとはまり、初めて食べるのに何故か懐かしく感じる、そんなお料理を提供してくれます。中欧の小国で大切に守られてきた郷土料理の数々を、是非ピカポロンツァで味わってみて下さい!

 

ピカポロンツァのHPはこちら↓
http://www.ne.jp/asahi/pika/polonca/



 

それではピカポロンツァで頂いた、スロヴェニア料理の食レポいってみましょう♪



 


雑穀のクラッカー上には焼きナスのディップが乗っています。焼きナスと同様に調理しシンプルに味付けをしました。素朴な味わいです。現地ではパプリカでもディップを作ります。旬の時に大量に仕込んで保存するのが一般的です


 


 


オードブルは自家製のパテと有機野菜の4種盛りです。ポークとハーブの田舎風パテ ホースラディッシュソース添え。複雑で奥ゆきがあります万願寺とうがらしのスロヴェニア風マリネは、ピカポロンツアの夏の定番メニューです。たっぷりのオリーブオイルとワインビネガーが万願寺とうがらし独特の甘みを引き出します。小さな赤い実は自家製セミドライトマトのオリーブオイル漬けです。凝縮感がたまりません。糖度の低いサラダメロンはあっさりとしたマリネに。パテの中央は4色野菜のサラダ。どれも素材の味が生きています。




 


蕎麦粉のパンです。内陸部では蕎麦がお料理やデザートなど幅広く使われています。


 






今回のスープはレモン味です。スロヴェニアの首都であるリュブリャナの伝統的なレモンスープをピカポロンツァ風にアレンジしたものです。角切りのお野菜がいっぱい入っています。爽やかで初夏〜晩夏にはぴったりのお料理です。



 




続いてはギバニッツァ。具材を何層にも重ねてオーブンで焼いたスロヴェニアでもポピュラーな料理です。りんご、ポピーシド、クルミ、カッテージチーズなどを使った、お菓子バージョンもありますが、いずれも重ねて焼き上げたものがギバニッツァです。今回はカッテージチーズと3色野菜(玉ねぎ、ブロッコリー、パプリカ)のオリジナルギバニッツァ。まろやかで優しいお味です。付け合せの奥の白い野菜は、キスラ・レパです。酸っぱいかぶらの意味です、ザワークラウトと同じ方法で発酵させたかぶらです。手前の黄色いダイスはズッキーニのマリネ。シンプルでありながらも発酵食品の旨味があります。



 
 

こちらはドーナツ形のソーセージの2種盛り。白いのは蕎麦の実の腸詰アイドウカ。蕎麦の実がプチプチと楽しい食感です。黒いのはブラッドソーセージ、クルヴァヴィツェ。大麦が入っていてユニークな歯応えです。下に惹かれているのはザワークラウトです。なんだかアルザスやドイツを彷彿とさせますね。クランスカ・クロバサという名のソーセージは、最も有名なスロヴェニア料理です。
 
 

 




パンプキンシードオイルを使用したスロヴェニア風じゃがいもサラダ。ビタミンEがたっぷりで抗酸化作用も期待できるこのオイルは、サラダやアイスクリームにかけて頂きます。きな粉のようなホクホクとした印象。滋味に溢れ、この芳ばしいさがやみつきです。






季節のシチューは、豚と牛を合わせて煮込んでいます。旬のアレンジで新鮮な取れたてナスのソテーが添えられています。お腹が満たされるだけではなく心も満たされます。








ここからがデザートです。トルコからスロヴェニアに伝わったバクラワ(baklava)、今回はクルミとレモンのバクラワです。現地でも親しまれている庶民的なスイーツです。









スロヴェニアの国民的ケーキであるプレックムルスカのギバニッツァの味を再現したふるさとのチーズケーキ。りんごがふんだんに使われているのでさっぱりとした後味です。たっぷりのけしの実がアクセントなっています。







 
大人のデザートいちじくの赤ワイン煮。数種類のハーブと赤ワインで煮込みました。アイスクリームと合わせて頂きます。優しい味わいのスロヴェニア料理には、同国の優しいワインがっぴったり合います。
 




 
最後にライラさんご夫婦です。




スロヴェニア政府観光局が発行している冊子「スロヴェニアの食」では、スロヴェニア料理について詳しく解説されています。

 




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 スロヴェニア観光局の「ガストロノミー」についてはこちらからどうぞ。スロヴェニアの郷土料理のレシピを紹介しているHP(英語)。「HOMEMADE SLOVENIAN FOOD」はこちらからどうぞ。世界230ヶ国を旅して各国の料理を取り上げているHP「旅して」では、圧巻の2542料理が掲載されており、スロヴェニア料理もご紹介されています。





 



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また、SLOVENIAN WINE ROADS(英語版)では、各ワインリージョンについて&郷土料理も掲載されています。語学に自信のある方はご覧下さい。ここからはスロヴェニアワイナリー直伝のスロヴェニア料理のレシピをご紹介しましょう。





 

【スロヴェニア料理Vol.1】
Pedoci v omaki na belo ・ムール貝の白ワインソース

秋冬はスロヴェニアの海岸にも、柔らかなムール貝が集まります。現地バージョンは他の貝も入ります!
仕上げにムール貝の出汁(ジュース)にパン粉を入れるのがポイント!シンプルですが最高の調理法です。

【材料】2人分
ムール貝 1kg
白ワイン 100ml
オリーブ油 大2
ニンニク 1片
パン粉 1/2カップ(ニンニクとパセリを合わせて)
パセリ 適量
こしょう 適量

【作り方】
[1]ムール貝をたわしで擦り洗いし、足糸(そくし)を引っ張って取り除く。
[2]深鍋にみじん切りニンニクとオリーブ油を入れて火にかける。
[3]ムール貝と白ワインを入れて蓋。蒸しあがって口が開いたら取り出す。
[4]残ったジュースにパン粉と刻んだパセリを加えて30秒ぐらい煮る。
[5]お皿に盛って完成。

フレッシュハーブがおススメです。貝は火を通し過ぎると縮みます。
貝1枚をスプーンのようにすくって、ジュースを頂くのがスロヴェニア流。
パンもたっぷりのジュースに浸して頂きますよ。
ジュースは余すところなく〆として、パスタやリゾットにもOKです。
ミネラル豊かなムール貝の白ワインソースはスロヴェニアワインと頂きました。
マルバジア、ピノグリ、ピノブラン、シュナンブランともバッチリ合います。






【スロヴェニア料理Vol.2】
ロラーダ・Rolada

スロヴェニアの素朴なロールケーキのご紹介です。
小麦粉を使用せず、刻んだクルミとメレンゲで作っているヘルシーなお菓子です。
生地はしっとりクリームは爽やかで、甘味がが苦手な方でも美味しく召し上がて頂けます。

【材料】1本分
卵黄 4個分
卵白 4個分
砂糖 大さじ5と1/3
クルミ 50g
サワークリーム 90g
ヨーグルト 90g
ブランデー 小さじ1
水 小さじ1

[1]サワークリーム90gに同量の水切りしたヨーグルトと砂糖大さじ1を加え、泡だて器で混ぜる。冷やしておく。
[2]クルミ50gはフライパンで炒って細かく刻む。卵黄4個、砂糖大さじ2と混ぜ合わせる。
[3]卵白4個に砂糖大さじ2を入れ、メレンゲを作る。?を混ぜる。オーブンを180度に余熱する。
[4]クッキングシートを敷いた鉄板に生地を平らに流し込む。オーブンで15分焼く。焦げそうになったら、アルミホイルをかぶせる。
[5]焼けた生地にブランデー小さじ1、水大さじ1、砂糖小さじ1のシロップを塗り、サワークリームを挟んで巻く。冷蔵庫でしっかりと冷やして出来上がり。

コツはクルミを細かく刻む、メレンゲをしっかり泡立たせる事ぐらいです。
寝かせて翌日〜1週間後の方がしっとりとしていて超絶に美味しいです。
簡単なので作ってみて下さい。スロヴェニアワインも一緒にどうぞ。






【スロヴェニア料理Vol.3】
Prazen krompir・ジャガイモのソテー

スロヴェニアではお肉などのメイン料理の定番の付け合わせです。
ジャーマンポテトのベーコン、ソーセージ、ニンニクなしのバージョンです。

【材料】2人分
ジャガイモ 3〜4個
玉ねぎ1/2個
ラードまたは油 大2〜3
塩 適量

【作り方】
[1]皮付きのまま使うのでジャガイモはよく洗って玉ねぎはスライスしておく。
[2]ジャガイモは火が通るまで茹でる(15分程度)。その後3〜5mmに切る。
[3]フライパンにラード(油)を入れ、弱火で玉ねぎを10分くらい炒める。
[4][3]にジャガイモを加えて塩をふり、20分キツネ色になるまでソテーして完成。

玉ねぎとジャガイモが甘くて芳ばしく箸が止まりません。付け合わせの枠を超えた立派な一品料理です。
ワインはスロヴェニアのオレンジワイン、白ワインなどオールマイティにイケます。








 

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大野みさき

大野みさき
【プロフィール】 元ANA国際線CAが渡仏し1年間ワインを学びながらヨーロッパ各国の生産者を訪ねる。帰国後は365wine株式会社を設立。オーナー自らがスロヴェニアへ赴き、生産者とは家族ぐるみの付き合いで収穫や醸造のお手伝いもする。ワイン講師、輸入講座、大手企業のライター業も引き受けるが、1番の楽しみはインスタグラムLIVE!ワイン愛は誰にも負けない。趣味はマリアージュ研究と醸すこと(発酵食品作り)、最近はご無沙汰の一人旅(中東を中心に世界47カ国を単身訪問)も再開したいと願う。

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