ワインの豆知識

このコラムは「知って得するワインの豆知識」です。飲み会で披露してこれであなたも自他共に認めるワイン通ですよ。




第13回   スパークリングワインのウンチク

はい、表題の通り、今夜使えるスパークリングワインのウンチクです。    



《スパークリングワインのガス圧は大型車のタイヤと同じ》

EUの基準では3気圧以上のものを、発泡性ワイン・スパークリングワインと定めています。シャンパーニュは5〜6気圧あります。それは大型車のタイヤと同じぐらいの圧力です。弱発泡性ワイン、セミスパークリングワインで1〜2.5気圧ぐらいあります(仏:ペティヤン、伊:フリッザンテなど)。ちなみに1気圧未満の微発泡性ワインはスパークリングワインにはみなされません。 また、高いガス圧にも耐えられるよう、ボトルは厚めに設計されています。スティルワインよりもボトルの重量が重いのはこのためです。ボトル底の凹み部分も他のワインと比べて、深くなっているのが特徴です。反り返りによってガスの圧力を分散するのが目的です。ダム壁が反っている原理と同じですね。また、気圧でコルク栓が飛び出さないよう、コルクは針金でしっかりと固定されています。  

 

《コルク栓による飛行距離の世界記録は53.2m》

シャンパーニュのコルクを飛ばしちゃったのです。その距離は53.2m!!25mプールをターンして戻ってくるディスタンスを!1988年アメリカニューヨーク州での記録です。思いっきり瓶を振ってポーンと時速50kmのスピードでコルクは飛んで行ったそうです。危険なので絶対にマネしないで下さいね。一般的にスパークリングワインを抜栓する時は、音がなるべくしないように、プシュと抜くのがスマートです。その時の音は「天使のため息」と呼ばれています。ホームパーティーなどでは、お祝いことで飲まれることが多いので、豪快にポンッと開けても良いですね。F1のシャンパンファイトは、大いに盛り上がっちゃって下さい。    

 

《スパークリングワインの甘辛は砂糖の添加量によって決まる》

スパークリングワインの最終工程には、瓶口に溜まった滓を取り除く作業があります。その工程を”滓引き”と言います。滓を引いた後の目減り分には、砂糖が添加されたリキュール(ワイン)を足します。この砂糖の添加量により、ワインの甘辛が決定します。補充リキュールのことを「門出のリキュール」、砂糖の添加を「ドサージュ」と呼んでいます。いとも簡単に味わいを簡単にコントロールできるので人為的な飲み物です。砂糖を添加をしないスパークリングワインは、下記の用語をラベルに記載します。


・ドサージュ ゼロ Dosage zero
・パ ドゼ  Pas dose
・ブリュット ナチュール  Brut nature    

 

《ワイングラス1杯の泡の数 なんと220万個!》

グラス1杯(100ml)のスパークリングワインの中には、約220万個の泡が含まれています。6気圧のシャンパーニュだと100ml中に0.7mlの炭酸ガスが溶けています。グラスの底から立ち上る泡が、連なって紐(コルドン)のように見えるのは、良いスパークリングワインの証です。余談ですが、冷やせば泡は抜けにくくなります。抜栓したらすぐにストッパーをして、ワインクーラーか冷蔵庫に入れましょう。今夜から飲み会やデートで使ってみて下さいね。あっ、その時はスパークリングワインはマスト ハブですよ。
 




第12回   発酵層によるスタイルの違い

ワインを発酵、熟成させるときの容器にはどの様なものがあるでしょうか。発酵槽には樽やステンレスタンクなど様々なものが使われますが、発酵容器の違いがワインの味わいの違いにも影響します。造り手がどんなタイプのワインに仕上げたいのか、そのスタイルによって使用する容器が変わってきます。  

ワインを発酵、熟成させるときの容器にはどの様なものがあるでしょうか。シャトー ヴァランドローの醸造所には多様なタンクが並びます。(左からコンクリートタンク、木樽、ステンレスタンク、コンクリートタンク、ステンレスタンク)


《赤ワイン・白ワイン》
ステンレスタンク発酵槽の中では最も酸素を通さない嫌気的な環境がステンレスタンクです(イノックスタンク)。ステンレスタンク仕様だと、ワインはフレッシュでフルーティ、かっちりとしたシャープな印象です。タンクからの影響もないので香りも味わいもよりシンプルな仕上がりです。


  樽2
シャトー アンジェリュスのステンレスタンクです。タンクが台形になっている理由は、醸しの際に炭酸ガスで浮き上がってきた果皮(果帽)を管理しやすいようにだそう。  



  樽5
2階から撮影したシャトー ムートンのステンレスタンク。温度も状態もコンピューターで厳格に管理されています。      


《主に赤ワイン》
木製タンク木の影響を多少受けますが、容量が大きいのでそれほど顕著には表れないです。出来上がったワインは好気的で柔らかな印象です。


  樽3
シャトー ムートンの3mもの巨大な木製タンクです。発酵槽が目視できるよう、縦一直線にガラス張りとなっています。     



コンクリートタンク珪酸カルシウムが微量溶け出しますが、ワインはさほど影響を受けません。耐熱性がありステンレスタンクよりも高い温度をキープできるので、香りを閉じ込めます。ニュートラルでどっしりとしている印象です。辛口の白ワインにも用いられたりします。


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バレンシアのボッテガ ロスフライレスのコンクリートタンクです。  

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こちらは先ほどのタンクの上部です。中央に佇んでいるのは、女性醸造家のマリア。このスペースでぶどうを踏んで、投入口から容器に足で落とします。    



アンフォラ素焼きの陶器で出来ています。大きさもまちまちです。土に埋めたり、そのままカーブで使用したりします。蓋をした場合、非常に嫌気的になります。自然派の造り手が使うことが多いので、ジョージアのオレンジ(白)ワインなど、味わいもユニークでミステリアスなワインに仕上がる傾向があります。    


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マドリードのセルべロスのアンフォラです。2m以上の大きさです。  



《赤ワイン・白ワイン》
大樽500Lの大容量で木の影響が少なく樽のニュアンスは抑え気味です。古樽だと殆ど樽材の影響はありません。ワインは好気的な環境です。   



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スロヴェニアのJamsek社が1887年の創業以来使い続けている大樽です。      



小樽…200〜230Lと樽の液体との接触面が広いので、木の影響が大きく樽感が顕著に表れます。新樽だとより樽の効果は絶大。小樽の新樽だとよほど果実が完熟して品質の良いものでないと樽感が厚ぼったくなってしまいます。ブルゴーニュの高級白ワインや赤ワインに使用されます。  


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ブルゴーニュの名門ドメーヌ クロードデュガのカーヴです。    



樽を用いる目的は、樽材由来の風味成分(渋味成分のタンニンやバター、バニラ、ナッツ、コーヒー、スモーク香)の付与とステンレスタンクと比べて気密性が低いのでワインに微量の酸素を供給することができます。酸素によってワインは好気的な環境となり色素や味わいが濃く安定した状態になります。樽を使用したワインはより複雑味があり長期熟成タイプが多いですが、アメリカやチリなどの新世界の安価なワインには、早飲みタイプでもオークチップやティーパックなどが使われています。

 




第11回   ワインの税金

税金


今日はワインの税金についてです。まずはじめに、空港や港に到着した輸入貨物は保税エリア(保税倉庫)に搬入されます。保税は輸入貨物を法の規制下に置いて税収を図ることを目的としています。保税エリアに安置しているアイテムを保税品と言います。例えば、保税倉庫内の輸入貨物などです。かつて航空会社のCAとして勤務していましたが、航空機内ならサービスカートに搭載されている、ビールやワインなどのアイテムも保税品です。保税品は税金がかかってない状態です。そのため、到着地ではカートを施錠して保税品が機外に持ち出されないよう努めます。 


税関のHP 保税地域の概要はこちらをご覧下さい→  http://www.customs.go.jp/hozei/  


話が逸れましたが、荷主は保税倉庫から貨物を引き取る際、国に納税をしなければなりません。アイテムによってカテゴリーや納税額は細かく分かれています。ワインの場合はアルコールに分類されるので酒税も支払わなければなりません。下記の4つの税金を納めなければなりません。  

 
・関税 ・酒税 ・消費税 ・地方消費税

 
 表は税関のHPから引用した酒類にかかる関税と酒税です。 酒類にかかる税率。
分類 該当する酒類 関税 酒税
一般税率 簡易税率 (注1) アルコール分 税率
発泡性酒類 ビール 無税 20度未満 220,000円/KL
発泡酒 (麦芽比率50%以上) (注3) (注3) 10度以上 220,000円/KL
発泡酒 (麦芽比率25%以上50%未満) (注3) (注3) 10度未満 178,125円/KL
発泡酒 (麦芽比率25%未満) (注3) (注3) 10度未満 134,250円/KL
その他の発泡性酒類(上記以外の酒類で発泡性を有するもの) (注3) (注3) 10度未満 80,000円/KL (ホップ等を使用した酒類のうち一部を除く。) (注4)
醸造酒類 ワイン(果実酒) 15%又は125円/Lのうちいずれか低い税率。ただしその税率が67円/Lを下回る場合は67円/L。(注2) 70円/L 90,000円/KL
蒸留酒類 ウイスキー/ブランデー/スピリッツ (注3) (注3) 37度未満 370,000円/KL (注5)
混成酒類 リキュール/甘味果実酒 (注3) (注3) 13度未満 120,000円/KL (注6)
(注1)簡易税率とは、課税価格の合計額が20万円以下の一般輸入貨物及び国際郵便物に対して適用される税率です。(注2)スパークリングワイン及び強化ぶどう酒(シェリー、ポートなど)を除き、2L以下の容器入りにしたものに限ります。 (注3)輸入しようとする貨物の種類などにより税率が異なりますので、最寄りの税関相談官までお問い合わせください。 (注4)詳しくは、最寄りの最寄りの税務署を担当する酒類指導官までお問い合わせください。 (注5)アルコール分が37度を超える1度ごとに10,000円/KLが加算されます。発泡性のない酒類で、アルコール分が13度未満のものについては、アルコール分が9度未満で90,000円/KL 、9度以上13度未満で80,000円/KLに8度を超える1度ごとに10,000円/KLが加算されます。 (注6)アルコール分が12度を超える1度ごとに10,000円/KLが加算されます。また、発泡性のない酒類で、アルコール分が12度未満のもの(リキュールに限ります。)については、アルコール分が9度未満で80,000円/KL、9度以上12度未満で80,000円/KLに8度を超える1度ごとに10,000円/KLが加算されます。   

750mlのボトルに換算すると、 関税がスティルワインだと50.25円〜93.75円/本
スパークリングワインやフォーティファイドワインだと税率は異なります。

酒税が67.5円/本(※2023年10月1日より、100,000円/KL・75円/本に増税)
消費税、地方消費税は課税価格によります。

個人消費、自己の営業場での飲用、販売、それぞれの目的に関わらず、課税価格の合計が1万円以下の場合は酒税以外は免除されます。少なくともワイン一本当たり数百円の税金がかかります。

詳しくは税関のHPへ→ 酒類の輸入について
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第10回   シャトーとドメーヌの違い

 

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シャトーマルゴー



 ワイン用語でよく耳にするのが、フランス生産者の名前の前に付いている、シャトー(chateau)やドメーヌ(domaine)です。この違いは何でしょうか。 

 シャトーはフランス語ではお城の意味があります。ところがワイン業界では、ボルドー地方の自家栽培から醸造、瓶詰までを手掛ける、ワイン生産者のことです。ドメーヌはというと、通常はボルドー以外のワイン生産者を指します。地主が単独で所有する区画を意味するので、土地所有者と言ったところです。 格付けの対象は、ボルドではシャトー(生産者)なのに対し、ブルゴーニュでは畑になされます。と言うのも、畑の所有者は複数存在するため、一つの畑が細分化されているのが一般的だからです。例えばブルゴーニュでは、「ドメーヌ○○○」のシャンベルタンとか、「ドメーヌ△△△」のシャンベルタンと言うよう複数名で畑を所有し、それぞれが栽培と醸造をして、畑名でワインをリリースしています。よって、畑名だけでなくどの造り手によるものなのかも重要になってくるのです。生産の規模も家族経営で小さいのが特徴です。対しボルドーの生産者は、お城を実際に所有する貴族が発祥なので、所有畑も広大で経営も殆どが分業制です。さすがシャトーと呼ばれるだけの規模感があります。  

 また、ぶどう栽培から瓶詰めまでを一貫して手掛けるところ(ドメーヌ元詰め)が、フランスでは30%近くあります。残りの70%は栽培者と醸造者が別です。よく耳にするネゴシアン(negociant)は、ぶどうを買い付けて醸造したり、バルクから瓶詰を行ったりするワイン商のことです。ドメーヌ、あるいはネゴシアンものかは判別可能です。下記のようにラベル表記が義務付けられています。  

 
Mis en bouteille au domaine  ドメーヌ元詰め
Mis en bouteille au negociant ネゴシアン元詰め


 
  imgrc0069671701  


  ボルドーではシャトーと明記されていても、それは単純にネーミングで、元詰めはネゴシアンのワインもあります。シャトー元詰めは次のように記載されています。

 
Mis en bouteille au château シャトー元詰め

 
  ちなみに、シャンパーニュ地方のメゾン(maison)は直訳すると”家”の意。しかし業界では商社の意味合いが強いです。栽培から元詰めを行う生産者もいますが、契約農家からぶどうを買って造ったり、ネゴシアン(略してネゴシ)でやっているところもあります。シャトー、ドメーヌ、メゾン、ネゴシアンの違いもこれでばっちりですね!  
 





第9回   ワインは抜栓後どれぐらいもちますか


 


インポーターという職業柄、「どれぐらいワインが持つのか?」は、多頻度でされる質問です。アルコール度数の高い、酒精強化ワインをの除けば、一般的には3〜5日持つと言われています。しかし、これもワインのタイプや保管方法によって、日持ちは変わってきます。ワインを抜栓した後、高い温度で保管すると酢のような刺激臭が発生します。これは、酢酸菌がワインのアルコールを消費し、酢酸とアセトアルデヒドに代謝されたからです。アルコールの酸化という化学反応です。フレッシュでフルーティなワインの風味に、ナッティで傷付いた果実味が現れます。タイプ別にどのくらいの日持ちが可能か、確認していきましょう。


《スパークリングワイン》
発泡性のスパークリングワインは、抜栓の瞬間から泡が抜けていきます。ストッパーを付けて冷蔵庫で保管しても1〜3日が限度です。大型タンクを使ったシャルマ方式のスパークリングより、瓶内二次発酵で造られたガス圧の高いシャンパーニュの方が泡持ちは良いです。カヴァ、フランチャコルタなどです。泡が抜けても問題ないスパークリングワインの場合、比較的寿命が長く、軽めの白ワインと同じぐらい持つのが目安です。
 
《軽めの白ワイン、ロゼワイン》
発泡していないので5〜7日とスパークリングワインより長く持ちます。しっかりとしたタイプのロゼワインなら1週間以上の保管が可能です。とは言ってもワインは生き物なので、抜栓直後と数日後では香りも味わいも異なってきます。時間の経過と共にワインは酸化し、果物の特徴が減少していきます。 


《芳醇な白ワイン》
樽を使用したフルボディのワインは、3〜5日ほど楽しめます。ボトリング前に好気的環境下において、より多くの酸素と接触した場合、すっきりタイプの白ワインより、スピーディに酸化する傾向があります。


《赤ワイン》
白ワインと比べると、酸だけでなくタンニンも豊富に含まれているので3〜5日は持ちます。同じ赤ワインでもピノノワールのようなタンニンが少ないライトボディの方が、カベルネソーヴィニヨンなどのフルボディよりも早く酸化します。飲み頃を向かえていないワインは、抜栓直後は硬く、1〜2日、あるいは1〜2週間ほど経過して、やっと開いてくるというケースもあります。 365wineのワインは、白ワインやオレンジワインでは1ヶ月、赤ワインなら1〜2ヶ月と驚くほど長持ちします。長期熟成タイプで造っているものが多く、酒質も安定しているからです。そんなワインは開けたてよりも、むしろ少し置いた方が美味しく楽しめます。「良いワイン」には期待以上の「変化」があり、長期に渡り「美味しい」が続きます。


《酒精強化ワイン》
酒精強化とは、ポートワイン、シェリー、マデイラ、マルサラなどのブランデーが添加されている長命ワインです。涼しい暗所に保管したら、1ヶ月〜数ヶ月(時に1年以上)持ちます。また、貴腐ワイン、アイスワインなどの甘口デザートワインも同様に息が長いです。それでも室温が20℃を超えると酸化のスピードが著しく、いずれのワインも抜栓後は、栓をして冷蔵庫で保管するのが鉄則です。その際は垂直の状態でボトルをキープします。液体が酸素と接する面積をできるだけ少なくするためです。バキューバンや酸化を防ぐ栓を利用するのも手ですね。ぜひ参考にしてみて下さい。

     



第8回   ミュスカ・ミュスカデ・ミュスカデルの違い


365wineのブログ「毎日ワイン365」でアクセスランキングNo.1を誇る人気記事です。名前が似ていて間違えやすいぶどう品種、ミュスカ、ミュスカデ、ミュスカデルについてです。と言うのも、自社商品でスロヴェニア産の「ルメニミュスカ」という品種を扱っているのですが、別名はイエローミュスカと言います。華やかな芳香が特徴のマスカット一族なんですが、先日も取引先の飲食店から、「大野ちゃん、あの白ワイン、そうミュスカデ頂戴や」と言われました。365wineで扱っているのはミュスカデではなく、正しくはミュスカです。内心は違うと思いながら受注しました。確かに似通った名前なので、間違えやすいですね。  
 

ミュスカ、ミュスカデ、ミュスカデル
 

 まるで英単語の活用のようです。−カ、−カデ、−カデルと語尾変化を見せますが、混同してしまい一体どれがどれか、わからなくなる方も多いのではないかと思います。今一度この3品種を整理してみましょう。


  Muscat de Saumur white grape variety from Ampelographie Traite general de Viticulture 1903 with painting by A Kreyder and E.J. Troncy


・ミュスカ(muscat)・・・・フランス南部、および世界中で栽培されているメジャーな品種です。アルザス地方ではミュスカ ダルザスと呼ばれています。マスカットやモスカートなどとも呼ばれています。スロヴェニアのイエローミュスカはこのマスカット一族に属します。非常にアロマティックな品種で、リースリングやゲベルツトラミネールと同じくテンペル系が多く含まれています。イタリアの甘口スパークリング、アスティの原料でもあります。マスカットなどの果実香、黄色い花の華やかな印象です。ワインのスタイルは甘口と辛口があります。

   

ミュスカデ  



・ミュスカデ(muscadet)・・・・フランスのロワール地方、ナント地区の【ミュスカデAOC】の原料のぶどうが由来して、ミュスカデと呼ばれています。正式名はムロン ド ブルゴーニュ(ブルゴーニュのメロン)です。ミュスカデはシュル リーをすることで有名です。シュル リーとは、アルコール発酵後、ワインと滓を半年ほど接触させて、滓の風味をワインに引き出す醸造方法です。ミュスカデ=シュル リーのイメージとなってしまうぐらい、ミュスカデにはシュルリーが頻繁に施されます。よって温暖な気候には不向きな品種です。片親がシャルドネということもあって、酸が豊かでノンアロマティック、ハーブや塩味を感じるドライな品種です。    


ミュスカデル  



ミュスカデル(muscadelle)・・・・ボルドー地方で栽培されています。単体ではなくブレンド用にアクセントを付けるのが目的で、補助品種として使われます。ボルドーブランでメジャーな品種と言えば、ソーヴィニョンブランやセミヨンですが、それらよりも脇役的な存在です。晩熟で栽培が難しいのが難点です。酸が低くムスクのような花の香りが特徴です。    



間違えやすい3品種、ミュスカ、ミュスカデ、ミュスカデルについてお伝えしました。これでソムリエ試験もバッチリですね!  


 



第7回   酸化と分解?!アルコールの上手な付き合い方

今日はお酒飲み必見の内容です。アルコール分解のメカニズムと二日酔いの予防策についてお話しましょう。 百薬の長と言われるよう、適量の飲酒は薬にもなります。少量ならリラックス効果も期待でき、実際に全く飲まない人より、適度の飲酒をする人の方が、循環器系疾患の死亡率が低くなると報告されています。


アルコールの分解速度(量)は、男性と女性とでは異なります。男性では1時間に平均9gなのに対し、女性では6.5gです。ビール中瓶500ml(20g)を摂取すると男性では分解に2.2時間、女性では3時程度かかります。分解速度は男女差もそうですが、個人差が大きいので、あくまでも目安値と考えた方が良いでしょう。体格や体質によりますが、ビールなら350ml缶1〜2本、ワインならグラス1〜2杯(150ml〜250ml)程度のアルコール量/日が適量とされています。いくら百薬の長と言われていても、度が過ぎるとそれは毒と化します。アルコールの過剰摂取は運動機能を麻痺させたり意識障害を引き起こします。


急性アルコール中毒による昏睡やチョーキングで、搬送中〜病院での死亡率は90%にもなります。20〜40代を中心に年間1万1000人以上が、救急車で運ばれるとデータがあります。アルコールは麻薬やニコチンと同様、依存性が極めて高いものです。アルコール依存症と診断された後、5年後の生存率が30%、死亡率が40%、残りの30%は入退院を繰り返す状態です。慢性的な中枢神経障害、肝障害、癌、糖尿病、動脈硬化、心不全、消化の障害を引き起こします。


数字は嘘をつきません。己を守れるのは他ならぬ自分自身です。お酒を飲んでも呑まれてはなりません。アルコールと上手に付き合っていくには、適量を守るのと飲み方のコツを知ることです。まず体内に摂取されたアルコールは、消化されることなく、わずか1〜2時間足らずで、胃で20%、小腸で80%が瞬時に吸収されます。その後、門脈という太い静脈から肝臓を通して、全身の臓器に流れます。血中アルコール濃度は門脈では高く、肝臓を通過すると低下します。臓器では単純拡散により各組織へと広がっていきます。


アルコールの大部分は肝臓で「酸化」により分解されます。アルコール脱水素酵素(ADH)(補助としてミクロソームエタノール酸化系、カタラーゼ)により有毒なアセトアルデヒドに酸化します。その後、2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)(補助として1型アルデヒド脱水素酵素(ALDH1))により酢酸に酸化されます。酢酸は血液により筋肉や心臓に運ばれ、炭酸ガスと水に分解されます。アルコール1gから、約7kcalの熱エネルギーが産出されます。

 


この「分解」= 「酵素の働き」に必要なものが、水分と糖分です。ワインは80%以上が水分で出来ていますが、その水分はアルコール分解時には、既に消費されているため効果はありません。アルコールに含まれている水分とは別に、水が必要なのです。しかも二日酔いになってからの水分摂取では全く意味がありません。お酒を飲む際は必ず、酒器の横にチェイサーを用意し、飲んだお酒と同じかそれよりも多めの水分を摂るのがおすすめです。水分と一緒に適宜、甘味も摂りましょう。果糖でもOKです。 摂取したアルコールに対しての必要水分量はこちらのサイトをご覧下さい。二日酔いの予防対策に是非ご活用下さい。

 

《必要水分量》

http://hangover.hajime123.net/06.html

楽しくお酒を飲んでいる最中に、緊急搬送など最悪の結末は考えたくありませんが、如何なる局面にもリスクは付きものです。それを理解した上でマネジメントしつつ、上手に付き合っていくことが大切ですね。(2016/02/16)

 

《参考文献》

樋口進(編)健康日本21推進のための「アルコール保健指導マニュアル」

厚生労働省 e-ヘルスネット(図を拝借)

 

第6回 ワイングラスの魔法2【実践編】

前回の「ワイングラスの魔法1【講義編】」の続編です。(下にスクロールして先に前編をご覧下さい)グラスの形状に起因して香りと味わいが変化するとお話しました。今回は実践編として、もう少し掘り下げてグラスの形状にアプローチしていきます。グラス選びの基本からワインのタイプ別に、その魅力を引き出すグラスについてご紹介します。

 

・グラス選びの基本

 
無色透明 ワインの色合いを楽しむため
大きめのボール 香りを楽しむため
薄手 口に触れた際、繊細な印象を与えるため
チューリップ型 先がすぼまり香りが拡散されないため
クリスタルガラス 表面の凹凸によって表面積が広く、揮発性が高く香りが増すため
 

・ワインのタイプ別にお勧めする魔法のグラス


 

重めのボルドータイプの赤ワイン(上段図1)

(カベルネソーヴィニョン、メルロー、カベルネフラン、シラー、ネッビオーロ、テンプラニーリョ)

 

面長で大きなグラスは酸とタンニンがある、重厚なフルボディの香りを開かせます。液体は口元でワイドに広がり舌全体で酸味、渋味、果実味を解きほぐします。厚みのあるボディと滑らかな渋味が体感できます。

 

軽めのブルゴーニュタイプの赤ワイン(上段図2)

(ピノノワール、バルベーラ、グルナッシュ、ツヴァイゲルト、ブラウフレンキッシュ)

 

すっきりとした白ワインやスパークリングワイン(上段図3)

(リースリング、ソーヴィニョン、ヴィオニエ、ゼレン、樽熟成を行わないシャルドネ、ロゼ、シャンパーニュ、スプマンテ、ペットナット)

 

コクのある白ワインや熟成された白ワイン(上段図4)

(樽熟成を行ったシャルドネやロゼ、ふくよかなオレンジワイン)



 

・ワインを注ぐ量

 

最後にワインを注ぐ分量についてです。たまにビストロで表面張力を利用してこぼれるギリギリのところまでワインを注いでくれるお店がありますよね。グラスを持ち上げることは出来ないので口を近づけて頂きます。パフォーマンスとしては良いのです。しかし香りや味わいを楽しむには、実は入れすぎはNGです。注いだ後に残されるグラス内の空間がとても重要だからです。空気の触れる液体面積が広いほどよく香りが立ち、より長く香りの変化を楽しめます。ワインを注ぐ量は、真横から見てグラスの一番太いところから1.5〜2cm下がベストです。入れすぎてもグラスの一番太いところまでです。

 

2回に渡りおおくりした「ワイングラスの魔法」いかがでしたでしょうか。ロマネコンティ級の高級ワインをマグカップで飲む方はいらっしゃらないと思いますが、リーズナブルなワインでも適切なグラスを使用するとそのワインの持つ魅力は最大限に発揮されます。普段飲みでもワインのタイプ、ヴィンテージ、状態に合わせて、ワンランク上のグラスを選んでみてはいかがでしょうか。ただし上質なワイングラスは薄いので、洗浄の際はくれぐれも気を付けて下さい。もっぱら大野はお酒が抜けた翌日に洗っています。

(2015/09/29)

第5回 ワイングラスの魔法1【講義編】

さて、ワインを飲む時になくてはならないもの。アテですか。そんな方もおられるかもしれませんが、そう、今回はワイングラスです。ひと口にグラスと言っても素材(クリスタルガラス、ソーダガラス、陶器、磁器、金属、木、紙、プラスチック)や形状(ジョッキ、タンブラー、マグカップ、お猪口)など実に様々です。グラスはボトルから口に液体を運ぶための「容器」というツールに過ぎませんが、このグラスこそがワインを飲むタイミングや温度と同じぐらい大切です。それではワイングラスの魔法を紐解いていきましょう。

 

・香りと味わいの変化

 

使用するグラスにより、飲み物の香りと味わいが大きく変化します。ワインに限ったことではなく、ビール、日本酒、コーラ、緑茶、水などの全ての飲料に、使うグラスが影響を及ぼすのです。一体どういうことでしょうか。そこにはグラスの形状と私たちの舌の機能が関係しています。香りはグラスのボール部分の大きさや形に左右されます。香りについては後ほど例を挙げて解説したいと思います。先ずは、味わいについてです。

 

味覚の感知には舌が重要な役割を担っています。舌の上には舌乳頭と呼ばれる突起があり、そこに味を感知する器官である「味蕾」が集まっています。人間の舌には約7500〜10000個もの味蕾があると言われており、舌の先端が甘味、奥が苦味、サイドが酸味をよく感知するようになっています。(下段左図参照)

 
 

・クープ型とフルート型の比較

ここでシャンパーニュグラスを例に挙げて香りと味わいがどのように異なるかを説明しましょう。シャンパーニュグラスには平べったいクープ型(上段右図6)と細長いフルート型(上段右図5)があります。グラスはその形状により液体が口腔内に入る時の傾度が異なります。クープ型だとさほど顎を傾けなくてもワインは頂けます。一方、フルート型は形状から傾きを大きくしないと液体が口まで達しません。液体が舌のどこに接地して、どのような幅で喉奥に流れるかによって、味わいが大きく変わってくるのです。クープ型は空気と液体の接地面が大きく、香りは広く立ちますが、一瞬で逃げてしまいます。また流れ込んだ液体は舌の中央からワイドに広がり喉元まで達します。反対にフルート型は先がすぼまっているので香りはやや控えめです。グラスと顎を傾けると、液体は甘味を感じる舌先に導かれ、舌の中央を直線的に流れます。同じ液体でもグラスにより香りも味わいも全く違ってきます。

 

百聞は一見に如かず。どのような変化があるのかは、ぜひ実際にご家庭の色々なグラスを使って体感してみて下さい。次回は「第6回 ワイングラスの魔法2【実践編】」をお送り致します。グラス選びの基本とワインのタイプ別にその魅力を引き出す魔法のグラスをご紹介します。

(2015/09/28)
 

第4回 ワインを美味しく楽しむ順番

今回はワインを美味しく楽しむ「順番」についてです。例えば、コース料理や懐石料理でも、前菜にはじまり汁物や主菜といった順番があります。前菜のあっさりとしているカルパッチョと主菜の濃厚ソースがかかっているステーキを逆に頂くことはありませんよね。更にわかり易い例を挙げると、甘いチョコレートを食べた直後に果物を口にして、「しまった!食べる順序が逆だった」と後悔した経験は誰しもあるのではないでしょうか。人間の味覚は一度、濃い味や強い味に触れると、その次に口にしたものの香味に影響を受けてしまうのです。口腔内はカカオの濃い香りと強い甘味に支配され、果物は薄く酸っぱく感じ、本来の魅力が得られない状態です。食の順番はワインにも当てハマります。いくつか種類の違うワインを楽しむ時、ほんの少し飲む順番に留意するだけで、より美味しく頂けます。基本的には下記の順番です。

 
白ワイン→赤ワイン シャルドネ → カベルネソーヴィニョン
軽い(薄)→重い(濃) ピノノワール → メルロー
若い→古い リースリング2007 → リースリング1998
辛口→甘口 ボルドーの辛口ソーヴィニョンブラン → 貴腐ワイン
安い(並級)→高い(上級) ジュヴレ シャンベルタン(村名) → シャンベルタン(特級畑名)
シンプル→複雑 ブルゴーニュブラン → ムルソー
ノーマル→個性的 モエ エ シャンドン → ジャックセロス イニシャル
ステンレス熟成→樽熟成 シャブリ(地区名) → シャブリ グランクリュ(特級畑名)
 

全くタイプの異なったワインを6種類飲むなら、

スパークリングワイン→すっきりとした白ワイン→コクのある芳醇な白ワイン→軽めの赤ワイン→重めの赤ワイン→甘口デザートワイン

 

この基本形を覚えておけば白ワインオンリーの時でも応用は可能です。ただ、重い赤ワインを飲んだ後、爽快なスパークリングワインや辛口白ワインに戻るのが好きで仕方がないという方は、どうぞお好きな順番でお召し上がり下さい。なんて言ったってセオリーに関係なく楽しく頂くのが一番ですから。

(2015/08/19)

第3回 適温を知り1番美味しい時に飲む

前回はワインを楽しむ7つのポイントに触れました。今回はワインの温度についてです。ワインに限ったことではありませんがお料理や飲み物には適切な温度があります。熱い物は熱い内に、冷たい物は冷たい内にと言われるよう、カレーライスは熱々で、コーラやサイダーはキンキンにして頂くのが、最も美味しいというのは言うまでもありません。食べ物は温度により味わいが左右されるからです。ワインにも適温が存在します。一般的に白ワインは冷やし、赤ワインは常温(ヨーロッパの常温は18℃前後)でと言われていますが、一概にはそうとは言えません。簡単にポイントを説明すると、

 

・軽めのワインは低めの温度、重めのワインは高めの温度。酸味の強いワインは冷やす。夏場は赤ワインでも酸の強いピノノワールやバルベーラなどは味がボヤけるので軽く冷やす。

・リーズナブルなワインは低めの温度、高級なワインは高めの温度。

・スパークリングワインや甘口ワインは更に冷やす。しかし、冷やしすぎると味が感じられなくなるので、せいぜい5℃ぐらいまで。(冷やすと泡も抜けにくくなる)※コクのあるシャンパーニュはこの限りではない。もう少し詳しく見ていくと、

 

・スパークリングワインや甘口ワイン7℃

・軽めの辛口白ワイン8℃

・シャンパーニュ7℃〜12℃

・重めの上級白ワイン12℃

・軽めの気軽な赤ワイン12℃

・黄ワイン14℃

・ブルゴーニュの赤ワイン16℃

・ボルドーの赤ワイン19℃〜20℃

 

フレッシュさが魅力で酸味を楽しみたいものは低めの温度がいいでしょう。人間の味覚は冷たいと苦味、渋味、酸味はより強くシャープに感じられます。苦味と渋味は温度による変化はさほど感じられません。だが温度が低くなると甘味が抑えられるため、苦味と渋味が突出して感じられます。酸味は低いとフレッシュな清涼感を与え、反対に温度が高いと柔らかい印象です。冷たい酢の物と温かい酢豚をイメージして頂けたらわかりやすいかと思います。酸は温度が高すぎると不快に感じる場合があります。

 

甘味は温度が高いと強く感じる傾向があります。なまぬるい炭酸飲料は甘ったるいですよね。適度に冷やすことでドライな引き締まった印象となります。香りを強めたいフルボディはやや高めの温度がおすすめです。より風味の複雑さや熟成感が高まり、芳醇さが際立ちます。全体的にふくよかで優しい印象です。味わいは白ワインだと酸味、甘味(アルコールによるボリューム)、赤ワインだと渋味(タンニン)が加わり構成されています。このバランスがとても重要でその味わいに影響を及ぼすのが温度です。適温を知り最高の状態でワインを楽しみたいものですね。

(2015/04/14)

第2回 ワインを楽しむ7つのポイント

皆様こんにちは。第1回目は張り切ってスタートしましたが、更新から暫く間が空いてしまいました。さて、ここではワインを最大限に楽しむ7つのポイントについて簡単にお話したいと思います。

 

1 信頼できるショップで購入

温度、湿度、光等の管理が徹底されているワインショップで購入するのがおすすめです。有名なブランドワインともなれば偽物も出回っているので信頼の置けるショップを選んだ方がいいでしょう。行きつけのショップが見つかったらプロの店員さんに色々と相談してみるのがいいかもしれません。大野も昔はよく百貨店のワイン売り場で若手ワインエキスパートの方を質問攻めにしていました。「こちらのワインはどのような食べ物と合いますか」にはじまり、「2002年はアルザス地方はどんな年でしたか」、「自宅のワインセラーに3年後と10年後に飲みたい赤ワインと白のワインが半分ずつ入っています。設定温度は何度にしたらいいですか」等々です。調べながらも丁寧に答えて下さっていたと記憶しています。積極的にお店の方と仲良くなって、ワインの相談をしてみて下さいね。

 

2 オープンするタイミング

ワインを適切な時期や状態で開けることは大切なポイントです。1つ目は適切な時期についてです。ワインは生き物であり、ボトル内でも刻々と変化を見せます。ボトリング直後のベイビーワインから飲み頃を向え、ピークの後は緩やかに熟成されていきます。なんだか人間の一生と似ていますね。ワインはタイプ、ヴィンテージ、保管状態により飲み頃もまちまちです。例えば、フレッシュさがウリの軽めの赤、白、ロゼワインの飲み頃は一般的に早めです。一方で重めのボディでタンニンも酸もパワフルなタイプは長期熟成が可能です。ワインの酸味、甘味、渋味が長期熟成ワインには不可欠な要素です。上質な甘口の貴腐ワインやポートワインは、保管状態がよければ200年ぐらいもつと言われる【ご長寿ワイン】です。また、ヴィンテージにより天候に恵まれた当たり年は熟成型のワイン、バットヴィンテージは早くから楽しめるワインとなっています。ワインの飲み頃を少し意識して、ベストタイミングで楽しめたら嬉しいですよね。

 

2つ目は適切な状態についてです。例を挙げてみましょう。ワインショップで横に寝かされていた1982年の赤ワインを購入し、紙袋に入れてもらい垂直の状態で持ち帰りました。当然ボトル内は滓(おり)が舞い、ワインも輸送で疲れきっている状態です。それをその晩に抜栓するなど勿体ないです!先ほども言及したようにワインは生き物です。輸送での疲労と取り巻く環境が変わったことへのストレス。人と同様にワインも暫く休ませる必要があります。本来のワインが持っているポテンシャルを発揮できるよう、時期と状態を考慮して適切なタイミングでオープンして下さいね。

 

3 最適なグラス

グラスの形状や材質はワインに大きく影響を及ぼします。たとえ最高級のワインでも使用するグラスの選択を誤ると、そのワインの良さを引き出すことは出来ません。その反面、ワインのタイプに合った適切なグラスを使用すれば、リーズナブルなワインでも上質なワインに大変身します。それほどワイングラスの存在は重要なのです。最初は異なったグラスで飲み比べをしてみるといいかもしれません。グラスに関して話すと長くなってしまうので、ここでは割愛させて頂きます。

 

4 適温

前述のグラスと同様にワインの温度は、美味しく楽しむためにはとても重要なポイントです。わかりやすい例を挙げましょう。冷茶と温茶では、茶葉や入れ方が同じでも、香りや味わいは全く違います。冷たいと香りは控えめですっきりとしていますが、お茶の苦味やタンニンを強く感じます。一方、温かいと香りも強く立ち上がりまろやかで甘味・旨味を感じやすくなります。一般的には白ワインは冷やし、赤ワインは常温でと言われていますが、そうとも言いきれません。同じ冷やすと言っても5℃と15℃とでは印象が大きく異なります。また常温とは涼しい夏のヨーロッパの気候のことを言うので18℃前後を指します。ワインのタイプによりフレッシュさが魅力のものは低めの温度で、芳醇なコクのあるタイプはやや高めの温度が適温です。具体的なワインのタイプと適温については、上記の【第3回 適温を知り一番美味しい時に飲む】を参考になさって下さい。

 

5 適切な順番

会席料理やコース料理があるのと同じく、ワインにも飲む順番があります。例えば、激辛であるキムチを頂いた後に茶碗蒸しが出されたシチュエーションを想像してみましょう。(そんなケースは稀だとは思いますが)一度強い味わいのものを口にしてしまうと味覚が変わってしまうものです。順番を間違えたが故に口腔内が唐辛子に支配され、茶碗蒸しからは出汁の優しい風味も感じられなくなってしまいます。同様のことがワインにも言えます。例外もありますが原則は白から赤、軽いから重い、辛口から甘口、安価から高価と飲み進めていきます。頂く順番のセオリーを知っておくといいですね。

 

6 マリアージュ

マリアージュとはフランス語で結婚という意味です。食べ物とワインが一緒になることで相乗効果を持ち、どちらも更に美味しく魅力的になることを結婚に喩えて「マリアージュ」と言います。簡単に言いますと食事と組み合わせるワインの相性です。定番を挙げると、生牡蠣にシャブリ、ブルゴーニュ地方の郷土料理である鶏肉の赤ワイン煮込みに同地方のピノノワールなどが有名です。食材の香りや味わいの特徴、味付けやソースで合わせたり、産地や格でマッチングさせたりします。素晴らしいマリアージュを発見した際の喜びは大きく、食べ物とワインが1+1が2ではなく、その無限のバイアスと奥行きには感動です。マリアージュさせる際には、いくつかのコツがあります。追々、解説しますね。

 

 

第1回 ワイン保管の5ヶ条

苦労して手に入れたワイン、大切な思い出があるワイン、プレゼントして頂いたワイン。お家でもベストなコンディションで頂きたいですよね。ワインの美味しさを損なわないためにも、その保管の仕方はとても重要なのです。そこで今回は、ワイン保管の5ヶ条をお教えします。365wineの自社倉庫ではこの5ヶ条が全て網羅されています。

 

1 温度15℃前後

2 湿度65%前後

3 暗所

4 振動がない

5 無臭

 

「冷蔵庫での保管はダメなの?」 と質問を頂きますが、数日程度なら問題はないのですが、1年、3年と長期間になると絶対にNGです。冷蔵庫は24時間絶えず振動があり、1日何度もドアの開閉を余儀なくされ、バタン!と大きな衝撃がデリケートなワインに伝わります。振動だけでなく、著しい温度変化や食品の匂い移りもし易い場所です。また、庫内は湿気が少ないので、長期垂直保管をするとコルクの乾燥を招きます。コルクが乾くと瓶とコルク栓の間に隙間が生まれ、酸化やブショネ(TCA)などを誘発する、酸素と雑菌やカビ菌等の混入を許してしまいます。(ちなみに、365wineではスクリューキャップ仕様のボトル以外は、上下逆さまで梱包します。常にコルクが湿っている状態を保つためです)抜栓しにくいだけでなく、劣化の原因を作ってしまうので、冷蔵庫は飲む前に冷却する時のみ使用しましょう。

ワインを何年後かに飲みたい方やお子様の出産祝いのワインを成人式まで寝かして置きたいと考えている方は、ワインセラーでの管理をおすすめします。数百本入る大型から家庭用の小型まで大きさも様々で価格も最近では1万円台後半からあります。長く楽しみたいならセラーでの保管が最適です。

現在ワインセラーをお持ちでない方は、直射日光や蛍光灯の光を避け、昼と夜の温度差の少ない場所(±1〜2℃)にて、ワインボトルを横に倒して保管することを推奨します。温度差はワインに大敵です。物質は温めると膨張し、冷やされると縮む性質があります。瓶内の空気もワインも然り。天然コルクを通して毎日ワインがため息をついている、どうですかイメージができましたでしょうか。

最後に裏技をご紹介しましょう。北向きの押入れや床下収納です。押入れの布団の間に手を入れてみると夏でもひんやりとしていて適度に湿っぽいですよね。滅多に出さないお客様用の布団なら保管条件を概ねクリアしています。1本ずつ新聞紙に包んでおけば断熱効果もアップします。床下収納なら(青かびは厳禁)発泡スチロール内に寝かせて置けばいいです。ただし、裏技の方法でも、夏を2度越さないうちに飲みきるのが無難です。

(2015/01/09)

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大野みさき

大野みさき
【プロフィール】 元ANA国際線CAが渡仏し1年間ワインを学びながらヨーロッパ各国の生産者を訪ねる。帰国後は365wine株式会社を設立。オーナー自らがスロヴェニアへ赴き、生産者とは家族ぐるみの付き合いで収穫や醸造のお手伝いもする。ワイン講師、輸入講座、大手企業のライター業も引き受けるが、1番の楽しみはインスタグラムLIVE!ワイン愛は誰にも負けない。趣味はマリアージュ研究と醸すこと(発酵食品作り)、最近はご無沙汰の一人旅(中東を中心に世界47カ国を単身訪問)も再開したいと願う。

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