NEW YEAR IN SLOVENIA
豚肉とレンズ豆、スパークリングワインで迎える「冬の幸運テーブル」
スロベニアのお正月は、クリスマスから続くホリデーシーズンのフィナーレ。
大晦日の夜は街でカウントダウンと花火を楽しみ、新年の朝は家族でゆっくりテーブルを囲みます。
日本のお正月とはまた違う、スロベニアならではの「幸運の食卓」と冬のワイン文化をご紹介します。
スロベニアでは、クリスマスから新年までが、大きなホリデーシーズンです。
日本のように「三が日」が続くというより、 クリスマス〜新年までの間を、ずっとお祝いムードで過ごすイメージに近いです。
主役になるのは、 大晦日(12月31日)と元旦(1月1日)。
大晦日の夜は街の中心部でカウントダウンと花火、ライブ演奏が行われ、 元旦は家族とゆっくり過ごす、という二部構成のようなお正月です。
リュブリャナやマリボルなどの都市では、街の中心部でカウントダウン花火やライブ演奏が行われ、たくさんの人が外で新年を祝います。
冷たい冬の空気のなか、ホットワインやビール、そしてもちろんスロベニアのスパークリングワイン片手に新年を待つのが定番です。
元旦は、日本の元日と同じように 家族でゆっくり過ごす日です。
大晦日に夜更かしをしていることも多いので、朝は少しゆっくり起きて、ブランチや遅めのランチを家族で囲みます。
地域や家庭によって料理はさまざまですが、 豚肉料理やレンズ豆、ソーセージ、サワークラウトなど、 「縁起の良い食材」を使った料理が選ばれることが多いのが特徴です。
スロベニアのお正月料理には、意味を込めた「ラッキーフード」がたくさん登場します。
豚は、土を前に掘り進んでいくことから、 「前進」や「繁栄」の象徴とされています。
ローストポークやローストポーク・レッグ、豚肉の煮込みなど、さまざまな形で食卓に並びます。
クリスマス特集ページでローストポークのレシピも紹介しています。
ローストポークのレシピを見る ?小さな丸いレンズ豆は、見た目がコインに似ていることから、 「金運」や「豊かさ」を呼ぶ食材とされています。
スープや煮込み、サラダとして、豚肉料理と一緒に食べられることが多いです。
冬の保存食として発達してきたソーセージやサワークラウトも、新年の食卓に欠かせません。
じっくり煮込んだ温かい一皿は、寒い季節のスロベニアらしい「ほっとする味」です。
くるみやけしの実、ハチミツなどを巻き込んだ伝統菓子 ポティツァは、クリスマスからお正月にかけて登場する「ハレの日のお菓子」。
家庭ごとのレシピがあり、家庭の味と記憶がつまった一品です。
スロベニアには少しユニークな特徴があり、 贈り物を運んでくる存在が3人います。
なかでも、 デデク・ムラズは「お正月の使者」のような存在。
青いコートに杖を持った姿で描かれることが多く、旧ユーゴスラビア時代に広まった文化ですが、今でも子どもたちに親しまれています。
新年のイベントとして、子どもたちの前に現れたり、プレゼントを渡したり。
スロベニアのお正月には、こうした「物語の登場人物」がそっと彩りを添えています。
同じ「お正月」でも、日本とスロベニアでは姿が少し違います。
イメージしやすいように、簡単に比較してみます。
| 項目 | 日本 | スロベニア |
|---|---|---|
| メインの時期 | 1月1日〜3日(いわゆる三が日) | 12月25日〜1月1日までのホリデー期間 |
| 年越しの過ごし方 | 家で年越しそば、テレビなどを見ながらゆっくり過ごす | 家族や友人と集まり、街の広場でカウントダウン&花火を楽しむ人も多い |
| 元旦の食卓 | おせち料理、お雑煮など | 豚肉、レンズ豆、ソーセージ、サワークラウト、ポティツァなど |
| 子どもたちのお楽しみ | お年玉 | デデク・ムラズからのプレゼントなど |
| 飲みもの | 日本酒、甘酒など | スパークリングワイン、白ワイン、オレンジワイン、ビールなど |
せっかくなら、おうちでスロベニア風のお正月気分を楽しんでみたいところ。
スロベニアの食文化をヒントに、日本の食卓にも取り入れやすいアイデアをご紹介します。
新年の瞬間は、スパークリングワインで乾杯するのがスロベニア流。
ルメニ・ムシュカットやレブーラなど、スロベニアらしいブドウ品種の泡を選ぶと、気分もぐっと現地に近づきます。
ローストポークやポークソテーなど、身近な豚肉料理に オレンジワインを合わせると、一気に「スロベニアのお正月」らしい雰囲気に。
皮ごと仕込むオレンジワインの旨味とタンニンが、豚肉のコクや脂とよくなじみます。
レンズ豆のスープや煮込みは、日本のご家庭でも作りやすい一皿。
軽やかな赤ワインや、優しいタイプのオレンジワインと合わせれば、 「今年も良い一年になりますように」と願う小さな新年の儀式になります。
本格的なポティツァは少し手間がかかりますが、くるみやナッツ、はちみつを使ったロールケーキやパウンドケーキなど、
「なんちゃってポティツァ風」でもOK。少し甘めのワインを合わせて、スロベニアに思いを馳せながら楽しむのも素敵です。



