ORANGE WINE PRODUCER ENCYCLOPEDIA

オレンジワイン大図鑑
【造り手編】

その他の国|生産者ガイド

オレンジワインは、各国で独自に再解釈されながら広がっています。風土も品種も異なる土地で、造り手たちはそれぞれの視点からワイン造りに向き合っています。このページでは、注目すべき世界の生産者をまとめました。多様な表現から、オレンジワインの現在地を感じて下さい。

オレンジワイン大図鑑|国別ナビ
こちらはその他の国版です。順次、更新中です

オーストリア オーストリア

オーストリアのヴェルリッチのエーヴァルト・チェッペの顔写真

Ewald Tscheppe

エーヴァルト・チェッペ

オーストリアのヴェルリッチのオレンジワイン2本(グリュック、フロイデ)

Glück/Freude
 

 

“ワインは自然が奏でるハーモニー。
私はその通訳者でしかない”


Werlitsch / ヴェルリッチ

オーストリア|シュタイアーマルク


南オーストリア・シュタイアーマルクの“丘の王”の異名を持つ。ビオディナミの哲学に基づき、ソーヴィニョンブランとシャルドネを中心に手掛ける。畑への干渉を控え、大地と人間の精神性の結びつきを重視。オポーク土壌と急斜面が生む、唯一無二の熟度とミネラル。旨味の層が深く端正なスタイル。長期熟成と瓶内変化が魅力で、塩味を帯びた余韻が特徴。時間と酸を軸にした“液体というより風景”のようなワイン。

おすすめシーン: じっくり語りながら味わいたい夜に。和食の出汁、炭火焼きの野菜や魚料理

オーストリアのマリア&セップムスタ―のセップ・ムスタ―の顔写真

Sepp Muster

セップ・ムスター

オーストリアのマリア&セップ・ムスターのオレンジワイン2本(エアデ、グレーフィン)

Erde/Gräfin
 

“物事を根本的に変えるには
世界を別の目で見なければなりません”


Maria & Sepp Mster /
マリア & セップ・ムスター

オーストリア|シュタイアーマルク


オーストリア自然派ワインの精神的支柱のひとり。スロヴェニア国境でビオディナミを実践。徹底した思想だが、ワインは決して過剰ではない。畑・発酵・熟成を操作せず「待つこと」をワイン造りの核心に置く。長い醸しによりアンバー色を持ちながら、重さや酸化に寄らず、果皮の存在感は構造として表現。長い熟成から複雑で張りのある透明感、畑の生命力がそのままワインに宿ったかのよう。派手さではなく、内側に力を蓄えた「沈黙の強度」。時間とともに開き、飲み手の集中力を試す。

おすすめシーン:静寂な食卓。時間をかけて向き合う一杯に。野菜、ハーブを使ったひと皿

クロアチア クロアチア

クロアチアのクライのジョルジオ・クライの顔写真

Giorgio Clai

ジョルジオ・クライ

クロアチアのクライビエーレゼミエのオレンジワイン2本(スウェッティヤッコブ、オットチェント)

Sveti Jakov Malvazija/Ottocento Bijeli

“哲学を声高に語ることはないが
ワインは驚くほど緻密にテロワールを語る”


Clai / クライ

クロアチア|イストリア半島


クロアチアのオレンジワインを語る上で外せない存在。奇をてらわず、誠実で実直な造り。過度な思想や演出に頼らず、土地の個性を真っすぐに映すのが得意。長く醸したのち2年の木樽によるシュル・リー熟成を施す。にも拘わらず、タンニンの重さや荒々しさはなく、ピュアな質感と全体の均衡が取れたオレンジワインを生む。飾り気はないが、まろやかで口当たりが静か。余韻にはじわじわとクリアな旨味が広がる逸品。

おすすめシーン: 考えすぎず、味わいに身を委ねたい時。オリーブオイルを使った地中海料理

クロアチアのクロサニッチのムラデン・ロジャニッチの顔写真

Mladen Rožanić

ムラデン・ロジャニッチ

クロアチアのクロサニッチのオレンジワイン3本(ラーラ1/6、サーラ3/6、ザーラ5/6・イネスウビエロム
)

Lara 1/6 2012/Sara 3/6 2010/Zara 5/6 2011

“ワインは急ぐものではない。時間が語る”


Roxanich / クロサニッチ

クロアチア|イストリア半島


急進派。一貫性を貫き、 自身の完成形だけを追い続ける強い意志の持ち主。最大15ヶ月の醸し、長い(6年)熟成の時間軸を前提に組み立てられたワイン。瓶詰めはゴールではなく通過点。時間を味方につけ、ワインが自ら整うのを待つ。抽出は深く重心が低い。ドライフルーツやスパイス、鉄分の要素が層をなし、時間とともに角が取れていく。深遠な味わい、迎合的ではない個性。思想先行に見えて、最終的には味で黙らせる。

おすすめシーン:時を刻んだワインは記念日に。煮込み料理や熟成食材と共に

フランス フランス

フランスのマタッサのトム・ルッブの顔写真

Tom Lubbe

トム・ルッブ

フランスのマタッサのオレンジワイン(キュヴェアレクサンドリア、キュヴェマルグリット、ブルータル、ブロッサム)

Alexandria/Marguerite/Brutal/Blossom
 

“造りたいのは「強いワイン」ではなく
暑く乾いた土地でも、最後まで飲めるワイン”


Matassa / マタッサ

フランス|ルーション


ニュージーランド出身の寡黙で実践的な造り手。ワインには、揺るぎない意志が宿る。乾いた大地、強い日差し、痩せた土壌、そして果皮の存在感が、そのままワインに反映。マスカット系品種を中心に35日の醸しを行い、アロマとテロワールを正面から引き出すスタイル。整ってはいない、その粗さこそが土地のリアリティ。熱量と静寂が同時に伝わり、飲み手に強いインパクトを与える。

おすすめシーン:理解より、感覚で受け取りたい時。スパイスやハーブを使った料理と◎

フランス・アルザスのピエールフリックの顔写真

Jean Pierre Frick

ジャン・ピエール・フリック

フランス・アルザスのピエール・フリックのオレンジワイン(ゲベルツトラミネール、ピノグリ、リースリング・マセラシオン)

Gewurztraminer/Pinot Gris/ Riesling Macération

“亜硫酸を使わないのは信条ではない。
使う必要がないからだ”


Pierre Frick / ピエール・フリック

フランス|アルザス


アルザス自然派の最重要人物の一人。寡黙で実務的、理屈よりもトライアンドエラーを繰り返す実践派。早期にビオディナミへ移行し、補糖や亜硫酸に頼らないワイン造りを確立した。白も全房で扱い、醸しは輪郭と立体感を得るために行う。100年の大樽でゆっくり熟成。人的介入を増やさず完成度を高める。果実は落ち着き、酸、ミネラル、細かなタンニンが精密に組み上がる。穏やかで誠実、だが一切の妥協がない。飲み手に理解を強要せず、黙って納得させるワイン。

おすすめシーン:静かに集中して味わいたい時。ザワークラウト、根菜のローストなど

スペイン スペイン

スペインのパルティーダ・クレウスのマッシモとアントネッラの顔写真

Massimo Marchiori
Antonella Gerona

マッシモ・マルキオリ
アントネッラ・ジェローナ

スペインのパルティーダ・クレウスのオレンジワイン3本(モスカテル、マカベウ、カルトゥシャ・ベルメイ・ブランコ)

SK Moscatel /MC Macabeu/CX Cartoixà Vermell Blanco

 

“私たちはワインを良くしようとしない
ぶどうに宿るスピリットを邪魔しないだけ”


Partida Creus /
パルティーダ・クレウス

スペイン |カタルーニャ


学究的でも職人的でもない。イタリアの移住者としての距離感を保ち、土地に入り込みすぎない。正解を押し付けず、結果を静かに見守る。数々のカタルーニャの土着品種を掘り起こし、耕作・温度管理・補糖・補酸・清澄・濾過はしない。オレンジワインを「強い酒」にしない稀有な存在。香りは素朴で控えめ。口に含むと果皮由来の張りと塩味、乾いた酸が前に出る。派手さや厚みはなく、杯を重ねるほどに造り手の「知性」と「遊び」に理解が深まる。

おすすめシーン:先入観なしに向き合いたい食卓。オリーブオイル主体の地中海料理 & 野菜

スペインのエセンシア・ルラルのフリアン・ルイスの顔写真

Julian Ruiz

フリアン・ルイス

スペインのエセンシア・ルラルのオレンジワイン2本(パンパネオ・アイレン・エコ、デ・ソル・ア・ソル アイレン・ティナハ)

Pampaneo Airén Eco/De Sol a Sol Airén Tinaja

 

“伝統は博物館に飾るものではない
畑で使われるべきものだ”


Esencia Rural /エセンシア・ルラル

スペイン|ラ・マンチャ


ビオディナミの造り手。思想や造りは強烈で、完成度よりもプロセスと正直さを優先する姿勢が一貫している。近代化が進んだラ・マンチャにおいて灌漑を行わず、生産量はごく限られる。樹齢100年のアイレンをアンフォラ(=ティナハ)で発酵・熟成。醸しは操作せず自然な抽出に委ね、補正は極力しない。そのためヴィンテージやボトル差がはっきりと現れる。果実味は控えめで、土や穀物、酸のニュアンスが前に出る。ボンド/ネイルのようなツンツンとした揮発酸が立つこともあるが、それも含めて「ポジティブな個性」として受け止められている。

おすすめシーン:肩肘張らない食卓に。オリーブオイルがベースの料理、焼き野菜、豆料理

ポルトガル ポルトガル

ポルトガルのフムスワインズのロドリゴ・フェリペの顔写真

Rodrigo Felipe

ロドリゴ・フェリペ

ポルトガルのフムスワインズのオレンジワイン3本(フムス ブランコ クルティメンタ、フリュイブランコ、パリェット)

Humus Branco Curtimenta/Flui branco

 

“亜硫酸を否定しない。だが、長期熟成のために不可欠だとは考えていない”


Humus Wines /フムス ワインズ

ポルトガル|リスボア


古のアンフォラ(=ターリャ/Talha)が再評価され、オレンジワインの試行錯誤が続くポルトガルにおいて、既成概念にとらわれず挑戦を続ける生産者。白ぶどう不足という制約から生まれた、ブラン・ド・ノワールとオレンジワインを組み合わせたブレンドなど、発想は柔軟で大胆。長い醸しによる奥行きはありながら、香りは明るく、フレッシュさが際立つ。重さに傾かず、飲み手の気分を自然と持ち上げるスタイル。

おすすめシーン:料理が主役で一歩引いて合わせたい時。白身魚のグリルや軽いハーブ煮込み

チェコ チェコ

チェコのドヴラ・ヴィニツェのペーター・ネイェドリックとアンドレア・ネイェドリック

Petr/Andrea Nejedlik

 ピーター・ネイェドリック アンドレア・ネイェドリック

チェコのドヴラ・ヴィニツェのオレンジワイン2本(ヴェルトリンスケ・ツェレーネ=ヴェルシュリースリング・クヴェヴリ、ヴェルトリンスケ・ゼレネ=グリューナー・フェルトリーナー・クヴェヴリ

Vlašský Ryzlink Qvevri /Veltlínské Zelené Qvevri
 


“案ずるな、クヴェヴリワインを飲め”


Dobrá vinice / ドヴラ・ヴィニツェ

チェコ|モラヴィア


与えることを惜しまず、人が自然と集まってくる造り手。穏やかな佇まいの奥に、職人としての芯の強さを秘める。畑の違いを汲み取り、手仕事と時間を味方につける。クヴェヴリは温度と環境を安定させるための選択。9ヶ月の醸しでは引き際を見極め、力に任せず放置もしない。その判断力が、ワイン全体のバランスを支えている。密度はあるが重すぎない。果実の旨みと酸が溶け合い、ミネラルが後半を引き締める。派手な香りで引き付けるのではなく、飲み進めるほどに虜にしていくタイプ。クヴェヴリ由来の深みが、優雅な余韻を残す。

おすすめシーン:食中1本で通したい時。ザワークラウト、卵、乳製品、穀物、発酵食品など

チェコのミランネスタレツの顔写真

Milan Nestarec

ミラン・ネスタレツ

チェコのミランネスタレツのオレンジワイン(オークル、トラミン、ポドファック)

Okr/Tramin/Podfuck


“普通のことをして
普通のワインを造っているだけです”


Milan Nestarec /ミラン ネスタレツ

チェコ|モラヴィア


変化を恐れない造り手。オレンジに没頭した時期を経て、今は距離を置く。固執しないところが彼の誠実さ。長期の醸しや亜硫酸無添加の年もあれば、あえて抑えただけの年もある。1Lシリーズは飲みやすさを追求した醸しを行う。軽快でドリンカブルなものから、揮発酸や個性が前面に出るまで、年の振れ幅は大きい。完成度が揃わないことも含めて、変化そのものが楽しめるワイン。

おすすめシーン:気取らず話したい時。冷蔵庫の残り物、パンとチーズ、簡単な煮込み肉料理

随時、生産者を増やしていきます。気になる造り手が見つかった方は、下記のガイドも合わせてどうぞ。

オレンジワイン関連ガイド|基礎・専門

オレンジワインの基礎を知りたい方は、
まずはオレンジワイン完全ガイド【知識編】へ。
専門編は気になるところからご自由にどうぞ。
オレンジワイン完全ガイド
【知識編】
 
目的別に楽しむ|オレンジワイン専門編
オレンジワイン楽しみ方ガイド【実用編】
オレンジワイン革命【哲学編】
オレンジワインの色はどこから?【科学編】
オレンジワイン大図鑑【造り手編】
(その他の国版|このページ)
→イタリア/スロヴェニア/ジョージア

オレンジワイン【参考文献】

※本稿は一次・二次資料および現地関係者への取材をもとに、365wine(株)が独自に編集・再構成したものです。

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オーナー紹介・大野みさき

大野みさき
元ANA国際線CA。ワインを学ぶため渡仏し、ヨーロッパ各地の生産者を訪ね歩く。そこでスロべニアワインの魅力に出会い、帰国後、365wine株式会社を設立。以来、現地の収穫や醸造にも加わり、生産者と共に歩んでいる。ワイン講師、輸入アドバイザー、発酵好きとして、香り・味わい・背景まで含めて「ワインと出会う体験」を届けたいと奮闘する日々。訪問国は47ヶ国。

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