最も古く、最も新しいワイン造り
かねてからKABAJは歴史と自然を大事にし、まっすぐな姿勢でワイン造りを続けてきました。現在はアンフォラを使用するワイナリー25社から結成される、『XELOBA KARTULI協会』のメンバーでもあります。彼らの共通の想いは、ワインの起源である「昔ながらの自然なワイン造りへの回帰」です。古代の技術を現代のワイン造りに取り入れることを目的とし、日夜、その研究と促進に取組んでいます。今、最も古く、かつ最もモダンであるのが、「昔ながらのワイン造り」です。赤ワインのように果皮ごと醸造を施した白ワイン(オレンジワイン)をスロヴェニアでは、”After old wine”と呼んでいます。昔の時代のワイン造りを重んじ、現在に戻そうという試みです。長期に渡って醸されたワインには、天然コルクを用い、瓶内で長く生き続けます。
KABAJの当主であるジャン ミッシェル モレル。彼のワインは土壌のテロワールと、何よりも彼自身の個性(キャラクター)が具現化されています。まず第一に、「自分が手掛けたワインは、自分自身が誰よりも愛さなければ!」と語ります。彼のワインそのものが、ワイン造りにおける哲学を示しています。土壌はワインの前身で、最もワインに影響を与える部分です。健全な土壌とハイクオリティのぶどうありきの基本の考えで、丹念に耕されたミネラル豊かな土壌には、最高のぶどうが実り、そうしてワインは造られるのです。
果皮を醸したオレンジワイン
樹齢40年のぶどう木から収穫された健全で完熟したぶどうは、破砕された後、30日間果皮ごと醸されます。その間、発酵層上部の蓋は完全に外し、かい棒で6回/日ほど撹拌(ピジャージュ)します。醸す時間を長くとることによって、赤ワインと見間違えるほどのタンニン豊かな黄金色を帯びます。ワインはフルーティーさ(ぶどう自体の風味とブーケが特徴)とミネラルさを兼ね備えます。
その後、ワインと滓は225Lのフレンチオークで、18ヶ月間熟成されます。ボトリング前に軽くフィルターにかけられ、更に瓶内で4ヶ月の熟成を経て市場にリリースされます。瓶内でも年間を通してワインは変化していくので、どこかの段階でバランスの取れた、舌触りの良いものになっていきます。今飲んでも十分美味しいのですが、エイジングポテンシャルが高いので、後10年は熟成に耐えられる上質なワインです。