このページでは365wineのブログ、
「毎日ワイン365」でご紹介している
自然派ワインについてまとめたものです。

ビオディナミ



 自然派ワイン、BIO(有機農法、オーガニック農法)ワインではビオディナミ(Biodynamie)と言う言葉を頻繁に耳にします。英語ではバイオダイナミクス(Biodynamics)と言いますが、一体何でしょうか。フランス語では「生体力学」を意味します。

 
 第一にビオディナミである前にオーガニックとして認定されていなければ、ビオディナミとして認められません。殺虫剤、害菌防止剤、除草剤等の農薬や化学肥料等を使用しないオーガニック農法に加え、月と星座、宇宙の運行に基づく占星術を取り入れている農法がビオディナミです。ぶどう木を取り巻くテロワールは月や惑星、宇宙にまで及びます。地球の植物は天体の動きに影響を受けているという思想がビオディナミの根本にはあるのです。オーガニック農法は病気の原因分析から対策を導き出すのに対して、本来、その土地が持つ力に働きかけ、そのエネルギーを最大限に引き出すよう自然環境を調えるのがビオディナミです。
 

 
仏語 ビオディナミ Biodynamie
英語 バイオダイナミクス Biodynamics
 

  

 時にビオディナミ農法は、非科学的で儀式のような印象を受けます。例えば、満月の時に収穫や若木の剪定、新月の時に滓引き(おりびき)や古木の剪定。月の満ち欠けに従い、最も重力がかかった時にボトリングを行うなどです。特有のものと言えば、500番から507番までの番号がつけられた調合剤(畑の食事)と言われるプレパラシオン(プレパラート)も挙げられます。500番を例に挙げると、雌牛の角に牛糞を詰めて地中に半年間置いた後、雨水で希釈したものを肥料として畑に散布します。

 
 なお、ビオディナミであれば、ケミカルなものは一切使わないかと言ったらそうでもなく、有害性が極めて低いものに関しては、その使用が認められています。ベト病の対策に銅を使用し、安定性を求めて酸化防止剤などを使います。
 

 
仏語 プレパラシオン Préparation
英語 プレパラート Preparet
 

 

 ちなみにビオディナミの最大のマーケットは我が国、日本です。お近くのワインショップでビオディナミワインを見かけたら、是非手に取ってみて下さいね。





 

自然派ワインのイメージと現在


 「自然派ワイン」のイメージ、それは歴史的背景が半世紀かけて作り上げたもの、そして昨今、昔のワインへの回帰が叫ばれている、というお話をしたいと思います。自然派ワインにはそれ特有のイメージがあります。日本ではインパクトが強かった4、50年前の先入観がすっかり定着してしまいました。それは一体どのようなイメージでしょうか。私たちがまずBIO、自然派ワインに思い浮かべるのが、「臭い・不味い・汚い」の三拍子です。もちろん、造り手が意図している事ではなく、イズムを優先した結果、生じたものです。今は醸造技術も発達しています。そろそろこのマイナスのイメージから脱却する時です。
 
 現在、大半のワインが自然派、オーガニック、BIOワインに近いものではありますが、自然派ワインは明確な定義がないのが現状です。EUやアメリカには専門の認定機関がありますが、日本ではJASがオーガニック認定を担っている程度です。それも元々、ワインではなく農産物に対しての措置でした。日本の行政は縦割り社会である為、JASを管轄するのが農水省、ワインに関する唯一の法律である酒税は税務署の管轄です。完全にイメージやインプレッションの世界ですが、その線引きはどこにあるのでしょうか。片寄りすぎた自然派ワインのイメージを払拭する為に、客観的なアプローチと把握が必要になってきます。
 
 フランスにおけるオーガニックワインは1960年と言う年を境に、従来の農業と近代の農業に分けられます。1960年代、化学肥料や農薬の概念がまだない時代に、除草剤が誕生しました。誕生の背景には1970年代の大量生産・消費社会がワインにも求められ、それは大きな影響を与えました。フランスでは現在でも経済的な面で醸造の設備が整っていないところが多く、実際、ぶどう栽培から醸造、ボトリングまでを一貫して行っている元詰めは全体の30%にも及びません。ぶどうの栽培家とワインの醸造家が各々存在している状況です。一部の造り手を除いて、醸造家が栽培を栽培家が醸造をする事は実質不可能なのです。元詰めであっても採算が合わず、如何に人件費を削減するかに頭を悩ませました。
 
 栽培では特に、草引きの人件費が馬鹿にならず、畑の整備には1ヶ月から数ヶ月かけて行われます。1960年代以前、元詰めのワイン造りではビジネスとして到底、成り立ちませんでした。そんな中、農業の近代化として1番最初に登場したのが、除草剤でした。数ヶ月要した草引き作業が、僅か3日で済み、低コストで人件費の大幅な削減に成功しました。当然の事、大半の畑で除草剤が使用されました。草引きの人件費を削減する為に除草剤を散布する事により、死活畑では負のスパイラルが始まりました。除草剤は土壌にどの様な影響を与えるのでしょうか。散布が施されると、まず土が固くなります。固い土の中に有機物が閉じ込められ消滅し、土壌の蘇生が不可能となります。よって、樹勢はあるが、ぶどうが育たない、熟さない事態が起こります。当然のことながら、完熟しないぶどうからは優れたワインは望めません。
 
 1970年代に入ると完熟したぶどうを求めて化学肥料の使用も始まりました。化学肥料の投入は、時代の大量生産に対処していく社会的な背景もあります。瞬く間に未熟果実は解消されましたが、新たに別の問題が浮上しました。アルコール度数と果実味はあるが、ミネラルが欠乏したワインに仕上がるという事態です。その原因は、表土に撒かれた肥料は、地表に残留して土壌を異質なものへと変化させたからです。養分を地表で得られるので、ぶどうは地中深くまで、根を下す必要がなくなったのです。ぶどう栽培はスパルタ式ではないとダメなのです。縦ではなく横に伸びた根。即ちそれは、ミネラルを含まないのっぺりとした平たいワインになりました。
 
 1980年代になるとミネラル不足を解決する為に、醸造家が力量を発揮しました。大量生産志向も影響し、一定の濃さで果実味が厚いスタンダードなスタイルのワインが誕生しました。それから10年後の1990年代は、バイオの時代へと走りました。スタンダードなワインの多様化で、人工培養酵母の添加を施し、SO2が多用されました。アルコール度数も人為的にコントロールされました。その一方で、味わいには批判が集まりました。バナナ香は第一アロマの特徴でもありますが、当時は人工酵母のニュアンスが強かったからです。化学肥料の批判、味わい、価格面の理由から「昔のワインへの回帰」が起こります。軽くて日常で楽しめるリーズナブルな1Lボトル仕様のワイン。飲み疲れしない健やかなワイン。1960年より前の「祖父のワインへ戻ろう」と言う動きが見られました。しかし、既に化学的に汚染された土地は(現在約半分の畑)、時間をかけての土壌の改良か新天地を見つけるしか対策がありません。

 当時は化学による人的介入は哲学の定立上、悪しき行為とされていました。栽培や醸造においては原理主義的なアプローチが根源で、ワインが美味しいか否かは問題ではありませんでした。その為、1980年代後半〜2000年まで美味しいワインVS本物の(正しい)ワインのせめぎ合いが続きました。ここで言う「本物」とはイズムやスタンスと人的介入をしないプロセスで造られたワインを指します。
 

「ワインは美味しいという前に本物でなくてはならない」

 
 ビオディナミの第一人者であるニコラ ジョリの言葉にもそうあります。清潔なカーブ保持の失念、SO2の無添加、アンフォラの多用、醸しの最中の果房管理を怠る等、今よりも醸造技術も低い上に、いい加減な造り方をした為、必然的に失敗作ができあがりました。腐敗酵母によるブレット。メチオノール、メルカプタン、硫化水素等の硫黄化合物の発生により、ワインは大きく還元に傾き、下水溝、火薬、硫黄臭、豆香の強い刺激がワインに現れました。自然派ワインの世界では失敗作にも関わらず、当たり前のように市場に流通し、自然派・BIOワインイコール「臭い・不味い・汚い」の三拍子で認知され、半世紀経った今もなお、私たちのイメージにそう刻まれています。「変態ワインと」称され、「臭くないとBIOじゃない」と思い込んでいる人もいるほどです。

 
 2000年代に入ると、栽培、醸造技術が飛躍的に進歩し、自然派・BIO(ビオディナミ)ワインは哲学、教育、文学の分野で広がりを見せ徐々に認知されていきました。ビオディナミ自体は1970年辺りの、まだ哲学がなかった時代から、田舎の農家で造られてきたものですが、定着をしてきたのはごく最近の今世紀に入ってからです。
 
 
 2012年以降、今までのカテゴリーに当てはまらない新しい造り手が出てきました。近年、ロワール、アルザス、ジュラの北部僻地の造り手が、ラングドックをはじめとした南部への移動が見られます。彼らによる新天地での挑戦が始まりました。この先、自然派ワイン、いわゆるポストBIOはどうなって行くのでしょうか。今後の動向に目が離せません。
 




 

醸造から自然派ワインを知る

 

 

 醸造から自然派ワインを考えてみましょう。そもそもオーガニックワインやビオディナミと言われている類のワインは個性的である傾向が高く、どのような特殊な醸造を行っているのか、と疑問に思われた方もいらっしゃるのではないかと思います。自然派ワインもそうでない普通のワインも基本的には醸造は同じです。オーガニックだからと、変わった事は何一つしていません。両者は同じ事をしていても方向性や認識が異なるのです。それでは醸造における相違点を見ていきましょう。  


 まず、自然派は効率的な作業を求めてはいません。自然派ワインの多くはフランスの造り手が携わり、その目的をテロワールの具現化としています。天然酵母を用い、それらをいかに活かすかに力を注いでいるのです。彼らの哲学もまた、ニューワールドとは異なります。


 それでは具体的に、醸造工程である濾過と清澄について見ていきましょう。製品化された時の外観のクリアさを求め、クレーム対策に万全を期している工業的なワイン以外では、精密にフィルターをかけている造り手は、あまり見られません。ワインの揮発性化合物はおよそ1,000種類にも及びます。そのうち400種類は天然酵母が由来です。自然派にとって天然酵母は必要不可欠です。それらを100%活かす為にノンフィルター、ノンコラージュを選んでいるのです。


 ノンフィルター、ノンコラージュは一般の醸造では、自己消化によるアミノ酸、いわゆる酵母のニュアンスを残す事を目的としています。シャンパーニュやシュル リーワインから感じるイースト香とは違い、アミノ酸や出汁の旨味を指します。最近は赤ワイン、白ワイン共にウスターソースと表現される事が多々ありますが、酵母のニュアンスは旨味、そう考えて頂いたらわかりやすいかと思います。ノンフィルター、ノンコラージュだと残存酵母は瓶内で生きています。糖さえあれば二酸化炭素を発生させ酸化から守ってくれます。一方、外観の濁り以外のノンフィルター、ノンコラージュのデメリットは、乳酸菌の混入を許し、揮発酸の発生を招く恐れがあるという事です。程度にもよりますが、鼻にツンと来る刺激臭は、自然派ワインのイメージとしても定着しています。それほど揮発酸の発生率は高いのです。  

 
・MLF(マロラクティック発酵)
・糖分解→酢酸
・乳酸菌
・クエン酸→酢酸
・酢酸エチル


 
 自然派は天然酵母を用いる造り手が大多数なので、発酵が数か月から1年、あるいは1年を超える場合もあります。気温の下がる冬場は一時期に発酵がストップし(酵母ヴァカンス)、春が訪れると活動が再スタートするのです。ぶどう糖が残っていれば、MLF(マロラクティック発酵)ではなく、酵母は糖を食べて酢酸を発生させます。揮発酸が生じますが、多少の(度合いにもよりますが)揮発酸は、自然派の造り手は気にしません。実際、著者も軽い酸化はワインのポジティブな個性と捉え、個人的には酢エチ(=酢酸エチル)が出ているワインを好みます。彼らは自然任せでいて、何もしないのではなく、論理的に吟味した結果、やるかやらないかを決定しています。


 いくら自然派の造り手であっても、SO2・亜硫酸無添加は少ないのが現状です。自然派にとってSO2の使用目的は、微生物の殺菌です。一般的な使用目的である酸化防止の効果は求めていません。その理由は、酸化防止作用は二酸化炭素CO2で代替できるからです。


 我が国ではボージョレヌーボーのイメージが強い、マセラシオンカルボニック(以下MC)やセミマセラシオンカルボニック(以下セミMC)を醸造方法として選んでいるのも、果汁内ではなく果粒内、気相下での細胞内発酵を狙っているからです。細胞内発酵で発酵のズレが生じると、グリセリンが多く、口当たりが滑らかな果実味のあるワインに仕上がります。複雑かつピュアで、長期熟成に必要なポテンシャルも備わります。  


 また、自然派が好んで行うのが全房発酵です。全房発酵とは果梗(茎)を除去せず、全房ごと発酵させて造る事です。原理は細胞内の発酵が起きるのでMCやセミMCと同様です。1950年代以前の除梗機が発明される前は、除梗作業は全て手作業だったので、基本的に醸造は全房で行われていました。 アメリカ等のニューワールドではタンニンや色素を補うのが目的で導入されています。また、フランスでは殆どされませんが、除梗後の果梗を後で戻す、ステムリテンションもタンニンやストラクチャー強化の為に施されます。全房発酵はニューワールドでは骨格形成が目的ですが、自然派の間では酸素O2の供給が目的です。酵母は酸素と窒素を得て活動をしています。天然酵母を働かせるには酸素が必要なのです。


全房発酵を行うメリットは、  
 
・酸素が優しく循環し酵母に供給される
・醸造温度が低く変化も穏やか
・足踏みが可能なので酵母を傷めない



 
  なお、果房管理で行われるピジャージュ(パンチングダウン)も足踏みができるので酵母にとっては最善な方法です。全房発酵は発酵のコントロールが難しいので、非常に高い醸造技術が必要とされています。現在はフランスでは5〜10%の生産者が全房発酵を導入し、ピノノワールを扱うブルゴーニュ地方では全房発酵を進んで導入する傾向があります。とは言っても全房100%ではなく、その年の果梗の熟し具合により、10〜50%に全房を抑えて、残りを除梗で行うケースが主流となっています。全房と除梗の双方のメリットを活かす醸造ですね。


 醸造どんどん行きます。ついて来て下さいね。コールドマセレーションと滓(おり)の扱いについて行きましょう。コールドマセレーションをする造り手は自然派では少なくありません。コールドマセレーションとは発酵前低温浸漬の事です。果実を一定期間5〜10℃の低温で維持させ、果皮成分を抽出させる製法です。コールドマセレーションを施すと、酵母のニュアンスが加わり、醸造由来の第2アロマが現れ、黒ぶどうの果皮から抽出された色素とタンニンが増します。当初ピノノワールに使用されていた醸造技術ですが、今や世界中に広がりました。一般的には色問題で行う事が多いのですが、自然派にとっては酵母による微生物耐性、揮発酸を抑える、第2アロマの充実が目的です。早朝収穫も同様の目的で行われます。  


 一方、デブルバージュは自然派は行わない造り手が多いです。デブルバージュとは前清澄と呼ばれていますが、白ワインの醸造技術で発酵前にSO2を添加した果汁を半日ほど静置し、不純物を沈殿させて取り除く方法です。その理由は、デブルバージュを施すと一緒にたんぱく質も除去されるからです。ただ、デブルバージュをしない事で発生するデメリットは、ワインが還元状態になりやすいという事です。何故ならたんぱく質は還元要素の素となるからです。  


 自然派は熟成中の滓、すなわち天然酵母を活かす為、滓引き、シュル リー、バトナージュ(アルザス地方は特にしない造り手が多い)は施しません。よって、嫌気下に置かれる為、当然の事ながらワインは還元に傾きます。一方メリットとしては、残存酵母による酸素の消費が酸化防止の役目を果たし、自己消化によるアミノ酸等の旨味成分が増します。酵母が最大限に活かされたより自然な醸造となります。    

 

まとめ、自然派ワインは・・・・
 

 自然派ワインの醸造について見てきましたが、自然派の造り手は決して特別な事をしていないと、おわかりになられたかと思います。しかし、そのプロセスは一般のワインとは目的も意味合いも異なってきます。かつて自然派は原理主義の造り手からはじまり、今や3代目に移行しています。リスキーなワインは減りつつあり、原理主義の持続も今やありません。彼らは目指す方向性や意図によって、抜きたいものと残したいものを選定した結果、醸造の作業の有無を決定しています。オーガニック、BIO、ビオディナミ、自然派はイメージで捉えられやすい分野ですが、本来あるべき形は何か、つまり大切なのは「本質」という事です。 



 

種まきカレンダー

 

グラスカレンダー







 

 種まきカレンダーは惑星や月、宇宙のリズムに合わせて耕作する農業の指針となるカレンダーです。ドイツ人が研究した内容で毎年、日本語、英語、世界各国の言語で翻訳されています。カレンダーというよりかは薄目の冊子、本のようなイメージです。 発行元は種まきカレンダーを下記のように紹介していました。全文を抜粋しています。
 


種まきカレンダー

種まきカレンダー ぽっこわぱ耕文舎発行 B5判 64ページ(1,500円税抜)
 
 


「太陽系の惑星の位置と播種から収穫までの時期を対応させた、毎年刊行のバイオダイナミック農事暦です。この地球に生きるものたちは、太陽や月、惑星たちの作り出す宇宙のリズムを受けとっています。「種まきカレンダー」はその宇宙のリズムに沿って農作業や加工品作りができるように編まれました。近年ワインや化粧品の分野での成果がしられるようになった「バイオダイナミック農法」で使われる暦で、農作業の実際だけでなく、地球に暮らす存在が受け取っている宇宙からのエネルギーを植物を中心に観ています」
 

 ビオディナミはワインに限られた事ではなく、全ての作物で取り入れられている農法です。太陽や月の周期、リズムによって畑が何らかの影響を受けていると信じられています。宇宙、全体のほんの一部である畑は周りからの影響を強く受けるというところから、ビオディナミの根本的な考え方に、全体を知る必要性があるとされています。現代でも宇宙の影響は科学的に証明されていないので「宗教的儀式」や「オカルト」と気味が悪がられたりもします。不思議なものでこの「儀式」から素晴らしいワインが生まれたりもしているのが事実です。種まきカレンダーは文字の如くカレンダーです。暦があり、月の位置により、下記のように分かれます。  

 
葉っぱの日 ・花の日 ・果実の日 ・根の日
 

 
 それぞれの日は1〜3日続きます。葉っぱの日が3日続いて、中日に根の日が1日、その後は果実の日が2日間といった具合です。それぞれの日によって農作業(種まき、耕作、肥料散布、剪定、収穫)を決定します。例えば、ほうれん草は葉っぱの日に、菊は花の日に、ぶどうは果実の日に、大根は根の日に作業をします。月が影響を与えるというのです。  


 
種まき  


 皆様も普段ワインを飲んでいて「今日はなんだかいつものワインが美味しく感じられないな」「体調のせいかしら」と感じたことは少なからずともご経験があるかもしれません。自身のコンディションとワインの状態にも関係しますが、種まきカレンダーも関わっているのではないかと言われています。(著者の意見ではなく一般的に) 前回、不味いと感じたワインが今回は美味しい。何故だろう、種まきカレンダーを見返したところ、不味い日が根の日で美味しい日が果実の日だった。と言った、にわかに信じがたい事です。何かしら影響があるのかもしれないので実証してみる価値はあると思います。


 ただし、ルフレーヴの醸造責任者であるアントワーヌも曰く、「先代から受け継いできた農業の知恵を疎かにしてはいけません。種まきカレンダーを必要以上に重要視するべきではなく、あくまでも決定を導くためのひとつに過ぎません」   おっしゃる通りです。あくまでも農作業を決定するひとつのツールです。何事も依存し過ぎは良くありません。ビオディナミにとって生力学は切っても切れないところではありますが、何よりも醸造家としての経験や知識を元にした、個人の判断の方がよっぽど大切だと思うのでした。      


 
      

引用文献:「種まきカレンダー2016」ぽっこわぱ耕文舎



 

自然派の欠陥ワイン



 


 2000年代半ばからビオディナミワインが注目を集めました。20年ほど前は不可能だと全く見向きもされなかったものがです。健康志向がブームとなり背中を押された自然派ワインは広く、浅く消費者に知れ渡りました。今や、ビオディナミの最大のマーケットは日本です。オーガニック、有機栽培というだけで聞こえが良く、この魔法のフレーズを造り手、売り手は使わない手はありません。オーガニックやビオディナミは認証機関(組合)によって、ガイドラインが制定されてはいますが、まだまだグレーな部分が多いと感じます。  


 私はフランスに住んでいた2013年頃、ワイナリーの閑散期である晩秋〜春先は試飲会やワインフェアによく赴いていました。国別、産地別、中にはビオワインに特化した大きな試飲会もあり、各国のインポーターで複数の言語が飛び交い、大変な賑わいを見せていました。オーガニックワインの人気は健在である事を見せつけられたのであります。しかし、試飲会では欠陥と呼ばれるワインも多々鎮座されておりました。


 極端な酸化や還元、カビ、微生物汚染、予期せぬ瓶内二次発酵などなどです。自然派ワインに限った事ではありませんが、普通のワインよりややその%が高い気がしました。自然派の中には醸造の知識が不十分であって、好ましくない香りや味わいのワインが出てきたとしても、自然に則って造ったので、全く問題ないと判断している生産者もいます。彼らにとって、ワインが美味しいとか美味しくないなどという事は、全く無関心な事なのです。誰しもワイングラスでお酢が飲みたいわけではありません。美味しいワインが飲みたいのです。  


 明らかに欠陥があっても、BIOだから自然派だから、その特徴だと解釈する人がいますが、そんな方に私はひと言、申し上げたいです。普通のワインでも下手に造って失敗すれば欠陥ワインです。欠陥の理由を自然派に擦り付けて欲しくはありません。その上、だからこそ良いワインだと信じて消費者が飛び付いてしまっているのは、いかがなものでしょう。もはやBIO教祖がいてのBIO信者です。オーガニック、ビオディナミ、従来のワインに関係なく良いものは良いただそれだけの事です。ただ、日本に輸入されているワインのおよそ70%は欠陥ワインです。この数字に驚きを隠せませんが、軽い酸化や還元は欠陥と判断するか、ワインのポジティブな個性として捉えるかはその人によりけりです。  


 ともあれ、本質を貫いたワインは個人的に好きですし、そんな造り手がもっと増えることを期待しています。




 

亜硫酸の最大許可量




2013-10-24 10.21.21 





 








 酸化防止剤や殺菌剤として用いられる、亜硫酸(sulphur dioxide=以下S02) は二酸化硫黄、亜硫酸ガスなどの事を指します。暫し、健康志向からは悪者よばわりされる事もありますが、古代ローマ時代よりワイン生産の過程で硫黄を燃やして使用されてきました。言わばワイン造りに欠くことのできない物質です。


 その上、ワインを造る際には、副生成物として必ず5〜30ppmのSO2が発生します。 醸造過程でも通常は何度かSO2の添加を施します。最初のタイミングはぶどうを破砕する時です。果実の良し悪しで添加量を決定します。一般的には1hl当たり3〜5gで、果実の状態が悪く腐敗が懸念される時は、添加量は2倍にまで増やされます。一般的に白ワイン、特に甘口ワインには多く添加されます。白ワインはタンニン量が赤ワインと比べると少なく、酸化を招く恐れがあるので、SO2の使用量も増えるのです。

   
EUでの最大許容量は、

辛口赤ワイン 150ppm(残糖5g以上200ppm)
白、ロゼワイン 200ppm(残糖5g以上250ppm)
甘口白ワイン300ppm 極甘口ワイン 400ppm
※残糖分が5g/1L 以上と未満の場合は添加量が異なる

EU自然派ワインは組合により、40ppm〜160ppm

アメリカでの最大許容量は、350ppm
   

 全てリッター当たりの許可量です。日本での最大許容量は、EUよりも高く、350ppm=0.35?と規定されています。常にSO2量を測定し、不足量を補いつつ酒質を保護し、S02の総量の範囲内で品質管理されます。

 実際の総SO2量は50〜100ppmと許可量よりも概ね少なく、最近では極力減らす方向です。酸化防止剤としてSO2、あるいはアスコルビン酸を併用して、ビオディナミなどの自然派の造り手の中には、SO2を低く抑えたり、全く使用しない無添加ワインを造っているところもあります。 筆者個人の見解では、輸出や長期保存を考慮してワインの品質を維持する為には、SO2の使用は欠かせないものと感じています。          


参考文献:「ワインに含まれる添加物」横山弘和    
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    亜硫酸の是非



     




     







     2017年亜硫酸問題!インポーターとしてワインを扱っているので、亜硫酸の是非は大変よく聞かれる質問です。ここでは人体への影響を見てみましょう。そもそも亜硫酸とは一体何者でしょうか。暫し、添加物とされ悪者よばわりされる傾向がありますが、本当に悪でしょうか。


       亜硫酸は二酸化硫黄や亜硫酸ガスの事です。使用目的は2つあります。まず、ワインの酸化防止剤として。その次に酵母が増え過ぎたり、存在が望ましくない雑菌を殺菌する為です。ワインは沢山の化合物から成り、物質が結びついたり、温度により化学変化を引き起こします。亜硫酸はいわゆるパトロール隊で、それらをコントロールする役割を担っています。


     一部のぜんそく患者はたった1?/lの亜硫酸でも有害な反応を引き起こす恐れがあると報告されていますが、一般的に健康な人なら問題ありません。頭痛や動悸、顔や手足の赤みやほてりを亜硫酸が原因と判断する方もいらっしゃいますが、科学的な根拠はありません。 品質を守る為のパトロール隊は敵視される事も多々あるのですが、適量を正しく(賢く)使用すれば何ら問題はないと思います。むしろ、無添加の方が汚染などのリスクが高く心配されます。


     どの国も亜硫酸の使用量は制限を設けています。WHO世界保健機関は、動物実験をもとに1日の推奨摂取量を定めています。体重1kgあたり0.7mgとしています。単純計算ですが、体重が50kgの人なら35?、60kgの人なら42?です。100?/l亜硫酸が含まれているワインを半分も飲めば、37.5?となり体重が50kgの人は1日の許容量をオーバーしてしまう事になります。


     世界的に見ても年々、亜硫酸の使用量は減少しています。自然派ワインを求める消費者のニーズや少数派であった亜硫酸無添加ワイナリーの出現によるものです。また、使用量だけでなく、ワイナリーを完璧なまでにも清潔に保ち、腐敗や傷のない健全なぶどうを使う事も並行して大切です。


      ちなみにワインよりもドライフルーツの方が10倍もの亜硫酸を使用しています。そして、いくら亜硫酸無添加と謳っていても、ワインの醸造過程で添加はしなくても、酵母が自然な工程として副生成物で亜硫酸を作り出します。5〜30mg/lほどの少量ですが、これでも亜硫酸は悪と言えるでしょうか。古代からも使われ続けて、製造のプロセスでも生成されるもの。亜硫酸のおかげで高品質をキープでき、遠く離れた日本でも世界中のワインが楽しめるという恩恵の方が強く感じるのでした。


     

    オーガニック・ビオディナミの認証機関



     オーガニック(ビオディナミ)の認証機関は独自のガイドラインを持っている国やEU、各組合から成り立っています。生産者によっては、規制は受けたくないといった理由から、あえて認証を受けない、あるいは一部の低品質のワインを生み出す自然派の造り手と一緒にされたくないが故に、ワインの認証を取得していても、ラベ ルに表記しないケースも多々あります。ここではオーガニック(ビオディナミ)の認証機関の一部をご紹介します。

     

    【オーガニック認証機関】   


        ユーロリーフ(Euro leaf)・・・EUの有機ロゴで最も有名ですね。2012年より、EU加盟国において生産、包装された全ての有機食品は、基準を満たしているものは、有機ロゴの表示が義務付けられました。ラベルには認定機関のコード番号と原材料の栽培地を記載することが求められています。非包装の食品や輸入品に関しては、ロゴの使用は任意とされています。


        エコセール
    エコセール(ECOCERT)・・・1991年に設立した世界最大級のオーガニック認証団体です。フランスのトゥールーズに拠点を置き、世界85ヶ国以上が加盟しています。EUではオーガニック製品に関する法律が施行されており、認証には農薬や肥料だけでなく、土壌検査、保管場所、種子管理、添加物から広告物にまで規制があります。    



    AB

    AB(Agriculture Biologique)・・・EUでお馴染みのABマークです。フランス政府の厳しい基準をクリアした、栽培から商品加工にいたる全ての工程で、添加物まで厳密な管理と監視が行われています。    







          【ビオディナミ認証機関】     



    ビオディヴァン
    ビオディヴァン(Biodyvin)・・・ビオディナミの生産者による組合で、彼ら独自のビオディナミのガイドラインに則って栽培と醸造が行われていることを証明しています。エリート生産者の技術面の情報交換となり、消費者からはテロワールとビオディナミによる上質なワインで認められています。ビオの適性検査等はエコセールに委託しています。      



    デメテール
    デメテール(Demeter)・・・スイスのゲーテアヌム(ルドルフシュタイナーが設立した協会)を本部とする団体です。ビオディヴァンと同様にエコセールに検査は委託しています。  



    renaissance
    ラ ルネサンス デ ザペラシオン(La renaissance des appellations)・・・2001年ニコラジョリによって設立された団体です。規制を設けた認証機関とは少し異なり、本物のワインの哲学やビオディナミの発展を推進することを目的としています。会員はビオディヴァンやデメテールに加入していることが殆どです。      


    ※以前はオーガニック(ビオディナミ)の認定基準は農法のみでしたが、2012年から醸造にまで範囲が広がりました。製造方法や亜硫酸などの添加物の制限が新たに加わりました。




    参考文献:「ビオディナミワイン35のQ&A」アントワーヌ ルプティ ラ ビーニュ





     

    自然派ワインの外観・香り・味わい




    カラーバリエーション 






     自然派ワインはかつて「欠陥ワイン」とレッテリングされる時代がありました。その為、現在は醸造技術の進歩により、ハイレベルのものが生み出されているにも関わらず、未だに認識や先入観のズレが生じています。 自然派ワインと言えば、色彩も濃い黄、オレンジ、茶色が多く、曇っているワインも多く見られます。基本的に清澄を施さず、仮に清澄をしたとしても、自然清澄(低温清澄)程度なので、そのような外観になります。もちろん滓引きもしません。DRCのラターシュはなかなか滓が沈殿しないので、抜栓2ヶ月前より垂直にボトルを保つ必要があります。 清澄度に影響を与える曇りの原因は2つあります。  

     
    ・たんぱく質
    ・酵母


     
      残存たんぱく質は嫌気下の酵母によって消費され、硫化水素の発生を促し、ワインは還元に傾きます。くすみやモヤ状の滓の発生を防ぐには、前清澄でたんぱく質を除去する必要があります。モヤを取り除く為に最近はフィルターにかける傾向がありますが、完全にはかけないで、残存たんぱく質や酵母を活かそうと試みます。酵母はその死後の役割も大きく、栄養分としての酵母エキス(アミノ酸を含むビール酵母等)や100%の酵母が自己消化するわけではないので、10%の生き残り酵母による酸素O2の消費、つまり抗酸化作用が期待できます。旨味を与え、酸化からワインを守ってくれるのです。  


     自然派ワインの場合、くすみ具合とイエローバリエーションで外観を判断します。スキンコンタクトからくるイエローバリエーションは茶系、糖度の濃い琥珀系、ボトリティスシネリア菌が由来の鼈甲や飴色系等々5種類あります。酸化が起因するオキシデーションカラーは、自然派ワインの特徴でもありますが、スキンコンタクトの時間を短くして、綺麗な色(とはいってもブリリアントイエローではありませんが)にしているメーカーもいます。イタリアの攻めた造り手であるラディコン。彼のクリアな紅茶色ワインは、熟成由来のカラーではなくマセラシオン発酵によるものです。フランスでは見られない醸造で、スキンコンタクトで引くという方法を用いています。色合いから醸造方法が掴めます。  また、亜硫酸SO2の使用量を抑えるとワインはこの様な色になります。  
     

    赤ワインの場合・・・紫〜緑系の紫
    白ワインの場合・・・茶系


     
     

     ローヌ地方のSO2無添加ワインは光に透かすと深緑に見えます。おまけに粘性が高い。それは技術の高さを示します。安価なワインに粘性が見られると、人工的に補糖をしているか、もしくはアルコールを添加している疑いがあります。


     香りと味わいにつてはどうでしょうか。 一般的なワインは、品種の特性香をワインに求めます。自然派ワインはどちらかと言うと、品種よりも醸造の特性香が現れます。第二アロマである醸造由来の香りが出てきます。どんな醸造技術を使用したかも、香りが教えてくれます。


     
    ・マセラシオンカルボニック・・・・バナナ(※)
    ・低温発酵・・・・キャンディ、吟醸香
    ・マロラクティック発酵・・・・杏仁豆腐、カスタードクリーム
    ・スキンコンタクトやノンフィルター・・・・酵母香

    ※自然派ワインではマセラシオンカルボニックではバナナ香は出ません。バナナ香はバイオ酵母由来の香りです。

     
     自然派ワインからビオ香(時にビオ臭と言われる)、動物香がすると表現する方がいます。それは自然派ワインの定着したイメージから来る事で、一般のワインと比較しても自然派ワインは特別な事は何もしていないので、自然派に限らずどんなワインにも現れる香りです。香りの種類を8つ挙げてみました。    

     
    ・還元香・・・硫化水素が原因
    ・酸化香・・・酢酸エチル(揮発酸)が原因
    ・ブレッド・・・赤ワインはブレタノマイセス(腐敗酵母)、白ワインはサッカロミセス(通常酵母)が原因
    ・産膜香・・・フロール(産膜酵母)が原因、シェリーや紹興酒の香り
    ・酵母香・・・酵母が原因、酵母は自己消化する
    ・ボトリティス香・・・ボトリティスシネリア菌が原因、プラスチック香、一般のワインに感じたら違和感がある
    ・ジアセチル香・・・酵母が原因、乳酸系、バターやヨーグルトの香り
    ・高温劣化香・・・高温保管が原因、甘辛いカレーのような香りで、果実味がない



     
     酢酸エチルやジアセチルはポジティブな香りです。産膜香はジュラのワイン、ボトリティスも貴腐ワインなら好ましい香りで、ブレットも程度によってはイタリアワイン愛好家の間では好まれます。その他、赤ワインに見られる、還元と僅かな酸化が原因である、ウスターソース香。近年は少なくなってきているものの、還元の一種である小豆香(豆香)。未熟な果実を使用したメトキシピラジンが原因の未熟香があります。  


     濁ってあまり美しくない外観や特有の香りでもないビオ臭で括られて、ディスアドバンテージですが、それらと比例して味わいはどうでしょうか。醸造技術が向上した事により、昔と比べてもテイストは遥かに良くなり、外観や香りを覆すような優秀なワインも出てきています。抜栓したては残存二酸化炭素CO2のニュアンスが強く、1〜3時間後、あるいは翌日に更に良くなっているケースが多いです。アタックにおける粘性が強いものは、完熟度の高い果実を使用している事を裏付けます。PHが高い(=酸度が低い)という事なので、乳酸系でワインは、よりアロマティックになります。また、ポジティブな揮発酸の風味がワインを上質なものにします。  


     自然派ワインはボトルの個体差も大きく、ボトル熟成での変化も通常のワインより顕著に見られます。その上、抜栓したワインは香りや味わいだけなく、色調の変化も素早く、時にそのスピードに驚かされます。  
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      ワインの火入れ



      火入れ 


       








       ワインは生き物です。定温に保たれたカーブで寝かされているワインもボトル内では緩やかに変化しています。その原因は酵母が生きていて、発酵の環境が整えば、いつでも活動できる状態にあるからです。酵母は15℃前後の温度では不活発ですが、静かに生きています。25〜30℃で最も活発に働きます。それ以上になると死滅します。活動しやすい温度とエサとなる残糖があれば、瓶内二次発酵を引き起こします。酵母の数をある程度コントロールしてワインを安定させる方法は3つあります。  


       
      ・濾過・清澄をする
      ・火入れする
      ・SO2を添加する


       
        濾過・清澄では微生物を取り除くことにより旨味を削ぎ落としてしまう為、ノンフィルター、ノンコラージュの生産者もいます。 2番目に記載している火入れとは、瓶詰の前に加熱処理を施し、酵母を殺菌する事です。日本酒の世界では「火入れ」をします。火入れをしていない生酒も流通していますが、そうなると酵母の活動を抑える為、徹底した温度管理が要求されます。その為、火入れするのが一般的です。日本が誇る伝統醸造技術ですが、自然派ワインの造り手は火入れは行いません。天然酵母、即ち旨味を残したワイン造りを目指しているからです。

       それではいったい何をするのか、3番目のSO2の添加です。亜硫酸ガスが増えすぎた微生物を殺菌しワインの安定化をもたらせます。自然派ワインでなくても最近はSO2の添加量をなるべく抑える傾向があります。あるいは全く使用しない造り手もいます。彼らのワインは15℃以下の温度管理がマストです。  


       スーパーやコンビニ等の商店で300〜980円で販売されている「無添加ワイン」。ここでの無添加とは亜硫酸SO2ゼロの事を指します。亜硫酸無添加、酸化防止剤無添加なら健康に良いと思われ飲んでいる方も多いのではないかと思います。


      ちょっと待った!!


       既にお伝えしましたが、安定したワインを造る為、酵母などの微生物をコントロールする事が大切だと述べました。酸化防止剤、そして殺菌剤としてのSO2が一切入っていない。しかも常温の陳列棚に並んでいるという事は、非常にリスクが高いのです。それを可能にしたのが火入れです。ボトリング前に60〜70℃にワインを加熱して微生物を殺します。ワインは極端に熱を嫌います。繊細な香りや味わいは様々な物質が複雑に絡み合い、化学変化が起きて発生されます。日本酒の火入れならまだしも、ワインを高温に晒すとはとんでもない事です。火入れを行うとSO2は無添加で済みますが、その代わり熟成に不可欠な酵母を失います。瓶内での熟成は見込めません。工場で作られた工業的なワインは、もはやワインではありません。生産者の想いや哲学が反映された芸術作品ではなく、ぶどうが原料のただのアルコールです。


       「無添加ワイン」というキャッチコピーは聞こえがいいですが、日本の消費者の無知に付け込んだ悪質な商品です。無添加ワインはワインではありません。プラスチックボトルに入ったワインを貴方は飲めますか。    







       

      自然派が目指すところ



      MC 









       



       自然派の造り手達が目指すところについて探りを入れたいと思います。自然派ワインの造り手は、畑での栽培だけでなく、ワイン造りにおいてもBIOである事を目指しています。EUの規定で2012年より、栽培と醸造の分野でVIN BIOが認められてきましたが、全く定まっておらず、ユーロリーフでさえもアメリカに渡ったらオーガニックグループに改め直さないとならないのが現状です。


       醸造における自然派の生産者は、無農薬を経て不介入主義となりました。人的介入をしない、つまり極力何もしないという事になります。ワインに関しては介入せずともできますが、ビールや日本酒はそうはいきません。テロワールを拠り所とした旧世界の極端な造り手達は、不介入にする事によってテロワール(人、哲学、思想)の確保や体現へと走っています。天然酵母を活かす事によって、いかにvin de terroir テロワールのワインを体現するのか。といった具合です。  


       そもそもワインの香りは、ヴィンテージやその年の情報が刻まれた酵母によるもので、土壌を含めたテロワールで確定されるのではありません。確かに粘土、シスト、水はけが良いなどの土壌の性質は味わいに影響を与えていますが、香りとは無関係です。突き詰めれば、味わいの根拠は酵母にあるのです。  

       
       ワインの風味化合物には、酸・アルコール・糖・ポリフェノール・揮発性化合物等があります。香りや複雑性を決定しているのは揮発酸、フェノール類をはじめとした、およそ1000種存在すると言われている、揮発性化合物です。他の化合物と結合をするとその数は、無数です。  


       天然酵母の第一次集団(40〜60%)は果皮酵母を指します。よく、蔵付き酵母と言われますが、日本固有のもので海外にはそのような概念はありません。第二次酵母(30%)はオークの森です。フレンチオークを使って仕込んだところ、ニュージーランドワインからフランスの酵母が発見されたという事例も上がっています。  


       不介入主義、ワインの香りを決定するのは酵母と来ました。お次は天然酵母を活かしたワイン造りについて言及したいと思います。 全房、MCを見ていきましょう。自然派の造り手の主要な醸造方法では、マセラシオンカルボニック(以下MC)、セミマセラシオンカルボニック(以下セミMC)が挙げられます。MCはボージョレで行われる特殊な醸造方法のイメージがありますが、自然派の間では主流です。 MCとは密閉タンク内に未破砕の黒ぶどうを房ごと投入し、二酸化炭素CO2を充満させて数日間置く方法です。果汁ではなく果粒内で細胞内発酵を引き起こします。果汁が流出するとMCではなくなるので、ぶどうが壊れていない状態で二酸化炭素を満たします。嫌気的な環境下で1.5〜3%のアルコールが果皮から内側へと細胞内発酵が進みます。後、2段階目の発酵MLFでりんご酸が代謝されます。発酵時間が長くなると酵母はストレスでグリセリンを生成します。このグリセリンがスムーズで滑らかなワインとなるのです。MCを施したワインの特徴は、クリーミーで舌触りの良い飲み心地で、果実のアロマが際立ちます。


       ただ、物理的に100%MCは有り得ません。ぶどうは二酸化炭素によって押しつぶされるので、仕切りをするまでしないと、完璧に全てが細胞内発酵ではありません。タンクの上部が細胞内発酵、ぶどうが破砕された下部では二酸化炭素が発生し、酵母発酵が行われます。MCよりセミMCの方がメジャーな醸造です。造り手により、タンクの蓋をずっと締めたままであったり、開閉を繰り返したり、開けてつど、ピジャージュを行ったりと様々です。 セミMCでは基本、発酵時のSO2の添加は不要です。タンク内の液面には二酸化炭素CO2が膜が張り、果汁にも溶け込んでいるので酸化防止の効果があります。入れたとしても10〜15ppm程度です。自然派にとってSO2の目的は抗酸化作用ではなく殺菌作用と明確です。抗酸化作用は発酵で生じる二酸化炭素がその役割を担ってくれるからです。 全房で施すと酵母にとって良い環境が生じます。彼らにとって快適な温度環境と動きが取れるスペースがあるので、発酵もスムーズに行われます。酵母を活かしたMC、セミMCのメリットは、

       
      ・SO2無添加、或いは少なくて済む
      ・果実味が豊か
      ・発酵温度が上がらない


       
        MCは深みがないとか、AOCであるのが理解できないとかの反論もあります。非常に手間がかかるので今やマイナーになっていますが、かつては醸造は全房で行われていました。ブルゴーニュも全体でもガメイが作られていました。7回に分けて少しずつ人工補糖がされている産地ですが、全房を目標としています。MCのイメージを覆さないと見えてこないものですが、今後更なる、スキルアップが叶えば、素晴らしいワインが生まれるに違いありません。  




       

      天然酵母がワインの味わいを決定する


        酵母  







       

       ワインの味わいの由来はぶどう品種やテロワールからもありますが、1番影響を与えるのは使用する酵母です。酵母の役割によりぶどうは発酵しアルコールと二酸化炭素を発生させます。1種類のぶどうには約50000個の酵母が住みついており、パン、ビール、日本酒などにも使われるサッカロミ(マイ)セスSaccharomycesと呼ばれる酵母が主となります。それらが味わいに影響するのです。数百ものサッカロミセスが存在しますが、ワインの酵母としては下記に挙げるものがあります。ブレタノミ(マイ)セスBrettanomycesは欠陥ワインに見られるブレット、いわゆる腐敗酵母と言われているものです。    

       
      ・Saccharomyces cerevisiae
      ・Saccharomyces cerevisiae beticus
      ・Saccharomyces cerevisiae bayanus
      ・Metschnikowia pulcherrima
      ・Torulaspora delbrueckii
      ・Brettanomyces


       
       発酵由来の第2アロマは共通しています。それぞれの酵母が醸し出す味わいだけでなく、ぶどう由来の第1アロマにも影響を及ぼします。酵母によって、よりオイリーでクリーミーなテクスチャー、そしてスパイシーでシャープな味わいをワインにもたらします。昨今では昔ながらの天然酵母(自生酵母)を使用する生産者が増えてきており、自然派が行きつくのが天然酵母です。同じ品種でもポリフェノールの抽出量が多くなるという研究結果も出ています。天然酵母と人工酵母を飲み比べて違いを体感してみてはいかがでしょうか。


       

      スティルワインに見られる2つの泡


      スティルワイン 


       スティルワインは直訳すると、still wine 静かな泡のないワインという意味です。つまり、二酸化炭素による発泡性がないという事です。その逆は発泡性のある(3気圧以上)スパークリングワインを指します。スティルワインにも泡が見られることがあります。その原因は2つあります。

       
      ・瓶内で二次発酵が起きている場合
      ・二酸化炭素が残っている場合


       
        まず、瓶内で二次発酵が起きている場合です。残存する酵母の数が多い、程よくエサとなる残糖がある、貯蔵庫の気温が14℃以上と高い、SO?の添加が微量あるいはゼロの場合、酵母が働きやすい環境が整います。休眠状態から目覚め活動をすることがあるのです。瓶内で酵母がぶどう糖を食べてアルコールと二酸化炭素を発生、つまり再発酵を引き起こしてしまうのです。外観からも発泡が確認でき、ワインは非常に不安定な状態です。人為的な狙いのあるシャンパーニュ(スパークリングワイン)以外では瓶内二次発酵は欠陥ワインと言えるでしょう。  


       その次に、二酸化炭素が残っている場合です。外観からは判断が難しく、口に含んだ時にピリピリとした気泡を感じるのは、二酸化炭素が残っているからです。自然派の造り手でよくみられます。醸造工程で発生した二酸化炭素がタンク内の液面に膜を張り、液中にも溶け込みます。殺菌、抗酸化作用がある為、ワインは微生物や酸化から守られます。バトナージュ(熟成中タンク底に沈殿した滓を棒で撹拌して旨味成分を抽出する醸造方法)を施さないケースでは、二酸化炭素は抜けきらず、ワインに残留するのです。それが、発泡しているかのようなシュワシュワ感になるのです。    


      スティルワインとはから、スティルワインに見られる2種類の泡について言及しました。



       

      オレンジワイン




       「オレンジワイン」最近よく耳にするかもしれません。今回はオレンジワインについてお話しましょう。醸造工程で赤ワインは、果皮を果汁と長く接触させて造ります。その工程を醸し(スキンコンタクト*)と言いますが、そのようにして造られる白ワインの事をオレンジワインと呼びます。果皮と種から抽出されるタンニンが豊富なので、通常の白ワインよりも色が濃くなります。時には種のリグニン由来や熟成により茶褐色になるものもあります。外観のカラーによってオレンジワインと言われています。当然のことながら、果実のオレンジから造られる訳ではありません。


       セメントかセラミック製の大きな発酵槽で、4日から時には1年以上もの長きに渡って醸されます。その際、蓋を閉めた状態と、蓋を開けたままの好気的な環境下で行われる2パターンがあります。太古は白ワインも皮ごと醸造されていて、現在でもより人為的な介入をしないワイン造りとして、自然派の造り手が好んで手掛けています。よって天然酵母の使用、補糖は行わない、So2無添加、ノンフルター、ノンコラージュ率が高い傾向があります。


       外観はオレンジや黄金色なのが特徴です。フルボディのしっかりとした骨格が太い白ワインのアタック。そして、ライトボディの薄うま赤ワインのアフターと言ったところでしょうか。香りは酸化によるヘーゼルナッツ、傷付いたりんご、ニスや除光液などのツンと刺激のある酢酸エチルなどが感じられます。酸化のテイストと滓による旨味、果実そのものの良さを発見できるようなワインです。フェノールとタンニンも豊かなので余韻も中程度から長めです。アルコール度数はやや高めですが、ナチュラルで飲み疲れのしないのが、オレンジワインの良いところですね。ジョージアやイタリアのフリウリが最も有名ですが、実は隣国の影響を受けてスロヴェニアでもよく見かけます。次回(5〜6月)の輸入の際にはスロヴェニアのオレンジワインを8種類ほど入れる予定です。先日の試飲会でご好評を頂いたものです。新商品の入荷を乞うご期待下さい。


          *スキンコンタクト・・・・白ワインの特殊な醸造方法。果皮を果汁に数時間から数日の間、浸漬させて果皮の成分を果汁に移行させる方法。赤ワインの製造工程では必ず醸しが行われる。

       

      リュットレゾネ



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       リュットレゾネ lutte raisonnée と言う言葉を聞いた事がある方もいらっしゃるかと思います。リュットレゾネとは2004年にフランスに導入された減農薬栽培の事です。英語ではサスティナブル sustainable (=持続可能な。地球環境を保全しつつ持続が可能な産業や開発などについて) 土壌の状況を判断して、必要な時だけに化学肥料や農薬などを使用する事から減農薬農法、または対処農法とも呼ばれています。103項からなる指示書には細かく農薬使用の基準が定められています。農薬類の使用量の制限はありますが、従来の農薬まみれの農業でもなく、祖父の世代の自然なワイン造りでもありません。 

       昨今、キャッチコピーが目的ではなく、ブルゴーニュ地方を筆頭に昔ながらの本質的なワイン造りが広まりつつあります。無農薬、化学肥料不使用、いわゆるオーガニック農法が世界規模で浸透しているという事です。早かれ遅かれ、本当の意味でサスティナブルな無農薬が当たり前と言う時代が来るのではないでしょうか。いや、あの頃に戻ると言った方が正しいかもしれませんね。

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