「プロの味を食卓へ」のコラムでは名店のシェフの簡単なお料理レシピをご紹介します。中華料理を担当するのは、北新地RAKUSUIの佐藤シェフです。シェフ直伝の本格中華をご家庭でもお楽しみ下さい。お料理とマリアージュするワインのご紹介や合わせるポイントも明記していますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
担担麺 「汁無しか汁ありか、それが問題だ。」 いえいえ、そんな問題はどこにもありません。そもそも担担麺には汁らしきものは入らないのです。 名前の由来通り、その昔四川では天秤で「担いで」売っていたくらいですから、簡単に作れて小腹が空いた時におやつ感覚で食べる『辛い和え麺』です。 是非ワインのおつまみにどうぞ。
四川風簡単麺(担担麺)・材料〈一人前〉
市販の中華麺(ボイルされたもの) 1パック | 豆板醤 小さじ1 |
胡麻ドレッシング(胡麻ダレ可) 大さじ1 | 卵黄 1個 |
オイスターソース 大さじ1 | 万能ねぎ 適量 |
黒酢(普通の酢でも) 大さじ1 | 胡麻 2つまみ |
ラー油 大さじ1 |
《作り方》
1.どんぶりに中華麺以外の材料を入れてよく混ぜる。
2.30秒ゆでた中華麺の水気を切って、1へ入れて混ぜて出来上がり。
〔補足〕
お好みで豚ミンチのそぼろ、茹でた豚バラ肉スライス、キュウリの千切り、白髪ネギ、山椒や食べるラー油などを加えるとより本格的に!
《マリアージュ》
中華風カルボナーラと称する担担麺は厚みのあるスパークリングワインがよく合います。例えば、ブラン ド ノワール(黒ぶどうから造られた泡)やロゼのスパークリング、コクのあるスパークリングなど。辛口ランブルスコもおすすめです。担担麺のゴマのクリーミーさと唐辛子の辛味が深みのある泡と上手く調和します。(2015/10/18)
ヘルシー志向の女性に人気の中華メニュー、蒸し魚。しかし、セイロがなかったりとお家で作るには難しそうですよね。「いいえ、安心して下さい。簡単ですよ!」年中美味しくてクセもなく、そしておめでたい魚「鯛」を使って、ちょっと嬉しいことや、おめでたい出来事のあった日の食卓に作ってみて下さい。
蒸し魚・材料〈二人前〉
鯛の切り身 2切れ | ごま油 大さじ3 |
白ねぎ 1/2本 | 水 50ml |
生姜スライス 5枚 | オイスターソース 大さじ2 |
三つ葉 1パック | 塩胡椒 適量 |
日本酒 40ml |
《作り方》
1.フライパンにごま油大さじ1を入れ、塩コショウをした鯛の皮を上に1cm離して並べる。
2.切身に葱と生姜の細切り、三つ葉をのせ、ごま油大さじ1を全体に回しかけ、中火で1分加熱する。
3.鍋が温まったら日本酒が直接魚にかからないように注ぎ、すぐ蓋をして5分蒸す。
4.別鍋で水とオイスターソースを沸騰させソースを作る。
5.蒸し上ったら魚が崩れないよう皿に移し、ソースと残りのごま油大さじ1をかけて出来上がり!
〔補足〕
魚は冷蔵庫から出し、10分ほど常温にすると更に美味しく仕上がります。鯛の他に白身魚なら何でもOK。鱈や鰈や鮃でも美味しいですよ。蒸し上った後にパクチーを添えるとより本格的に!蒸し鶏や蒸し豚にも応用できます。余ったソースは豆腐、白御飯、サラダにかけてドレッシングとしてご活用下さい。
《マリアージュ》
生姜と葱の香味とオイスターソースの旨味がギュッと詰まった一品です。合わせるワインはミネラルが豊かな辛口の白ワイン。すっきりと酸がまとまっている爽やかなものがおすすめです。スロヴェニア産のゼレンが蒸し魚とぴったりです。土着品種であるゼレン特有のホワイトペッパー、生姜のスパイシーな香りと美しいミネラルが素晴らしいハーモニーを奏でます。ふわふわの蒸し魚に冷えたワインの喉越しが心地よく、お食事が進むこと間違いありません。日本酒の代わりに頂くワインを使って蒸しても良いですね。ご自宅でプロの味とワインのマリアージュをお楽しみ下さい。(2015/11/19)
佐藤 和博 (1979年1月1日生まれ A型)
北海道はオホーツク海沿岸で生まれ育ち、料理人を目指し大阪辻調理師専門学校へ。新阪急ホテル(大阪の老舗ホテル)、芦屋東天閣(神戸の伝統的中華レストラン)で本格派中華を学んだ後「なんとなく」イタリア料理の門を叩く。 現在は、独創的な中華料理とワインのお店『北新地RAKUSUI』のオーナーシェフとして活躍中。彼の考案した五川麻婆豆腐はファンが多い。
北新地 RAKUSUI
創作中華料理とビオワインのお店
大阪市北区曽根崎新地1−9−8
大人気(?)コラム「プロの味を食卓へ」のフレンチを担当するのは、北浜のUniqueのオーナー中山シェフです。フレンチの常識を返した型破りなヘルシー&簡単メニューを披露してくれます。ご自宅で憧れのフランス料理が作れるとは嬉しいですね!ソースマジシャンのイルージョンをトクとご覧あれ!!
肌寒くなると汁物が欠かせませんよね。魚貝と野菜の具沢山スープ、チャウダー(chowder)では、アサリを使ったクラムチャウダーがお馴染みです。チャウダーは釜、大鍋を意味するフランス語「chaudiere」が由来だと言われていますが、実はアメリカの家庭料理なんです。移民により成立した合衆国は、ひと口にチャウダーと言っても地域により具材も味付けも様々です。イギリス移民の多いニューイングランドでは生クリームベース、イタリア移民が多いマンハッタンではトマトをふんだんに使います。ちなみに米語ではchowは食事を意味する造語です。「フランス料理とちゃうだー!」なんて言わずに、まあ見て下さい。日本人シェフが作るとこんなに上品で素敵な一皿になります。
サーモン 150g | 濃いめの鰹だし 20ml |
玉ねぎ 1/4個 | オリーブオイル 大さじ2 |
にんじん 2? | ごま油 小さじ1 |
ズッキーニ 2? | 酒粕 小さじ2 |
白ねぎ 8? | 塩胡椒 適量 |
セロリ 8? |
《作り方》
1. サーモンをごま油でソテーする。(即席サーモンコンフィ)
2. 5mm角に刻んだ野菜をオリーブオイルで透き通るまで炒め、出汁を注ぎ5分煮込む。
3. 一口大に切ったサーモンを加えて酒粕を溶く。塩コショウで味を調え、仕上げにオリーブオイル(分量外)をかけて完成!
〔補足〕
野菜は甘味を引出す為に弱火で時間をかけて炒めて下さい。味噌汁の要領と同じで酒粕を溶いたら煮込まないよう注意しましょう。サーモンの他、白身魚やポークを使っても美味しいですよ。スープの中で火を通した鱈の白子をトッピングしてもいいですよ。byシェフ。
〈マリアージュ〉
野菜の甘味と酒粕の旨味が引き出された身体温まるスープ。味わいも上品です。合わせるワインで瞬時に思い浮かんだのが山梨の甲州(白ワイン)です。双方に香る吟醸香が間違いないでしょう。その他の品種ではニュートラルなものでシャルドネ、ピノブラン、ユニブラン。シャルドネでもアロマが華やかなのはNGです。香りや樽感が控えめで、シンプルかつ謙虚なタイプのワインが良いでしょう。365wineのワインならスロヴェニアのZAROのマルバジアがおすすめです。アロマがおとなしめで美しい酸が後に続きます。クリスマスディナーの一皿にいかがでしょうか。ワインと共にお楽しみ下さい。
カルボナーラはパスタじゃないとダメ?中山シェフのひょんな思い付きから洋食屋の人気リゾットとカルボナーラが出会ってしまいました。 第1回目の米国籍チャウダーに引き続き、またしてもフレンチではない他国籍の一品。「フレンチではパスタ料理はあまりないけれど、お米を使ったメニューは少なくない」とシェフは言い張ります。フライパン1つで一瞬で出来上がるリゾボナーラをご紹介します!
リゾボナーラ・材料〈ニ人前〉ご飯(硬めに炊いたもの) 2膳(300g) | ブイヨン(濃い昆布だし) 20ml |
玉ねぎ(エシャロット) 1/2個 | 卵黄 2個 |
オリーブオイル 大さじ2 | パルメザン(粉チーズ) 60g |
白ワイン 60ml | 黒胡椒 適量 |
ベーコン 40g |
《作り方》
1. みじん切りの玉ねぎをオリーブオイルで炒め、ベーコンを加えカリカリになったら、白ワインを入れ煮詰める。皿は温めておく。
2. 1に温めたご飯とブイヨンを入れて軽く炊く。火を消し卵黄とパルメザンチーズを混ぜ合わせて盛付ける。仕上げに黒胡椒を振って完成。
〔補足〕
卵黄とチーズは余熱で絡めて下さい。味が薄ければ塩で味を調えましょう。具材はアサリ、ホタテ、アスパラガスなどもお勧めです。パルメザンチーズの擦りおろしをトッピングしても良いですね。
《マリアージュ》
バター、生クリーム、ニンニクは未使用なのでクリーミーながらもライトなお料理です。スパイシーな黒胡椒が全体を引き締めてくれます。合わせるワインは白ワインならすっきりし過ぎていない、ややコクのある辛口タイプ。チリや並級品のブルゴーニュのシャルドネ。赤ワインなら酸味も渋味も強すぎないミディアムボディ。フランスのシンプルなメルローはいかがでしょうか。(2015/12/21)
ジャンボネット(jambonnette)とは南仏の郷土料理です。鶏肉や七面鳥のもも肉の骨を抜き、詰め物をしてソテーにしたり、煮込んだ料理です。ハムをフランス語でジャンボン(jambon)と言うところから名前が由来しているのだとか。ご自宅でも手に入る材料でアレンジしました。冷めても温かくても美味しいので試してみて下さい。
鶏もも肉のジャンボネット・材料〈ニ人前〉鶏もも 1枚 | クミン、ナツメグ、タイム 適量 |
豚ひき肉 100g | 塩胡椒 適量 |
レーズン 大さじ1と1/2 | 生クリーム 大さじ1と1/2 |
ミックスナッツ 大さじ1と1/2 | バター 小さじ1 |
《作り方》
1. 練ったひき肉にレーズン、ナッツ、スパイス、塩胡椒で下味を付ける。
2.観音開きにした鶏ももを更に叩いて薄く伸ばし塩胡椒をする。ひき肉にチキンを巻いてたこ糸で縛る。
3. フライパンにオリーブオイルを引きチキンの表面に焼き色を付ける。
4.チキンをアルミホイルで包み、160度のオーブンで7分焼く。その後、庫内で7分間放置して余熱で火を入れる。
5.冷めたらもう一度フライパンで焼き色を付ける。
6.アルミホイル内の肉汁を煮詰めて生クリームとバター、塩胡椒を加えてソースを作る。
7.切り分けたチキンにソースをかけて出来上がり。
〔補足〕
スパイスが豚ミンチの臭みを消します。外側は焼き目を付けて旨味を閉じ込め、低温と余熱で火を通すのでチキンが柔らかく仕上がります。甘栗、銀杏、レンズ豆、マッシュルーム、パセリなどを入れても良いですね。
〈マリアージュ〉レーズンの甘味とナッツのアクセント、わずかなスパイス感が全体をまとめます。少しコクのある辛口の白ワインやスパークリングワインとの相性は抜群ですよ。(2017/01/02)
中山 大輔(1975年10月9日生まれO型)
大阪生まれの大阪育ち。高校卒業後は大手居酒屋を経て、リーガロイヤルホテルをはじめ数々の有名ホテルを歴任。北浜でフランス料理店 『ユニック』として2008年に独立。中山シェフは『ソースマジシャン』の異名を持つ。バター、クリーム、塩などを使わずに素材の旨味を煮詰めて濃縮させ、更に香りや酸味のエッセンスを加えて作るソースは、これまでのフレンチの常識を覆したユニークな味わい。ちなみに「ユニック」とはフランス語で「ユニーク」の意味。フレンチの垣根を越えた自由なアイデアは、食事をエンターテイメントとして楽しませてくれる。現在、予約の取れない日も少なくない。
Unique(ユニック)
大阪市中央区伏見町2-2-3