COMPLETE GUIDE TO ROSÉ WINE
スロヴェニアのロゼワインは、冷涼な産地の繊細さ、赤系品種の個性、そして食文化と重なり、土地ごとに表情の異なるロゼが生まれています。その多様な顔ぶれを覗いてみましょう。
スロヴェニアのロゼワインは、淡く繊細で軽やかなもの、赤系果実の風味を感じる飲みごたえのあるもの。国全体としては白ワインの存在感が強い一方で、ロゼには産地ごとの個性が表れやすく、気候や使われるぶどうによって印象が大きく変わります。
なかでも外せないのが、Posavjeで長く親しまれてきた Cviček(ツヴィチェク)です。赤みを帯びた軽やかな色合い、低めのアルコール、高い酸を持ち、日常の食卓で馴染みのある伝統ロゼ。きりっとした飲み口と親しみやすさがあり、同国のロゼを語るうえで欠かせません。
近年は、より洗練された辛口ロゼも増えています。春夏のアペロだけでなく、食中酒としてのロゼも多く、「気軽さ」と「マリアージュの完成度」の両方を備えたロゼも人気です。
国際品種と土着品種の両方で成り立っています。産地によって使われるぶどうは異なりますが、ロゼを左右するのは、赤系果実の果皮の出方、酸の張り、そして飲み口です。
▼国際品種
Merlot(メルロー)
Pinot Noir(ピノ・ノワール)
Cabernet Sauvignon(カベソー)
これらから造られるロゼは、果実味が素直でわかりやすいです。メルローはやわらかい果実味、ピノ・ノワールは軽やかさと繊細さ、カベルネ・ソーヴィニヨンは骨格のあるロゼに仕上がります。
▼ローカル品種
Refošk(レフォシュク)=Teran(テラン)
Žametovka / Modra kavčina
(ジャメトヴカ / モドラ・カフチナ)
Cviček(ツヴィチェク)
Primorskaではレフォシュク(テラン)のような黒ぶどうが地域の個性を支えています。ロゼにしたときも果実味や酸味だけでなく、土地のテロワールを感じさせます。さらに、世界最古400年の葡萄樹として知られる Žametovka は、やわらかな色合いと穏やかな味わいで知られています。こうした各地のローカルな背景が、スロヴェニアのロゼをより一層、ユニークなものにしてくれます。
スロヴェニアのワイン産地は、Podravje(ポドラウィエ)、Posavje(ポサウィエ)、Primorska(プリモルスカ)の3地域に分かれています。
Posavjeは前述のCvičekの名産地です。Primorskaは、アドリア海の影響を受ける温暖な産地で、Refošk、Teran、Merlot などの赤系品種で知られています。ここでは、より果実感のあるロゼや、テクスチャーに厚みを感じるロゼが生まれやすく、東の軽やかさとはまた違った魅力があります。沿岸部やカルストの食と繋がる、ペアリングとしてのロゼを探すなら、とても面白い地域です。
Podravjeは白ワインのイメージが強い地域ですが、冷涼な気候を生かした軽やかなロゼにも向いています。赤果実が前に出すぎず、酸がきれいに残るため、繊細で飲み疲れしにくいです。華やかさよりも、すっきりとした味わいを楽しみたい方には、この地域のロゼが合います。
Posavjeは軽やかで日常的、Primorskaは果実味があり表現が豊か、Podravjeは繊細で爽やか。それぞれの違いを知ると、ロゼの奥行きも広がります。
ロゼの良いところは、白ワインの軽やかさと、赤ワインのほどよい果実味、そのちょうど中間にあることです。冷やして気軽に楽しめるのに、料理に合わせても存在感がある。前菜だけで終わらず、食事の流れに沿って楽しめるのが強みです。まず相性が良いのは、生ハムやサラミ、パテのようなシャルキュトリーです。塩気や旨味のある食材に対して、ロゼの爽やかさが重たさを和らげ、赤系果実の風味が食材のコクを受け止めます。白ワインだと少し淡く、赤ワインだと少し強い、そんな場面に程よく収まるのがロゼです。
また、トマトやパプリカ、ハーブを使った料理ともよく合います。ロゼは酸味と果実味のバランスがよいため、野菜の甘みや青さ、オリーブオイルの風味ともぶつかりにくく、料理を割り増しに見せてくれます。野菜の前菜、軽い煮込み、ハーブを効かせた一皿など、素朴な料理にもなじみます。
肉料理に合わせやすいのも、ロゼのポイントです。たとえば豚肉や鶏肉、ソーセージのような、赤ワインを合わせるほど重くはないけれど、白ワインでは少し物足りない料理。そんな一皿にロゼはとても便利です。果実味が料理の旨味に寄り添い、冷やした飲み心地が食事全体を軽やかに保ってくれます。
スロヴェニアのロゼは、春夏の一杯としてだけでなく、前菜から軽めの主菜まで幅広くマリアージュが叶います。食前酒としても、食中酒としても無理がない。手軽でありながら、きちんと料理を格上げしてくれるところに、この国のロゼの魅力があります。
★世界のロゼワイン生産量のシェア(2017年)
1位 フランス 36%
2位 アメリカ 15%
3位 ドイツ 7%
4位 イタリア 5%
5位 イギリス 4%
6位 南アフリカ、スペイン 3%
7位 ベルギー、アルゼンチン 2%
8位 スイス 1%
その他 15%
★世界のロゼワイン消費量のシェア(2017年)
1位 フランス 28%
2位 アメリカ 17%
3位 スペイン 15%
4位 イタリア 10%
5位 南アフリカ 6%
6位 ドイツ 3%
7位 チリ、アルゼンチン、ポルトガル 2%
その他 22%
生産と消費の1〜2位は同じ国が占めています。フランスは観光客数が世界一、アメリカは巨大市場。いずれもロゼが日常的に楽しまれています。
出典元:Observatoire International du Rosé
CIVP / FranceAgriMer / DOWEL-Stratégie, 2018



