スロヴェニア/白ワイン

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スロヴェニアの白ワインについて

 スロヴェニアは冷涼な産地なので7対3で白ワインの国です。代表的な白ぶどう品種を挙げています。栽培面積は、Welschriesling(Laski Rizling)14%を筆頭に、シャルドネ8%、ソーヴィニョン(Sauvignon)8%、マルバジア6%と続きます。

《白ぶどう》
▼国際品種
シャルドネ、ピノグリ、ピノブラン、リースリング(Renski Rizling)、ソーヴィニョン ブラン(Sauvignon)、ゲベルツ トラミネール(Traminec)、モスカート ビアンコ(Rumeni Muskat)、Rizvanec(ミューラートゥルガル)、ケルナー、ミュスカ オットネル(Muskat Ottonel)、グリューナー シルバネール(Zeleni Silvanec)

▼伝統的な土着品種
マルバジア(Malvazija)、Welschriesling(Laski Rizling)、Zeleni sauvignon(Sauvignonass、Tocai Friulano)、フルミント(Sipon)、Ribolla gialla(Rebula)Bouvier、Radgonska ranina(Ranina)

▼珍しい固有品種
Zelen、Pinela(Yellowish)、Vitovska Grganja(Vitovska)、Kraljevina、Glera、Klarnica、Rumeni Plavec、Ranfol(Belina)



スロヴェニアワインと和食の相性

 スロヴェニアワインと和食がなぜ合うのか。4つの観点から見ていきましょう。

±莪きなし、長い醸し、シュールリーを施したワインが多いので、ワインの持つ旨味 & 食材や調味料(味噌、醤油、味醂)の旨味とマッチングする。

⇔篶辰濃世豊かな泡・白・オレンジ(重めで赤の代わり)が多いので & 食事全般に合わせやすく、特に素材を大事にする和食(=シンプル)を引き立てる。

カルスト台地(鍾乳洞9000箇所あり!)の上にぶどう畑があり、ワインがミネラル豊富 & 魚貝料理(生、煮る、焼く、揚げる、蒸す)と相性が良い。

ぜ然派ワインだけどクリーンで綺麗なタイプが多いので(オフフレーバー率は低い) & 繊細な和食と合う。

 私達が普段食べているものと、スロヴェニア人が食べているものが、非常によく似ています。古くからワインは、その土地の食文化と融合して来ました。和食とスロヴェニアワインが合わないはずはありません。



クールクライメットが今熱い!

 世界のトレンドは猛スピードで変化しています。食やワインに対しても同様です。かつてはカルフォルニアやオーストラリアなどの日照量が豊富で、果実味たっぷりの濃厚でリッチなワインが好まれました。消費者の嗜好が、辛口で繊細なタイプにシフトした近年は、生産者は「パワフル→エレガント」のニーズに合わせ、より冷涼な地域(テロワール)を探すようになりました。


 温暖な地域の中でも標高の高い場所(例 オーストラリア: ヴィクトリア アッパーヤラ)、寒流が流れる沿岸部(例 カルフォルニア: フォートロス シーヴュー)などの冷涼産地が注目されています。そのような地域は、「クールクライメイト(Cool Climate )」と呼ばれています。それでは温暖な地域と比較して、ぶどうの成熟はどのように違うのでしょうか。


【冷涼な地域】
有機酸を保ちながら、糖度がゆっくりと上がる(ハンギングタイムが長い)

【温暖な地域】
有機酸の減少が著しく、糖度が急速に上がる(ハンギングタイムが短い)


 冷涼な地域は、収穫時期が遅くなる傾向があります。時間をかけてエネルギーを溜め込み、豊かな酸を宿します。ぶどうの熟成は樹上でのハンギングタイムが長ければ、フェノール化合物の成熟が進みます。(生理的熟成) 冷涼&温暖は関係なく、ここでは時間(ハンギングタイムの長さ)が関わってきます。フェノール熟成はワインをより風味豊かなものにします。酸が繊細でエレガントなスロヴェニアワインを是非お試し下さい。



注目の品種レブラ

 「レブラ」はフリウリではリボラジャッラと呼ばれている白ぶどう品種です。この品種はニュートラルで、早飲みのフレッシュタイプはもちろんのこと、オレンジワインや樽を使った長熟タイプなど様々な顔を持っています。栽培地域はブルダの丘から南のヴィパーバ谷にかけてと、僅かにオーストリア国境辺りと限られています。

 ブルダの丘には46の村があり、6000人が生活しています。自社のKABAJも含め、そのうち約800人がワイン造りに従事しています。それほど、ワイン産業が盛んな地域です。この辺りの生産者はレブラを大切にしている方が多く、この品種に特別な思い入れがあるように感じます。レブラにより期待を込めて育て、丁寧に醸造しています。



スロヴェニアワインはシュル リーを施す

 「シュル リー」という白ワインの醸造用語は、ワイン造りでは頻出です。スロヴェニアではシュル リー率が非常に高いです。今一度おさらいをしてみましょう。

 シュル リー(sur lie)は、フランス語で直訳するとsurは英語のon、〜の上に、lieは滓(おり)の、つまり、「滓の上に」という意味です。どういうことかと言うと、アルコール発酵後に、滓引きをせずに、タンクや樽内で半年ほどワインと滓を接触させる方法です。滓は発酵後の酵母の死骸や色素成分が重合して沈殿したもので人体には無害です。

 還元反応が強くなるとバトナージュ(※1)を施しますが、通常は空気との接触もしません。赤ワインでは100%シュル リーが行われますが、白ワインでは50%(ロワールのミュスカデやブルゴーニュのムルソー、日本の甲州などが有名)がシュル リーです。酵母の旨味成分、あるいは複雑味や繊細さをワインに加味するのが目的です。かなりの頻度でシュル リーを行うスロヴェニアワインは、旨味の豊かさが違います。※1 バトナージュはシュル リーの応用で行われる醸造工程で、ワインと滓を棒でかき混ぜて、旨味成分を抽出する作業です。



スロヴェニアの素朴なスイーツ【ロラーダ/ROLADA 】

 スロヴェニアのロールケーキ、ロラーダのご紹介です。小麦粉を使用せず、刻んだクルミとメレンゲで作っているヘルシーなお菓子です。生地はしっとりとしていて、クリームも爽やかで甘味が苦手な方でも美味しく召し上がって頂けます。


【材料】1本分 卵黄4個分
卵白4個分
砂糖 大さじ5 1/3
クルミ 50g
サワークリーム90g
ヨーグルト90g
ブランデー 小さじ1
水 小さじ1

.汽錙璽リーム90gに同量の水切りしたヨーグルトと砂糖大さじ1を加え、泡立て器で混ぜる。冷やしておく。
▲ルミ50gはフライパンで煎って細かく刻む。卵黄4個、砂糖大さじ2と混ぜ合わせる。
M馭4個に砂糖大さじ2を入れ、メレンゲを作る。△魏辰┐萄ぜる。オーブンを180度に予熱する。
ぅッキングシートを敷いた鉄板に生地を平らに流し、オーブンで15分焼く。焦げそうなら、アルミホイルをかぶせる。
ゾ討韻神乎呂縫屮薀鵐如湿さじ1、水 大さじ1、砂糖小さじ1のシロップを塗り、サワークリームを挟んで巻く。冷蔵庫でしっかりと冷やして出来上がり。

コツはクルミを細かく刻む、メレンゲをしっかりと泡立てる事ぐらいです。寝かせて翌日の方がしっとりとしていて美味しいです。簡単なので作ってみて下さい。あっ、スロヴェニアの白ワインもご一緒にどうぞ!



スキンコンタクト、醸しとは

オレンジワインを造る時に欠かせない醸造技術がスキンコンタクトです。ぶどうの果皮(種)に果汁を醸すことで、スキンコンタクト(スキン=果皮、コンタクト=接触) という事ですが、オレンジワイン意外のワイン造りにも用いられます。別名をまとめると下記のようになります。

【スキンコンタクトの別名】
英語:マセレーション
フランス語:マセラシオン
日本語:醸し(≒浸漬)


【発酵前低温浸漬】
酵母は低温では活動をしないので、果汁を10〜15℃に冷却して、発酵を意図的に遅らせ、スキンコンタクトします。白ワインの場合は一晩〜1日、赤ワインの場合は数日〜2週間ほどで色が濃く、果実味が豊かなワインに仕上がります。

  以前のブルゴーニュでは、18℃の高温で発酵させ数時間と短期間でスキンコンタクトが行われていました。果皮成分を十分抽出してパワフルなワインを造る為です。1980、90年代のボルドーの白ワイン造りにも用いられました。しかし高温だと風味が成分が飛んでしまいます。また、若いうちは飲みにくいワインとなってしまいます。現在ではこの技術は、ピノノワールに施される事が多く、ブルゴーニュ地方で偶然の産物として取り入れられた以降、世界中に広がりました。低温でのスキンコンタクトによってもたらされる効果は、

・色素とタンニンが抽出されて色濃く渋味が加わる
・果皮や茎の風味成分が多く抽出される
・第2アロマが充実する
・酵母のニュアンスが加味される


【発酵前低温浸漬の別名】
コールド ソーク
コールド マセレーション
低温マセラシオン
低温浸漬
低温醸し


【発酵後浸漬】
一方、アルコール発酵が終了した後も、引き続きスキンコンタクトを行う事を発酵後浸漬と言います。ぶどうの状態や品種、醸造方法などにより、数日〜2ヶ月かけて行われます。長期熟成タイプは比較的、浸漬時間が長く、早飲みタイプは短めです。赤い色素のアントシアニン、渋味成分のタンニン、複雑な風味成分がより抽出されます。スキンコンタクトは白ワインやオレンジワインを思い浮かべますが、赤ワインを造る時には欠かせない醸造工程でもあります。



多種多様なマルバジア

 時に「マルバジア」はややこしくて難解であったりもします。シノニム(地域名)ではなく、品種として数十種が存在します。下記をご覧下さい。「マルバジア」と呼ばれているぶどうをピックアップしました。


■白ぶどうマルバジア
マルバジア ビアンカ ディ カンディア
マルバジア デル ラツイオ=マルバジア プンティナータ
マルバジア ディ リーパリ
マルバジア ビアンカ ルンガ
☆マルバジア イストリアーナ
☆マルバジア イスタルスカ =スラトカ マルバジア
マルバジア ドブロバッカ
マルバジア ディ カンディア アロマティカ
マルバジア ディ カゾルツォ
マルバジア プレタ
マルバジア グロッセ(ソ)
マルバジア デル キャンティ
マルバジア ディ サルディーニャ
マルバジア ビアンカ ディ ピエモンテ
マルバジア ディ グロッタフェッラーラ
マルバジア ディ ボーザ
マルバジア ディ プラナルジア
マルバジア カステッラーナ
マルバジア シッチェス
マルバジア ランサローテ
マルバジア カンディダ
マルバジア ヘイ
マルバジア フィーナ
マルバジア コラレス
マルバジア ビアンカ デ サン ジョルジェ
マルバジア オドロシッシマ
マルバジア ダ トリンシェイラ DNA関係ない?
マルバジア コラーダ DNA関係ない?



■黒ぶどうマルバジア
マルバジア ディ カソルツオ
マルバジア ネーラ
マルバジア ネラ ルンガ
マルバジア ネラ ディ レッチェ
マルバジア ネラ バジリカータ
マルヴァジーア ディ スキエラーノ
マルヴァジーア ネグラ
マルヴァジーア ネーラ ディ ブリンディジ
☆印はスロヴェニアのマルバジア



 イタリアを中心にドイツ、フランス、スペイン、ポルトガル、カルフォルニアなどの世界中で栽培されています。果皮色は、白、ピンク、グレー、黒と様々です。驚くのはその用途です。白、泡、赤、甘口、酒精強化ワインにまで幅広く使われます。イタリア北部のピエモンテでは赤の泡、フリウリではオレンジワイン、エミリアロマーニャでは微発泡白、ラツィオではトレッビアーノとブレンドした安価な白ワイン、南部のリパリ島では甘口ワインになります。スロヴェニアでもライトな白、フルボディのオレンジ、極甘口デザートワイン、ポルトガルではポートワインやマデイラなどの酒精強化ワインにまで変貌する多種多様な品種です。


 総称マルバジアは複数の遺伝子に分かれており。この祖先を手繰れば、人類がアダムとイヴにたどりつくよう、ある特定のマルバジアに行き着くないし、非常にそれと近い類縁関係ではないだろうかと思ったのですが、最近のDNA研究では、ギリシャが起源であるマルバジアと、現在マルバジアと名前の付く品種は、遺伝的に全く別、共通の起源を持たないという報告も上がっています。


 マルバジアのルーツは、ギリシャのモネンバシアで、1278年にベネチア人によってイタリアへ、後にピエモンテからの移民によって、カルフォルニアにも伝えられました。カルフォルニア産のマルバジアはピエモンテから伝わったマルバジア ビアンカ ディ ピエモンテが多いですが、一部のワインにはマルバジア ビアンカ ディ カンディアのように南イタリアのカラブリア原産のものもあります。こちらも同じくギリシャのクレタ島(=カンディア)が起源のようですが、その証明はされていません。マルバジア ディ カゾルツォと遺伝子的に近く、最新のDNA分析ではカンディアの片親はガルガネーガではないかとも言われています。現在はイタリアで最も栽培されているマルバジアで、全盛期の1990年代は、50,000ha(2000年は8,788ha)の栽培面積を誇っていました。


 人類みな兄弟、ないしマルバジアみな兄弟。遺伝子の解明がなされていない謎だらけの品種ですが、イタリアの土着品種の多さから推測して、ぶどうは皆どこかで繋がっているような気がしてなりません。皆様が飲まれているマルバジアは、どこのマルバジアですか。想いを馳せてみるのも良いではないでしょうか♪




濁りワインと澄んだワイン
する VS しない  清澄と濾過の全貌が明らかに!

 昨今、巷では頻繁に「濁りワイン」を見かけるようになりました。「鏡よ、鏡よ、世界で一番美しいのはだあれ?」と言わんばかりの過激なビューティアピール。自然派ワイン好きからしたら、あの魅力的な風貌に引き寄せられ、思わずナンパしてしまいそうです。自ずとボトルに手が伸び、あれよ、あれよと気が付いたらその子を抱えて家路を急いでいることもあります。白雪姫のように、必ずしも性格(中身)が良いという保証はありませんが、濁りはワインの個性のひとつでもあります。普段、この外観に見慣れていない方々は、不純物混入や腐敗と思い、販売店のお問合わせ窓口に殺到するやしれません。決して毒りんごではございません。どうぞご安心下さい。


 そもそも「濁りワイン」と「澄んだワイン」は何が違うのでしょうか。結論から言いますと、ワインの濁りやくすみの原因は、酵母とたんぱく質がもたらします。一般的な醸造では清澄、濾過を行い、濁り原因物質を除去します。清澄、濾過をして酵母とたんぱく質を取り除くと澄んだワインとなり、取り除かなかったら濁りワインになります。


 ここで今回の本題となるのが、清澄、濾過です。エミール・ペイノー教授は「ワインは清澄か濾過のいずれか、もしくは両方なされるべきで、自然清澄だけでは不十分である」と警鐘を鳴らしています。ヒュー・ジョンソンはこの主張に激しく同意し、一方でロバート・パーカーは濾過を厳格に非難しています。ワイン業界の有名人がつらつら出てきましたが、各人についてここでは説明しません。勝手にググって下さい。この清澄、濾過の是非に関しては、造り手のみならず、業界全体で物議を醸しています。


 ということで、一人寂しく暗い部屋で1週間以上かけて書き上げた大作9200文字を7分割ぐらいに区切って、本日より公開します。初回より連続で読んでで頂くと、最終回ではなんと7人の小人が完成するデアゴスティーニ風に、もしくは最終回に近づくにつれてワインが売れまくる、ステキな魔法を先程の美魔女さんにかけて貰いました。苦しい執筆の日々が報われるので、「貴重なお時間を使って、最後まで読んで下さってありがとうございます。また貴重なお金を使って、ワインを買って下さってありがとうございます」と皆様には先にお礼を述べさせて頂きます。先手必勝と心得ています。濁りワインの原因と対策、清澄するとどうなるのか、しないとどうなるのか。何故、濾過をするのか、何故しないのか。清澄、濾過の是非について考えていきたいと思います。


 さて、ワインは有機物の塊なので、ボトリング後も絶えず変化しています。ボトル底に溜まっている固形物の正体は、滓(おり)と呼ばれるものです。ミネラル、タンパク質とタンニンの重合、アントシアニンなどの色素とタンパク質の重合、タンパク質の凝集体、あるいは酒石となって沈殿している場合もあります。澱(おり)と表記している方もいますが、どういった理由かわかりませんが、私は昔からこちらの漢字を使っています。発酵終了後のワインには、アルコール、酸、糖などのワイン必須成分の他に下記の2つの成分が含まれています。


■ぶどうの細胞や酵母など。比較的大きな粒子で濁りを招く物質。
→濾過で取り除くことが可能。

■たんぱく質。コロイド状で存在する大きな分子で劇的な濁りを招かない物質。
→粒子が小さいので清澄で取り除く。



 言うなれば、ワインの濁りやくすみは、酵母とたんぱく質が引き起こします。これらはワインの清澄度や輝きに絶大な影響を与えます。キラキラ輝くワインを造りたければ、滓引き、清澄、濾過が必須です。キラキラ系女子にはくすみ厳禁と覚えましょう。それでは滓引きから順に見ていきましょう。


滓引き(仏:スーティラージュ、英:ラッキング)
 発酵が終わって二酸化炭素が発生しなくなると、発酵層には様々な微小な固形物が浮遊または沈殿します。これらは酵母の死骸やぶどうの細胞片で構成される滓(おり)で、Gross Leesと呼ばれています。重力によって徐々に沈殿していくので、自然派の造り手は数日かけて滓が下がるのを待ってから、上澄みを別の容器に移し替えて滓引きを行います。この滓は放置すると腐敗して不快な臭いやワインに苦味を与えてしまうので、沈殿したら速やかに取り除かなければなりません。大規模なワイナリーでは時短を最優先して、遠心分離機を使います。酸化が気になるので、密閉式や窒素などの不活性ガスを充填した遠心分離機が用いられます。


 発酵中は酵母が吐き出す「二酸化炭素」がワインを酸化から守ってくれました。しかし発酵が終了すると二酸化炭素が発生しないので、さあ大変!!このタイミングで亜硫酸を添加する造り手もいます。続いて清澄の工程に移りましょう。まだ10分の1しか進んでいないので、しっかりついて来て下さいね。


清澄(仏:コラージュ、英:ファイニング)
 清澄剤を用いて清澄する醸造工程です。(遠心分離機を使った清澄もあります)清澄すると透明感と輝きだけでなく、余分なタンニンが除かれるので苦味や渋味が改善され、色調も整い、ワインとしても安定のあるものに仕上がります。


▼清澄の目的と手段
透明感のある外観にする→浮遊物を除去
ワインのバランスを保つ→過剰なタンニンを除去



 ワインが完成して直ぐの頃は、たんぱく質のコロイド粒子は、皆、同じ正の電荷を持っています。ワインの中では、プラス同士が互いに反発しあって一定の距離を保って存在します。粒子が分散して安定した状態なので、外観もクリアです。


 ところが時間の経過と共に、たんぱく質の分子の並びが変化してコロイドは電荷を失い、固形物になります。最初はクリアな外観で余裕こいていたら、突如ボトリング後に濁りを目の当たりにして、「ハイ・ホー!、Heigh-Ho!」と慌てふためくケースです。


◆クリアな外観 安定型コロイド たんぱく質の粒子が分散した状態
◆濁った外観 不安定型コロイド たんぱく質の粒子が凝集した状態
  


 ボトリング後に濁りを引き起こさないためには、清澄してたんぱく質を除去しなければなりません。清澄の原理は至って簡単です。たんぱく質のコロイド粒子は正の電荷を持っているので、負の電荷を持つ清澄剤のコロイド粒子を添加して、プラスとマイナスを引き寄せて、沈殿させれば良いのです。磁石のS極とN極のように、互いが魅かれ合います。


 白雪姫の魔女は、毒りんごを作ることができるぐらいですから、理系女(リケジョ)と思うのですが、性格が悪そうなので、彼女に代わって文系女の私が具体的な清澄方法をお伝えしましょう。まず数ℓの容器にワインを汲んで、清澄剤を添加して混ぜます。それを元のワインタンクに戻し入れて撹拌します。しばらく放置するとプラスとマイナスで引き寄せられた、たんぱく質と清澄剤は沈殿するので、あとは上澄みを別のタンクに移し変えるだけです(写真参照)





 ここでポイントとなるのが、ワインに含まれている正の電荷と同じ量の負の電荷を加えないと、清澄剤がペアリングにもれて沈殿する、逆に足りなくて清澄の効果が得られない事態が起こります。合コンの男女比は同数が鉄則の原理と大差ないでしょう。清澄後の沈殿物は濾過で取り除くことができますが、清澄剤を添加する前のコロイドの状態では、粒子が小さく、いとも簡単にフィルターを通過してしまいます。濾過だけでは不十分なので清澄した上で取り除くのです。清澄と濾過はニコイチです。


 清澄剤には動物、植物、鉱物、石油由来のものがあります。添加した清澄剤はたんぱく質と共に除去されるので、成分表にはその記載がありません。それもそのはず、添加物ではなく加工助剤の位置付けとなるからです。しかし、2012年よりアレルギー表示として、卵白(アルブミン)と牛乳(カゼイン)を0.25/ℓ以上含む場合には、明記することが義務化されました。次に代表的な清澄剤を見ていきましょう。沢山の種類があるので覚悟して下さいね。


■卵白
最も安全でかつ古くから赤ワインと白ワインに使われてきた方法です。特に赤ワインの場合は、たんぱく質がポリフェノールと結合して、不快なタンニンを優しく取り除くことができます。有効成分は後述のアルブミンです。やり方としては、まず少量のワインと一緒に撹拌させた卵白を合わせます。その後、元の樽に戻し入れ、なじませます。すると卵白は薄い膜状になって、たんぱく質が大きめの不純物を吸着して、ゆっくりと沈んでいきます。現在では乾燥粉末状の手軽な卵白がありますが、ボルドーの225L樽なら、ぶどう品種やワインの状態により、3〜8個分の卵白が必要です。赤ワインの名醸地ボルドー地方では、清澄に卵白を使用してきました。残った卵黄を利用してできたのが、焼き菓子のカヌレ(正式名称Cannelé de Bordeaux)です。今でもカヌレはボルドーの名産品です。


■アルブミン
BSE問題以前は牛の血をそのまま使用していましたが、現在は抽出したアルブミンを赤・白のタンニン除去に使っています。それでも国によっては、牛由来のアルブミンが禁止されています。


■ゼラチン
動物由来と植物由来のものがあります。アルブミンと構造が近く、タンニンと結合して凝縮沈殿します。卵白、アルブミンと同様に赤ワインではタンニンを取り除く効果があります。ゼラチンを使うと柔らかい味わいとなり、ワインとしても安定します。赤・白両方に使われます。魚のゼラチン(アイシンググラス)は、穏やかな作用で抜群の透明感が期待できるので、白ワインに好んで使われます。


■シリカゾル
二酸化ケイ素が成分です。コロイド状のシリカ粒子は、正と負の両方の電荷を持っています。白ワインに含まれる保護コロイド物質を取り除きます。ゼラチンと併用されます。


■ベントナイト
いわゆる粘土のことです。火山灰が変性したアルミニウムの含水珪酸塩です。珪酸アルミニウム成分の粘土鉱物の粉を添加します。新鮮な果実味をキープするために、白ワインやロゼワインの発酵前の果汁清澄に頻繁に使われます。吸着性が高いのでワインから風味を奪うことと、沈殿量が多いのでワインの廃棄ロスが大きいのが難点です。


■タンニン
植物性タンニンで、ワインに含有するタンニンとはまた別のものです。強い渋味と収れん性を持っているので、ゼラチンを入れた後に使用することが多いです。


■カゼイン
牛乳のたんぱく質です。白ワインの色素とタンニンを取り除くのに使われます。スキムミルクで代用する造り手もいます。ワインにスキムミルクって・・・・


■活性炭
ここに来てまさかの炭です。活性炭を付着させた濾過シートもあります。白ワインのみに認められている清澄で、皆様、既に炭の力はご存知だと思いますが、濁り、くすみもすっきり、まるっと除去されます。ワインの風味も全て残らず奪ってしまうので、使用には細心の注意が必要です。


■ポリビニルポリピロリドン(PVPP)
微粒に粉砕したプラスチックです。ポリフェノールに対して高い吸着力を有することから、白ワインからピンク〜茶色のフェノール化合物を取り除くのに使われます。褐変物を除去して、苦味や渋味を緩和します。個人的にはこの清澄剤はウェルカムではありません。毒りんご並みに勘弁して欲しいです。


▲フェロシアン化カリウム
ワイン中の鉄と銅に反応して、その除去に絶大な効果を発揮します。清澄すると濁りだけでなく、過剰な銅がもたらす毒性や酸化の促進を抑えます。ブルーファイニングと呼ばれている清澄方法ですが、殆どの国で禁止されています。許可されている国でも、果実味まで除去されてしまうので使用を避ける造り手もいます。その他、天然素材のフィチン酸カルシウム、キトサン、キチングルカン複合体、プラスチック素材のポリビニルイミダゾールやポリビニルピロリドン共重合体などが金属除去に使用が認められています。


 ここまで清澄について駆け足でお伝えしました。自然派の造り手は清澄せず、仮にしたとしても低温での自然清澄に止めることが多く、滓引きも控える傾向があります。ノンコラ、ノンフィル(ノンコラージュ、ノンフィルターの略)は、清澄や濾過を行っていないワインのことです。これらを意図して避けることがあります。ブルゴーニュの神様と呼ばれたアンリ・ジャイエは、「清澄や濾過は、ワインに含まれる何かを失うことになる。腐敗した果粒が入り込まないよう、選果の徹底さえしていれば、ペクチンが浮遊する心配もない。ボトリング後も果実味、タンニン、ボディは健在で、まさに樽の中のワインと同じ状態を保つことができる」と説いているノンコラ、ノンフィル派です。日本酒でも無濾過や火入れをしていない生酒がありますよね。それと同じです。ボトル内でもワインは、ワインであり続けないとなりません。


 ひとたび赤ワインを遠心分離機にかけようものなら、ワイン中のタンニンの重合が解け、分子がバラバラになって、ワインはざらついた口当たりの悪いものになってしまいます。清澄、濾過はワインのボディや個性を奪う余計な工程と位置付けている生産者もいます。あるいは天然酵母を活かすためにしないという造り手もいます。彼らの目的は、酵母のニュアンスを残すことです。酵母のニュアンスとは、シャンパーニュやシュルリーから感じるイースト香とは異なり、アミノ酸や出汁の旨味を指します。また、濾過しない残存酵母は糖さえあれば二酸化炭素を発生させ、ワインを酸化から守ってくれるという絶大なメリットも併せ持っています。 とうに折り返し地点を過ぎ、物語りは白雪姫がりんごを喉に詰まらせた辺りです。感動のクライマックスまでもう一息ですよ。頑張って下さい!


 清澄の次の工程では、原料や滓などの不純物を更に取り除くため、ワインを濾過します。濾過の是非は生産者でも意見の分かれるところです。理想とするレベルまで不純物を取り除き、やり過ぎない適度な濾過は、ワインを安定した状態に保つことができます。醸造目的に応じて、粗濾過、低温無菌化濾過、無菌濾過などを使い分けていますが、濾過の仕組みは大きく分けて2種類あります。10種類ぐらいあったら戸惑いますが、2種類で安堵しました。





●深層濾過(珪藻土フィルター、プレート&フレームフィルターを使用)
濾過材の内部で不純物をキャッチします。濾過材の目は不純物よりやや大きいサイズで、途中の深層で引っかかるよう曲がりくねった構造になっています。醸造工程の最初から最後まで、極小以外の様々な大きさの粒子に対応できます。高速スピードの濾過や目詰まりを起こしている時は、本来の効果が発揮できません。


●表面濾過(メンブレンフィルターを使用)
濾過材の表面で不純物をキャッチします。深層濾過でキャッチできない微小粒子にも対応できます。無数にある小さな孔で、濾過材の目より大きい不純物を表面で99.9%キャッチできる優れモノです。簡単に目詰まりを起こしますが、精度が良いので広く利用されています。 深層&表面の違いは、写真2枚目で説明していますのでご覧下さい。それでは深層濾過に使われるフィルターをご紹介しましょう。


▼珪藻土フィルター
バスマットやコースターでよく見かけるアレです。細かく砕いた珪藻土を酸とアルカリで不活性シリカにします。粒子が細かいので、ぶどうの固形物や酵母など大小様々な不純物が漂う発酵終了後の濾過に最適です。珪藻土に水かワインを加えて泥状になったところで、発酵終了後のワインに投入して不純物を絡め取ります。珪藻土を使った濾過装置は2種類あります。


・ロータリーバキュームフィルター(水平ドラム回転式、酸化促進、微粒子はキャッチできない、粘土が高い液体に最適)
・アースフィルター(密閉ディスク回転式、不活性ガスで酸化を防ぐ、濾過材の孔径が様々で酵母除去にも対応)



▼プレート&フレームフィルター(=シートフィルター、パッドフィルター)
加圧したワインを特殊な孔径の濾枠、シート(セルロースや珪藻土を含んでいる濾材も。70年代主流のアスベストは禁止)、濾板を通過して濾過される仕組みです。粗いものから無菌レベルまで濾過が可能なため、発酵後のワインを粗濾過した後やボトリング前の微生物や酵母除去に用いられます。最近は密閉式の装置も出ています。続いて、表面濾過のフィルターも見ていきましょう。


▼メンブレンフィルター(カートリッジフィルター)
繊維素材で補強した薄いプラスチック製の膜の表面を利用して濾過します。じゃばら状の膜には微細な孔が空いていて、外から圧力をかけると不純物が取り除かれる仕組みです。薄いフィルターなので、頻繁に目詰まりを起こします。無菌濾過をすり抜けた残存酵母に使われるので、ボトリングを控えている純度の高い最終ワイン向けです。最近では目詰まりしにくいよう、圧力ではなく超高速で水平に流す、クロスフロー濾過も行われています。フィルターの孔径(穴)の大きさは下記の通りです。汚染水を純度の高い水にするには、0.2µのサイズの極小フィルターが使われます。


●ワイン用メンブレンフィルターの孔径
0.45µ  〇全ての酵母 〇細菌
0.8µ 〇全ての酵母 △細菌
1.2µ 〇ほぼ全ての酵母 ×細菌
※ 1µ(ミクロン)は1000分の1



 特定のワインを造る場合は、それぞれに応じたサイズのフィルターで、濾過する必要があります。例えば、温暖な地域でフレッシュな辛口白ワインを造るには、酸度を保つためにMLF(マロラクティック発酵)を控えます。二次発酵をしないワインは細菌汚染しやすくなるので、無菌濾過を行います。フルボディの赤ワインは、ボディが損なわれないよう0.8µのフィルターを用い、ドイツなどで造られる残糖(=微生物のエサ)のある軽めの白ワインには、微生物汚染を防止する観点から、更に細かい0.45µのフィルターを使います。目指すワインのスタイルによって孔径の大きさを選択するのです。


 色々なフィルターをご紹介しましたが、メンブレンフィルターが最も価格が高価で、その他はそこまで高くありません。表面濾過を行うメンブレンの場合、フィルターを設置する装置が、深層濾過装置と比べて安価です。プリンターは安いが、純正インクが高い!と言ったらわかり易いでしょうか。


 最後に限外濾過について少し触れておきましょう。孔径0.01〜0.001µサイズのメンブレンフィルターを使うと、ワインに必要な酸、糖、タンニン全てを除去できます。取り除いたとしても後で合成したものを足したら、ワインに成り得ます。要はワインのスタイルを自由に操れるということです。いやはや恐ろしいです。最新の技術を持ってすれば、いとも簡単に思い通りのものができるのです。勿論、この装置を使ってのワイン造りは禁止されており、研究目的のみで使用が許されています。もはや人間の限界を超えていることから「限外濾過」と名付けられています。


 清澄、濾過は、近代技術(加圧、減圧、不活性ガスetc…)のオンパレードでしたね。それこそ正しく行なわないと、香りや味わいを損ねてしまう恐れがあります。 その昔、ワインは麻袋で濾過していました。大きな微生物や酵母、沈殿した不純物も麻で取り除いていました。ゆっくり時間をかけることで、タンニンとたんぱく質が反応して底に沈みます。澄んだワインの中の酸が、微生物の繁殖を防ぎワインは安定します。


 ところがドメーヌ元詰めをするようになり、時短を強いられるようになりました。清澄、濾過に十分に時間をかけられないのです。その結果、外観の濁りと微生物除去の解決として、清澄、濾過が必要となったと言う背景があります。では清澄、濾過をするメリット&デメリットを見ていきましょう。王子様の影が見えてきたので、もう少しでエンディングですよ!


〇清澄、濾過のメリット
外観がクリアで美しい
ボトル差がなく均一化できる
外気温の影響を受けてもワインが活性化(発泡、噴く、味わいの変化)しない
品質が安定するので保管、輸送が楽にできる
乳酸菌の混入を許し、揮発酸(鼻にツンときて自然派ワインに多い)の発生リスクを抑えられる



×清澄、濾過のデメリット
酸化のリスクがある
ワインの美点(ボディ、風味、酵母、旨味、個性)を根こそぎ取ってしまう恐れがある
生きている微生物(菌、酵母)由来の好ましい熟成が見込めない



 残存たんぱく質は嫌気下の酵母によって消費され、硫化水素の発生を促して、ボトリング後のワインは還元に傾きます。くすみやモヤ状の滓の発生を防ぐには、前清澄でたんぱく質を除去する必要があります。モヤを取り除くにはフィルターにかけるのが手っ取り早いのですが、近年は完璧にかけないで、残存たんぱく質や酵母を残す傾向があります。酵母はその死後の役割も大きく、栄養分としての酵母エキス(アミノ酸を含むビール酵母など)や100%の酵母が自己消化するのではなく、10%の生き残り酵母による酸素の消費、つまり抗酸化作用が期待できます。酵母はワインに旨味を与え、かつ酸化から守ってくれるヒーローです。酵母=王子様。


 自然派ワインでは、「何も加えず、何も取り除かない」を基本としています。もし手を入れたとしても、最小限に止めます。私たちは添加物という言葉に敏感に反応しがちですが、元から存在している何かを抜き取ることは、加えることよりも圧倒的に議論を巻き起こしやすいのです。自然派ワインでは沢山の微生物が、生きたり死んだりの活動を繰り返しています。発酵後にほんの少しの糖分があれば、微生物は長く生きながらえることができます。古酒が美味しく楽しめるのは微生物のおかげです。ウイーンの生化学博士カリン・マンドルは、ワイン中に潜む微生物を培養して、熟成に繋がる酵母を研究しています。酵母がもたらす素晴らしい熟成です。


 滓引き、清澄、濾過と長きに渡って話を進めてきましたが、いかがでしたでしょうか。最初の内容を忘れてしまったら、またいつでも読み返して下さい。9200文字オーバーの超大作、ワインのシンデレラ物語(あれ、タイトルと姫が変わったぞ)は、2回目からの購読は有料です。笑 膨大な時間をかけましたが、私がお伝えしたかったことを冒頭に持ってきたら、100文字、所要時間3分で書き上げられたことでしょう。もっと早くに気付くべきだったと、今、後悔の念で一杯です画、エンディングに参りましょう。


 生産者は自由にワインが造れ、私たちはそれらを自由に選ぶことができます。各々の目的や嗜好に合わせて選べる時代です。選択の自由を享受しつつ、清澄と濾過の有無を単なるその良し悪しで片付けるのではなく、これも素敵な多様性のひとつだと捉えてみてはいかがでしょうか。白雪姫と王子様はワインを飲みながら幸せに暮らしましたとさ。おしまい。


◆参考文献◆  発酵と醸造/東和男  ほんとうのワイン/パトリック・マシューズ  イギリス王立化学会の化学者が教えるワイン学入門/ デイヴィッド・バード  アンリ・ジャイエのワイン造り/ジャッキー・リゴー  新しいワインの科学/ジェイミー・グッド  自然派ワイン入門/イザベル・レジュロンン  オーガニックワインの本/田村安 ナチュラルワイン入門



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