DETAIL
Profile
タイプ:白(辛口度 ★★★★☆)
産地:スロヴェニア
生産者:MAROF
品種:ソーヴィニョンブラン
ヴィンテージ:2017
アルコール度数:13.5%
容量:750ml
適温:17℃
Taste
ひと言で言うとスケールの大きいワインです。濃い山吹色の外観と同じく、香りも複雑で強めです。
大振りの黄色い花、白桃や黄桃のコンポート、洋なしジャム、はちみつなどの甘い香りが広がります。
果実の凝縮感が香りにも表れています。酸味とアルコールのバランスが美しく、骨格はふくよかで丸みを帯びています。
余韻は長く辛口ながらもはちみつの芳醇な甘い香りがアフターに残ります。
今飲んでも数年後、あるいは数十年後に楽しんでも良いでしょう。エイジングポテンシャル(長期熟成にも耐えられる)も素晴らしいワインです。
瓶口には蝋が使われています。蝋は剥がさず、そのままスクリューを突き刺し、いつも通り抜栓して下さい。
10kg仕様の小箱を用い、収穫後はぶどうを傷つけないよう注意します。
畑と選果台での2回の念入りな選果後、果皮と果汁を接触させて2日間醸されます。
天然酵母によって自然に発酵はスタートします。
25hlのオークで35ヶ月、3年近くシュールリー(滓の上で熟成)を施しています。
フィルター不使用、ボトリング前にブレンドして、2020年後半にボトリング。Bodonciとは畑の名前です。
同じ畑のぶどうを使用した中級キュヴェのブレグソーヴィニョンもあります。
この2本は明らかに違いますが、共通する部分もあります。是非、お試し下さい。
Mariage
《おすすめの料理》
このワインが何と合うかは難しいです。何故なら非の打ち所がないほど完成しきっているからです。
DRC(ロマネコンティ)に何がマリアージュするなど言及しないじゃないですか、それと同じ感覚です。
強いて言えば、焼き白子、フリカッセ、チーズフォンデュなど。クリームソースやマヨネーズソースとも相性が良さそうです。。
はじめましてのMAROF
思い返せば一昨年のお盆明け、ワイナリーのMAROFを訪れました。
いつも取引のあるプリモルスカ地方からバスと鉄道を乗り継いで、スロヴェニア第二の都市「マリボル」に向かいます。
マリボルまでは生産者が迎えに来てくれました。
更に車で1時間ていど内陸に進むと、ポドラウイェ地方のゴリッチコリージョンが現われます。
オーストリアとハンガリーもすぐそこです。
「はるばる来てくれてありがとう!」とはじめましての当主ウロスに歓迎されました。
既存の生産者によると、MAROFはとても良い造り手で、ワインは美味しいし、ウロスもナイスガイだと口を揃えたかのように同じことを聞かされました。
彼らからしてみれば、同業他社なのでライバルでもありつつ、好敵手でもあるのです。そのため、生産者同士、切磋琢磨しながら勉強し合っているので、生産者サイドの評価や意見は大変参考になります。ウロスはKABAJの当主ジャンとも大の仲良しです。期待を裏切らず、言葉通りワインは最高で、当主は超絶ナイスガイでした。
元々、MAROFは45haの畑を所有していましたが、ウロスの代で半分以下の22haに減らしました。自分たち家族が手塩に掛けられる畑の大きさは、そのぐらいの広さだとわかっているからです。また、誰かのコピーをするのは嫌だとウロスは語りました。模倣ワインが仮にベストセラーとなりお金持ちになったとしても、ちっとも嬉しくない!とのこと。目に見えない魂や哲学などをワインとしてカタチにする(具現化する)という自己実現を目指しているので、そんな職人肌、芸術肌の彼からしたら、自分にしかできないことを、自分の造りたいものを!と言うシンプルな考えであるのも、ごく自然なことです。
この内陸のワイン産地では、白ワインの生産が大半を占めています。そんな中、MAROFは赤ワインにも重きを置いていました。試飲してみたところ、どれもエレガントでブルゴーニュの上級キュヴェに引けを取らない、スロヴェニアでは並外れたクオリティでした。収穫は9月中旬から10月末に行われます。圧搾までに選果(未熟果や腐敗果を取り除く作業)を2回します。そこにも驚きました。と言うのもスロヴェニアで選果をする生産者には出会ったことがなかったからです。人件費が毎年5%の上昇で、経済成長を遂げているスロヴェニアでは、これ以上コストをかけてワインの価格を上げたくないと言うのです。他ワイナリーが選果をしない理由は明白でした。しかし、MAROFは多額の人件費をかけ、極上の粒のみを使用します。そこに彼の醸造技術とパッションが合わさり、至高のワインとなるのです。
今回、赤ワインは欠品していたので見送り、エントリーから高級ワインまで価格帯の異なる3種類の白ワインを仕入れました。2種類のBreg(=Hill/丘の意)シリーズは、中級と並級でも全く異なります。上級キュヴェのBodonciには、長くて素晴らしく良質なコルクが使われていました。感動レベルのワインです。南オーストリアのシュタイヤーマルクを彷彿とさせます。アントドレアス・ツェッペやゼップ・ムスターと、肩を並べるであろう、それは偉大なワインでした。そう言えば、あのエリアの品種もソーヴィニョンブランではありませんか!飲んでいて通りで青トンボが浮かんだわけです。3種類それぞれ表情が違うので、飲み比べてみても面白いです。語り過ぎて長くなりました。MAROFの世界へようこそ!どうぞ体感してみて下さい。