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COMPLETE GUIDE TO SPARKLING
スロヴェニアのスパークリングを徹底解説。製法、品種、産地、食のペアリングから、泡の基礎知識まで、初心者から愛好家まで楽しめる完全ガイドです。
目次
スロヴェニアのスパークリングワインは、大きく分けて3つの流れになっています。�仝鼎�から伝統的に造られてきた瓶内二次発酵によるシャンパーニュ(トラディッショナル)方式。�⊃討靴澆笋垢ぅ好織ぅ襪箸靴督蠱紊靴拭▲織鵐�内二次発酵によるシャルマ方式。�I啼皸貅“�酵によるナチュラル製法のペットナット。どれも同じ「泡」ではありますが、飲んだ時の印象はそれぞれ異なります。
シャンパーニュ方式のスパークリングは、ボトルの中で二次発酵と熟成を行うため、泡がきめ細かく、味わいにも奥行きがあるのが特徴です。酵母とともに過ごす時間が長いぶん、複雑さや落ち着いた質感が生まれます。ゆっくり楽しむこのタイプが、現在もクラシカルな泡の重要な柱になっています。一方、シャルマ方式は、タンクの中で二次発酵を行う造り方です。果実味と軽やかさでフレンドリーなスタイルです。近年の広がりとして見逃せないのが、ペットナットです。ペティアンナチュールと言って、発酵途中のワインをボトリングし、瓶内で発酵を完了させることで泡を閉じ込めるスタイルです。一次発酵で終了するので、人為的な操作が少なく、にごりや滓を残したまま仕上げられます。シャンパーニュスタイルの整った印象や、シャルマの軽快さとはまた違い、ひとつの型に収まらないユニークさ、ぶどうそのものが感じられる素朴さも魅力です。
スパークリングには、国際品種による端正なスタイルと、土地に根ざした品種によるローカルな個性と、その両方があります。
▼国際品種
Chardonnay(シャルドネ)
Pinot Noir(ピノ・ノワール)
Sauvignon Blanc(ソーヴィニヨン・ブラン)
特にシャルドネ、ピノ・ノワールは、本格的なスパークリングとして広く使われており、きめ細かな泡や洗練された骨格を与えます。ソーヴィニヨン・ブランは、よりポジティブで爽やかさを担う品種として使われています。
▼ローカル品種
Rebula(レブラ)
Pinela(ピネラ)
Žametna črnina(ジャメトナ・チュルニナ)
Rumeni Plavec(ルメニ・プラヴェツ)
この土地ならではのローカル品種、レブラとピネラを筆頭に、昨今は内陸で育つ、ジャメトナ・チュルニナが上質な品種として注目されています。ルメニ・プラヴェツも、控えめな香り、ほどよいアルコール、しっかりした酸を備えているとして高く評価されています。スロヴェニアの泡を“どこにでもあるスパークリング”で終わらせない理由のひとつが、独自性の高い品種を誇っているところです。
スロヴェニアのワイン産地は、Podravje(ポドラウィエ)・Posavje(ポサウィエ)・Primorska(プリモルスカ)の3地域に分かれており、スパークリングの中心になるのは Podravje です。特に北東部の Gornja Radgona(ゴルニャ・ラドゴナ)は、スパークリングの原点といえる場所です。スロヴェニア語でスパークリングワインを指す言葉「penina・ペニーナ」が使われ、1852年からシャンパーニュ方式のスパークリングが造られてきました。同地方は、日照に恵まれつつ、冷涼な大陸性気候の影響を受けた、屈指の白ワイン産地です。スパークリングでも引き締まった酸が特徴です。クラシカルでシャープ、輪郭がはっきりしています。なかでも Štajerska Slovenija(シュタイエルスカ・スロヴェニア)から Bizeljsko-Sremič(ビゼリスコ=スレミチ)にかけては、とりわけ冷涼な畑の緊張感を生かした、繊細で洗練された泡の Domaine Slapšak、また Rumeni Plavec のような地元品種を活用しながら、酸を活かした本格派の泡の Istenič などが知られています。東は総じて、華やかさよりも酸の美しさが抜きん出た傾向です。
一方、Primorska(プリモルスカ)はアドリア海の風を受ける最も多様な産地で、Brda、Vipava Valley、Kras、Slovenian Istria の4地区からなります。温暖な地中海性気候のため、東部のような硬質な引き締まりだけでなく、より果実のふくらみやテクスチャーを感じやすいのが特徴です。また Brda では Rebula が代表品種として挙げられます。造り手たちがスパークリングやオレンジワインなど、より実験的で多彩なスタイルに取り組んでいます。同地方は西らしい成熟感と、品種や造りの表現幅の広さが魅力です。
Posavje(ポサウィエ)は、全体では Cviček の印象が強い地域ですが、スパークリングでは伝統的に軽やかな白と赤で知られる一方、国際品種でも造られています。特に Bizeljsko-Sremič(ビゼリスコ=スレミチ)は、古くからスパークリング向きのぶどうが育つ場所として、近年のワイン誌でも Istenič を中心に、泡の重要産地として扱われています。Posavje の泡は、Podravje の厳格さと Primorska の開放感の中間、より親しみやすさを持ちながらも、酸のバランスがよく食中酒として優れています。
こうして見ると、「どの産地でも同じような泡が造られている」わけではありません。Podravje は冷涼さを活かした張りのある本格派、Primorska はより多様で果実やテクスチャーの表現が豊か、Posavje は親しみやすく良質なエリア。それぞれ違う魅力を持っています。産地の違いを知って飲み比べると、スロヴェニアのスパークリングが単なる“ひとつのカテゴリー”ではなく、土地ごとに表情を変えるワインであることが見えてきます。
スロヴェニアの泡は、乾杯の一杯で終わるのは勿体ない!料理と一緒に楽しんでこそ、その魅力が広がります。同国の食文化は、地中海、アルプス、パンノニア、バルカンの影響が重なっており、魚介、肉加工品、野菜料理、小麦料理までバラエティーに富んでいるのが特徴です。だからこそ、食前酒だけでなく食中酒として合わせやすいのです。
まずは海沿いの魚料理です。ヴェネチア共和国の影響を受けたイゾラ、コペル、ピランでは、シーフード、オリーブオイル、ハーブを生かした料理が親しまれ、こうした料理には酸がキレイで軽やかなスパークリングがマリアージュします。泡が口の中をすっきり整え、魚介の旨味を重くせず、次のひと口を迎えてくれます。
一方で、Karst(カルスト)地方の生ハムのような、塩気と旨味のある食材とも相性が良いです。生ハム文化で知られるエリアで、Kras の生ハムは現地の代表的な味覚のひとつです。こうした熟成肉には、泡の爽やかさと酸がよく合い、脂や塩気をさっぱり切ってくれます。前菜としても、食事の流れの中でも合わせやすい組み合わせです。さらに、野菜やハーブを使った前菜にもよく合います。スロヴェニアの食卓には、地域ごとに素朴な料理が多く、軽やかなスパークリングなら、素材の風味を活かします。果実味のあるポジティブなタイプは前菜や軽めの一皿に、旨味や厚みのある滋味なタイプは塩気やコクのある料理に。スロヴェニアのスパークリングは、食卓の中で様々に表情を変えながら、とことん楽しめます。
スパークリングワインのコルクはどのように開けていますか。ポンッと軽快に音を立てて飛ばす方(危険!)は、さすがにいらっしゃらないとは思いますが、開けるのがどうも苦手という方に、安全なスパークリングワインの抜栓方法をお教え致しましょう。ポイントは「斜め45度で静かに待つ」です。コーラやビールなどの泡物は振ったり揺らしてはなりません。プレッシャーが上がり、開栓と同時に中の液体が飛び出してしまう恐れがあります。振動を与えてしまった際には20〜30分安置してから開けて下さい。それでは、抜栓方法を順に見ていきましょう。
1.まず、スパークリングワインをよく冷やしておきましょう。ワインの液体からガスの湧出が防げるので、抜栓後の吹き出しを抑えられます。高めの温度で召し上がるワインも抜栓時は冷やし気味で、その後ゆっくり楽しみながら適温になるのを待ちましょう。
2.瓶口を覆っているシールキャップを剥がします。
3.ガス圧でコルクが飛び出さないようにワイヤーが瓶口に固定されているので、それを緩めます。ワイヤーを緩めた瞬間にコルクが飛び出すこともあるので、コルク上部を親指で抑えます。ワイヤーはコルクから外しても外さなくても抜けますが、外さない方がコルクが真直ぐに固定されてより安全に抜けます。
4.親指でコルク上部を抑えながら、残りの指は瓶口を握ります。ボトルを斜め45度に傾けて、反対側の手でボトル下部を持ちます。傾けるのは、ボトル内のワインの液面を大きくする為です。ボトルを垂直に立てたままだと、液面が小さいので、泡が出やすくなります。
5.コルクは動かさずに、ボトルを少し回すとガス圧でコルクが徐々に浮き上がってきます。数秒間、手を止めてコルクがボトル口から外れるところまで上がって来るのを待ちます。
6.5になったら、コルクを握っている手を僅かに捻ります。するとボトル口とコルクに隙間ができてプシュとボトル内のガスが抜ける音がします。最後の捻りを加えなかった場合は、ポンッと音が出てしまいます。音は小さければ小さいほどよいとされ、シュッという音は、天使のため息、淑女のため息とも例えられます。
映像がないのでわかりにくいかもしれませんが、まずは上記の方法で試してみて下さい。余談ですが、スパークリングワインはスワリング(グラスをぐるぐる回す行為)をする必要はありません。炭酸ガスが自然に香りを運んでくれます。回すことによって泡が抜けてしまうので静かに香りを取ります。ワインを冷やす事と、綺麗に洗浄されたグラスを使用する事で注いだ後の泡もちは違います。中性洗剤を使わず、お湯だけでグラスを洗浄する方もいらっしゃるほどです。今のところ自社のスパークリングワインは、全て王冠栓を使用しています。ビールと同じように栓抜きで開けるのですが、ガス圧が5気圧もあるので、開栓と同時に吹く事があります。片手に栓抜きを持ち、もう片方の手はトップを抑えて下さい。一気に開けるのではなく、徐々に様子を見ながら開けるのが上手くいくコツです。
今日から使えるスパークリングワインのウンチクをご紹介致します。
▼スパークリングワインのガス圧は大型車のタイヤと同じ
EUの基準では3気圧以上のものを発泡性ワイン、スパークリングワインと定めています。シャンパーニュは5〜6気圧もあります。それは大型車のタイヤと同じぐらいの圧力です。弱発泡性ワイン、セミスパークリングワインで1〜2.5気圧(仏:ペティヤンや伊:フリッザンテ)、ちなみに1気圧未満の微発泡性ワインはスパークリングワインにはみなされません。ガス圧に耐えられるよう、ボトルは厚めに設計されています。スティルワインよりもボトルの重量が重いのはこの為です。底の凹み部分も他のワインと比べて、深くなっているのが特徴です。反り返りによってガスの圧力を分散するのが目的です。ダム壁が反っている原理と同じです。また、気圧で飛び出さないよう、コルクも針金でしっかりと固定されています。
▼コルク栓による飛行距離の世界記録は53.2m
シャンパーニュのコルクを飛ばしたのです。その距離53.2m、25mプールをターンして帰ってこれるディスタンスを!1988年アメリカのニューヨーク州での記録です。思いっきり瓶を振ってポーンと時速50�劼離好圈璽匹妊灰襯�は飛んで行ったそうです。危険なので絶対にマネしないで下さいね。ちなみに、スパークリングワインを抜栓する時は、音がなるべくしないように、プシュと抜くのがスマートです。その時の音は「天使のため息」と言います。ホームパーティーなどでは、お祝い事で飲まれることが多いので、豪快にポンッとやっても良いですね。
▼甘辛は砂糖の添加量によって決まる
滓引きをして栓をする際で、砂糖の添加されたリキュール(ワイン)を目減り分足します。砂糖の添加量により、甘辛が決定します。補充するリキュールは「門出のリキュール」、砂糖を添加することを「ドサージュ」と呼んでいます。味わいをいとも簡単にコントロールできるので人為的な飲み物ですね。砂糖の添加をしないスパークリングワインは、下記の用語をラベルに記載します。
・ドサージュ ゼロ Dosage zero
・パ ドゼ Pas dose
・ブリュット ナチュール Brut nature
▼グラス1杯の泡の数は220万!
グラス1杯(100ml)の中には約220万の泡が含まれています。6気圧のシャンパーニュだと100ml中に0.7ℓの炭酸ガスが溶けています。グラスの底から立ち上る泡が、連なって紐(コルドン)のように見えるのは、良いスパークリングです。余談ですが、冷やせば、泡は抜けにくくなります。泡を楽しみたいのなら、抜栓したらすぐにワインクーラーに入れるか、早く飲み切ってしまいましょう。早速、今夜から飲み会やデートで使ってみて下さいね。
イタリアのスプマンテとプロセッコの違いはご存知でしょうか。スパークリングワインという総称と限定地域での呼称ですが、イタリアの3気圧以上の泡は、スプマンテ、3気圧以下の微発泡はフリッツアンテ、瓶内2次発酵はフランチャコルタと言います。プロセッコは、ヴェネト州のグレーラというぶどうを使用したスパークリングワインです。つまり、スプマンテの中にプロセッコは含まれています。下記に各国のスパークリングワインの名称をまとめてみました。
▶︎スパークリングワイン(発泡性ワイン)
伊: スプマンテ(3気圧以上)
〈例 プロセッコ・ランブルスコ〉
仏: ヴァン ムスー(5〜6気圧)、
クレマン(3〜3.5気圧)
〈例 クレマンダルザス〉
西: エスプモーソ
独: シャウムヴァイン(3.5気圧)、
ゼクト(3.5気圧以上)
▶︎セミスパークリングワイン(微発泡性ワイン)
伊: フリッツアンテ(2.5気圧以下)
仏: ペティヤン(2.5気圧以下)
西: ヴィノ デ アグーハ
独: パールヴァイン(2.5気圧以下)
▶︎スパークリングワイン(瓶内2次発酵)
伊: フランチャコルタ(6気圧)、トレント
仏: シャンパーニュ(5気圧以上)
西: カヴァ(5〜6気圧)
独: ヴィンツァーゼクト(3.5気圧以上)
ドイツではシャンパーニュ方式という表示は禁止されているので、このように呼びます。Flaschebgarung nach dem Traditionellen Verfahren 瓶内2次発酵、やはりトラディショナルなのですね!
こう見ると瓶内2次発酵はガス圧が高いです。ヴィンツァーゼクト(3.5気圧以上)とありますが、シャルマ方式(タンク内2次発酵)のゼクトより圧が高いと思われます。1気圧は標高0mの地表で、1平方センチメートル(親指の爪ぐらい)に1�圓諒�体を乗せた圧力になります。瓶内2次の5気圧は親指の爪に5kg!大型車のタイヤ程度の圧力があります。
ここ数年、ペットナット(Pet-Nat)の人気が広がっています。ロワールの自然派の造り手が火付け役だったわけですが、今やブルゴーニュ、カリフォルニア、オーストラリアなどで造られています。もちろんスロヴェニアでも造られており、自社のKABAJも自信満々で飲んでみてと送ってくるぐらい、世界中で大流行しています!
ペットナットはペティアン ナチュレル(Petillant Naturel)の略称です。1990年代、ロワールのティエリー ピュズラや故クリスチャン ショサール(最初に「ペットナット」と称した人物)が、人為的介入を控えた自然なワイン造りで生まれた偶然の産物でした。
前年の秋に発酵を終えたワインは、春に気温が上がると、再び酵母の活動がスタートし、発酵を起こすことがあります。(酵母ヴァカンス)亜硫酸を添加しなければ、瓶詰後であっても、炭酸ガスが発生することがあるのです。かつては自然の産物でしたが、今は最初の目的からペットナットを造る生産者が多くなってきています。とは言っても、意図して泡を造るつもりではなかったけど、発泡してしまった、いわゆる失敗のケースもよく見受けられます。
ペットナットは、メトード リュラル(田舎方式)で造られます。アルコール一次発酵の途中で糖分を残した状態で瓶詰めします。残りの発酵を瓶内で継続するので、王冠やコルクで密閉することによって、炭酸ガスが閉じ込められます。そのためガス圧は低く(シャンパーニュ5気圧、ペットナット2.5気圧以下)、アルコール度数も上がらず、軽やかでフレッシュ、発酵を瓶内で終わらせるので滓で濁っていたり、ナチュラルな味わいだったり、ほのかに甘いものが多いです。(辛口もあります)王冠栓も多く、カジュアルなスタイルです。
この古典的な製法は、生産者が期待する残糖や気圧にならなかったり、瓶差が生じたり、還元率が高かったりもしますが、この流行はまだまだ続きそうです。
高級ワイン産地と言えば「シャンパーニュ」そう申しても過言ではありません。テイスターたちは往々にしてこのシャンパーニュに「焼き立てのパンのような香り」と表現することがあります。あの芳ばしい香りの正体は何でしょうか。
ワイン醸造で活発に働く酵母は、サッカロミ(マイ)セス/saccharomyces の一群です。パン酵母やビール酵母と同じ群です。パン香は樽も由来されているかもしれませんが、もっぱら酵母(イースト)の香りです。それらは二次発酵後の瓶内で、滓(おり)とワインが接触(=シュルリー)しながら熟成する工程に起因しています。シュルリーでの効果を期待するなら、最低でも18か月間の熟成期間が必要です。熟成期間が5年、あるいはもっと長くなると、長期熟成を視野に入れた長命ワインです。滓と過ごす年月も長いので、酵母のニュアンスも十分に感じられるシャンパーニュとなります。
熟成中の酵母は、自己消化を起こします。自己消化とは生物が自己の体内に保有する酵素により体の成分を分解することです(例: 熟成肉)。酵母は酸素と糖のある環境下で活発になります。酸欠状態になると発酵という低代謝状態になります。エサの糖が不足すると自己消化を起こし、自らの身体を食べはじめます。やがて細胞膜が破壊され死を迎えます。酵母が自己消化をしてアミノ酸に変わることを自己分解とも言います。
シャンパーニュのパン香は酵母が化学的に分解されることに由来し、
滓=酵母の死=旨味
と言う図式が描けます。滓と長く接触させ(=シュルリー)熟成させたワインは旨味も豊かです。また滓引きをしていない王冠栓の泡は、現在進行形でシュルリーの状態です。酵母の死後の役割については、素晴らしい効果があるのですが、それは別の機会でお話しましょう。
シャンパーニュの最大の魅力は、ずばり「泡」でしょう。泡立っていないスティルワインを造る工程(一次発酵)、そしてそのスティルワインから泡を造る工程(二次発酵)の計2回の発酵が行われます。二次発酵は瓶内での決まりですが、この際に酵母と24g/Lの砂糖と酵母の栄養分(恐らく追加で砂糖だと思います)が、スティルワインに添加されます。酵母が糖を食べることにより、アルコール度数は1.5%上昇し、約12gの二酸化炭素を生み出します。
そもそも泡は抜栓と同時に発生します。未開封ボトルは、まるでスティルワインのようにお行儀よく静かにしていますよね。ところがコルクを抜いた瞬間、出てくるわ、出てくるわ。一体あの泡軍団はどこからどうやって現れたのか、何もないところからいきなり鳩が出てくるようなマジックの世界です。実に気になりますよね。
マジックにタネも仕掛けもないわけがありません。泡が出てくるトリック(科学)も、私たちの目には見えないミクロの世界でそれは起こっているのです。コルクと液面の間に存在する気体は「二酸化炭素・CO2」です。抜栓前、このスペースは、おおよそ6気圧あります。この圧力は大型車のタイヤ、または水深50m潜った時に受ける圧に相当します。
この2つは平衡状態を保つために、ボトルネックと同じ6気圧分の二酸化炭素がワインに溶解、つまりシャンパーニュ内に溶け込んでいます。ところが、ひとたび栓を抜くと、その均衡が崩れ、ワインは溶け込んでいた二酸化炭素を気体として出しはじめます。グラスに注がれた100mlのシャンパーニュが均衡を取り戻すには、約0.7L分の二酸化炭素が気体として放出されます。泡粒の数で1100万個です。
泡はどこからどうやって現れたのかの答えは、抜栓後に二酸化炭素分子の均衡が崩れ、その均衡を保つためシャンパーニュの液体に溶解されていた二酸化炭素が、大気中に放出されたためです。
かつて、フランス語を勉強しはじめた際、名詞に「性」があることで戸惑ったことを覚えています。英語には存在しない「男性名詞」と「女性名詞」がフランス語、ドイツ語、スペイン語にはあるのです。面白いことに “champagne” は、男性名詞になるか女性名詞になるかで、意味合いが変わってきます。
【男】le champagne シャンパーニュ
【女】la champagne シャンパーニュ地方
つまり、男性名詞だとスパークリングワインのシャンパーニュのことで、女性名詞だとその地方名を指します。シャンパーニュの意味合いはジェンダーで異なると言うお話しでした。
シャンパーニュに溶解している二酸化炭素が、大気中に放出されるには2通りあります。ひとつは抜栓後にも見られる�)△寮言�、もうひとつはシャンパーニュの��液面から出されます。
A �)△寮言�
B ��液面
C �´△�同量
正解はBの��液面です。80%が液面、残りの20%は泡から放たれます。早く均衡状態に戻したいのですから、泡でこざかしく放出するより、大気と接してる面から一気に蒸発させた方が効率がよいのです。
余談ですがグラスから立ち上る泡の煌めきはロマンチックですよね。ところが�)△糧�生は、グラス内壁に付着しているチリなどから発生します。チリなどの繊維内部の空洞に二酸化炭素が集まり、どんどん巨大化し、ついにチリから離れてフルートグラスの中を上昇していくのです。キラキラと美しい泡の秘密は、実はここにあります。
6気圧のシャンパーニュの場合、グラス100ml中に0.7Lの二酸化炭素が溶けている、というお話は前述しました。グラスの底から立ち上る泡は、コルドン(仏 cordon)紐と言います。液面に首飾りのように連なる泡粒は、コルレット(仏 collette)と言います。審美的観点からきめ細かい泡は高評価されてきましたが、その一方で、泡粒の細かさと品質を関連付ける科学的根拠はないとも言われてきました。
最近のジェラール リジェ べレールの研究では、泡粒は小さければ良いというものでもなく、直径3.4mmのサイズの泡が最も空気中に芳香性を放つと発表しています。泡の大きさを左右するひとつにシャンパーニュの粘性が挙げられます。粘性が高いと大きく、低いと小さくなる傾向があります。
シャンパーニュから立ち上る泡は、グラス内の僅か10cmの旅路で、直径10μm(マイクロメートル=0.01mm)から、100倍の大きさの1mmに成長します。
泡となって上昇する際、シャンパーニュには過剰に二酸化炭素が溶け込んでいるため、泡の表面から内部へどんどん気化して大きくなります。シャンパーニュに溶解している二酸化炭素の総量が、例えば古酒のように経年と共に抜けているのであれば、泡粒は小さく成長率も低いです。
つまり、二酸化炭素の溶解量が多い若いワインは、時間の経過した古酒とは異なり、泡粒のサイズも成長率も大きいと言うことになります。
「古酒は小粒で、ゆっくり、長く、発泡が持続」
シャンパーニュの粘性が高いと、泡のサイズは大きく成長し、また強度があるとお伝えしました。シャンパーニュには様々な有機化合物(酸、フェノール、タンパク質、糖など)が含まれており、その分子には親水基(水に溶ける部分)と疎水基(水に溶けない部分)があり、これらを界面活性剤と呼びます。泡の内側に疎水基、円球を取り囲むように外側に親水基が配置されます。界面活性剤が泡の表面を膜で覆うことで強固になります。
往々にして、通がワインをスワリングする姿を見受けます。いわゆるグラスをぐるぐる回す、アレです。
▼空気接触7つの効果
�,屬匹ν獲茲硫娘孫瓠並莪譽▲蹈沺砲�上がる
�⊂�造由来の香り(第二アロマ)が下がる
��ワインの複雑性が高まる
�っ�香が強まる
�ゥ織鵐縫麥未吠儔修覆�渋味がまろやかになる
�μ�わいが広がり、ふくよかさが強調され、全体のバランスが取れる
�Т垳気留洞舛�弱まる
しかし、全てのワインを空気接触すれば良いのかと言うとそうではありません。繊細な白ワインや冷涼産地のシャンパーニュは、香りが飛びやすいのです。そもそもシャンパーニュは泡である以上、スワリングは不要なのです。何故なら泡が味や香りを伝える媒介物の役割を果たしてくれるからです。
今でこそ名だたる高級ワイン産地として不動の地位を築いていますが、その昔はそうでなかった時代もありました。1500年頃まではシャンパーニュは現在のように発泡していないスティルワインでした。ところが寒冷な気候の中で、春になると再発酵し、自然の産物として泡が生まれました。しかし当時パリでは発泡性ワインは不人気で、「不良品」とも見なされていました。
その後、英国やフランス上流階級の間で泡が流行し、ベルサイユ宮殿でもファッショナブルな存在へと格上げされました。やがて大手メゾンは、アッサンブラージュ、リザーブワイン、広告宣伝、海外市場戦略を通じて、「シャンパーニュ」という名前そのものを強いブランドへ育てていきました。
上流階級で流行して認められたのがきっかけ
原産地呼称「シャンパーニュ」がブランド価値
大手メゾンの権力とブランド力を駆使
巨額のコストを投じPR&ブランディング
出荷数をコントロール
■参考文献
シャンパン泡の科学 ジェラール リジェ べレール
Uncorked: The Science of Champagne Gérard Liger-Belair



