大葉、みょうが、青ネギ。バジルやミントも。香りが抜ける心地よさ。ワインを飲むのが気持ちいい季節です。
ハーブによって料理はそう大きく変わりません。けれど立ち上がる香り、口の中での広がり、食後に残る余韻が、いつもの一皿を満足のいくものにしてくれます。
ワインも同様に、立ち香、料理へのなじみ方、飲み終えた後の印象へと続きます。このページでは、初夏の食卓をそんな「香りの流れ」から楽しんでみます。
料理を派手に変えず、インプレッションを明るくしてくれる力が、ハーブにはあります。変えているのは、香りの立ち方と余韻です。そしてそれは、ワインを飲むときに感じていることと、よく似ています。香りがどう立ち上がり、どう抜けていくか。その流れこそが、印象を作っています。

ミント、バジルのように、口に入る前から感じる香り。ワインでいうと、グラスに注いだ瞬間に広がるアロマです。初夏らしさを最初のひと口で感じさせてくれるのは、この立ち上がりの美しさにかかっています。

タイムのようなハーブは、前に出すぎず、全体を整える香り。華やかではないけれど、あると心地よい。ワインでいうと、果実味と酸のバランスです。

ローズマリーのような香りは、飲み込んだあとに続く香りです。料理にボディを与えます。ワインでいうと、余韻やタンニンの役割に近いです。

大葉(シソ)は、ただの薬味ではありません。外国人にも絶大な人気を誇る、ジャパニーズハーブです。筆者の知り合いの外国人は、日本で食べた大葉が忘れられないと、種を持ち帰り庭先で育てています。世界からすると、とてもユニークで魅力的な香りを持っている、他に類を見ないハーブなのでしょう。
刻んだ瞬間に立ち上がる爽やかさ、口の中で広がるやさしい青さ、そして軽やかな余韻。この流れも、ワインの香りの変化とよく似ています。

面白いのは、大葉が“和”だけの香りではないこと。ミントやバジルのような清涼感、ハーブの青さもありながら、料理との親和性もある。
だから、冷ややっこや薬味たっぷりの一皿だけでなく、オリーブオイル、柑橘、チーズ、魚介とも合います。冷えた白ワインを筆頭に、軽やかなオレンジワインやロゼワイン、泡とも相性のよい、夏の主役ハーブです。
オレンジワインの基本や楽しみ方をもう少し知りたい方は、 オレンジワイン完全ガイドでも詳しく紹介しています。
料理のファーストインプレッションが大葉なら、みょうがや青ネギは、立体的な奥行きを与える存在です。香りを少し意識すると、その後のワインの印象は深いものになります。
香りを一瞬で広げて消す。料理に“抜け”を作ります。酸味のある白や、ライトなオレンジワインと合わせると、後味がすっきり整います。
全体を引き締める、細い線のような香り。少量でも料理を引き立てるのが上手な薬味です。入れすぎるとワインとぶつかるので、効かせ過ぎないくらいが良いです。
香りの役割ごとに選びました。大葉やみょうがのような抜けのある料理に寄り添うもの、タイムやドライハーブのように重なりを作るもの、やわらかく包み込むもの。迷ったら、合わせたい料理の香りに近い一本から選んでみてください。
大葉・みょうがに
辛口オレンジワイン
ミントやレモンバームのような爽やかなハーブ感。
大葉の青さ、みょうがの抜けと重なりやすく、初夏の冷たい一皿にも軽やかに寄り添います。
タイム・青ネギ・パクチーに
辛口オレンジワイン
タイムやドライハーブ、ほのかなスパイスが重なり、熟した果実や旨みに奥行きを与える一本。
和ハーブ・パクチーの個性も受け止めます。

パクチーは“個性”が強いハーブです。爽やかさの中に土のニュアンス。軽やかなハーブとは違い、独特のクセを持っています。
だからこそ、すっきりキレイな白よりも、少し複雑なワインの方が合いやすい。柑橘、オイル、鶏肉、スパイス。そんな要素と一緒に合わせると、香りが喧嘩せずまとまります。
万人ウケはしませんが、クセになる組み合わせ。そんなパクチー×ワインは番外編として、ペアリングの切り札にどうぞ。

スロベニアの食卓でも、さりげなく添えられているハーブ。和ハーブ、洋ハーブで料理とワインを繋ぐ。そして、ときにパクチーで冒険してみる。香りの立ち上がり、広がり、余韻。初夏の食卓では、味の強さではなく、香りの時間軸で合わせるとしっくりきます。少しのハーブが、いつもの一皿と一杯を、ぐっと良くしてくれます。
365wineにも、そんな肩の力の抜けた心地よいワインがあります。初夏のテーブルでお楽しみ下さい。



