スロべニアは日本と同じように雪が積もる国です。寒さは北海道や東北を思わせ、アルプスの裾野には豪雪地帯もあります。この時期、外は冷え込み、日照時間は短く、薄暗い天候が続きます。それでもこの国では、「辛く厳しい季節」として冬を過ごしているようには見えませんでした。
各家庭には暖炉があり、薪がくべられ、炎がパチパチと音を立てる。外では、寒さなど気にしない様子で子どもたちが遊んでいます。スキーをはじめとするウィンタースポーツも盛んで、最近は国際大会の結果でも「1位 スロべニア」という文字を目にすることが増えました。寒さとともに生きるのが、生活の一部なのだと感じます。

スロべニア人は、季節を問わずスープが大好きです。レストランでは序盤に登場し、コース料理ではスープが2回出てくることもあります。食卓にも自然と並びます。
雑穀のスープ、ビーフスープ、きのこのスープ。ザワークラウトの酸っぱいスープや、豆のスープ、グラーシュやリチェットもよく食べられます。 驚くのは、その量。本当に大きな器に、並々と注がれて出てきます。のんびりと湯気を眺めているだけで、体の力がふっと抜ける。お腹だけでなく、気持ちまで満たされるのがスープです。

私がはじめてスロべニアを訪れたのも、ちょうどこの季節でした。クロアチアのザグレブからバスに揺られ、陸路で国境を越えます。寒くて、曇っている冬の日。「東欧ってどんなところだろう?」ただそれだけの好奇心で動いていた時代です。
滞在中にふらっと立ち寄ったオーガニック食品店で、何気なくワインを一本買いました。今では選ばないような赤ワインです。特別な理由はありません。ただ、その夜に飲んでみたら、とても美味しかった。でも、バックラベルはスロべニア語。何が書いてあるのか、さっぱり読めません。宿のフロントで「これ、何て書いてあるの?」と聞いてみました。
その数日後、私はそのワインの生産者を訪ねていました。アポイントを取り、畑やセラーを見せてもらい、話を聞く。 当時、フランスでの滞在も終わりが見えていて、帰国後はワインに携わる仕事をしたい、できれば自分の手で何かをはじめたい。そんな考えが、まだ言葉にならないまま、心の奥にありました。
寒い冬。外に出たくない日。暖かい家の中で熱々のスープを食べる。テーブルにはワインが置いてあります。主役ではなく当たり前に。スロべニアのシーズンは、そんなふうに過ぎていきます。冬を無理に楽しもうとしなくてもいい。今の時間を、そのまま受け入れる自然体な暮らし方・・・・。

そういえば、宿のオーナーに、「ハッピーバレンタイン!」と言われ、真っ赤なカーネーションを渡されました。男性からお花を貰って、嬉しくない女性はおりません!初めての知らない国でしたが、「スロべニアの冬はあたたかい」と今でも記憶に刻まれています。
Lepo bodite.
どうぞ健やかにお過ごしください。



