最近、ワイン業界では、ボトルを開けずに中身を判別する研究が進んでいます。
近赤外線、つまりNIRと呼ばれる光を使い、ガラス越しにワインの成分の違いを読み取り、銘柄やタイプを識別しようという試みです。
まだ研究段階ではありますが、未開栓のボトルのまま中身を調べられるようになれば、偽ワインの抑止にもつながるのではないかと期待されています。

実際、ワインの世界では、これまでにも大きな偽造事件が起きています。
そのひとつが、アメリカで摘発されたルディ・クルニアワンによる高級ワインの偽造事件です。 彼は、希少で高額なワインを装った偽ボトルを製造・販売したとして有罪となり、後に10年の刑を受けました。
報道や捜査資料では、安価なワインを混ぜ、古いボトルや偽造ラベルなどを使って、名だたる高級ワインに見せかけていたとされています。 ロマネ・コンティ、シュヴァル・ブラン、アンリ・ジャイエといった名前が関わるような古酒の世界では、ラベルや外観だけでは判断しにくい問題が現実に起きていました。
またヨーロッパでも、産地や格付けを偽って販売されたワインが摘発されるケースがあります。 いずれも共通しているのは、見た目だけでは中身を完全には判断できないということです。

つまりワインは、“信頼で成立している飲み物”です。
特に注意が必要なのが、非対面での購入、いわゆるネットショッピングです。
実物を確認できないため、情報のほとんどが「文章」と「画像」に頼ることになります。 便利な一方で、人を介さない点と、購入前に現物を手にする手段がないという点では、より“信頼”に依存した選び方になります。
では、私たちは何を手がかりに選べばいいのでしょうか。 いくつか、見ておきたいポイントがあります。
■ 出所がはっきりしているか
どこから来たのか。輸入元や販売元の情報が明確か。
■ 保管状態が想像できるか
直射日光や高温を避けているか。適切に扱われているか。
■ 価格に違和感はないか
極端に安い、または不自然に高くないか。
そして最後は、自分で飲んで判断すること。 どれだけ情報があっても、最終的にそのワインと向き合うのは自分自身です。
とは言っても、偽物が出回るほど高価なワインであれば、飲んで発覚するのではなく、購入前に見抜きたいところです。
見えないものを、どう選ぶか。 横行する偽ワインに対抗する科学の力。 そして、それでも最後に残る「信頼」。
その両方を考えさせられる、今のワインの一面かもしれません。




