卵を染める。草花で。玉ねぎで。
ときには、ワインで。
染めて、飾って、最後はおいしく。
卵料理と、春のワインで。

ヨーロッパでは、春の訪れと“再生”を祝う季節の行事として親しまれています。卵は「新しい命」の象徴。家族で食卓を囲み、春の色や料理を楽しむ日でもあります。
スロベニアのイースターエッグは単なる「色付け卵」の枠を超え、もはや伝統工芸の域に達しています。地域ごとに独自のスタイルがあるのが特徴です。
黒い背景に赤と白で描かれた幾何学模様や花の刺繍のようなデザイン。溶かした蜜蝋で模様を描く、150年以上続く伝統的な技法です。

卵を染めた後、鋭い針で表面を削って模様を浮かび上がらせる技法。細い線で描かれる繊細な装飾が特徴です。


赤玉ねぎの皮や草花を使って卵を染める、素朴な手法も今なお愛されています。庭や台所にあるものから色を頂く、春の手仕事です。
使う素材により、卵の色合いも変わります。

赤ワインのテランで卵を染めるのも人気があり、小さな粒子が輝く、濃い紫色になります。ワインの種類によって、卵のカラーバリエーションにも違いが出ます。

※表面が煌めいて見えることがありますが、色素の沈着と、卵殻の凹凸による光の反射で生まれるものです。
スロベニアのイースター前、台所には大きなバスケットが用意されます。そこに食べ物を詰めるのも楽しみのうち。
卵、ハム、焼きたてのパン、ホースラディッシュ、ポティッツアなどの甘いお菓子。どんどんカゴに集まり、賑やかになっていきます。

“春の味”をひとつにまとめ、家族のテーブルへ。そんなあたたかな習慣です。
卵は、飾って終わりではありません。イースターの日には、食後に卵を使った小さなゲームがはじまります。ころがしたり、ぶつけ合ったり。大人も子どもも夢中になり、庭先や広場に笑い声が広がります。
遠くからコインを投げ、卵に突き刺さるかどうかを競う、技と運のゲーム。

木の板や棒を使ってゆるやかな斜面を作り、卵を転がし、他の卵に当てる遊び。

イースターの主役は卵です。春の食卓で作りやすく、気軽に楽しめる卵料理をいくつかご紹介しましょう。

材料:ゆで卵、ディルやパセリなどのハーブ、ヨーグルト少量、塩、こしょう。お好みで刻んだハム。
作り方:卵を粗く刻み、ハーブとヨーグルトを加えて和えるだけ。ハムを加えると、ほどよい塩気とうまみが出て、よりスロベニアらしい味わいになります。

材料:ゆで卵、ホースラディッシュ、オリーブオイル、塩。
作り方:刻んだ卵にホースラディッシュとオリーブオイルを合わせ、軽く塩で整えます。パンにのせても、そのままディップしても楽しめます。
ポイント:ホースラディッシュは西洋わさびとも呼ばれる根菜で、爽やかな辛味が特徴。スロベニアではイースターの食卓に欠かせず、卵やハムと合わせて食べられます。日本では生のホースラディッシュが手に入りにくいので、チューブの西洋わさびやローストビーフ用のホースラディッシュソースで代用できます。

材料:半熟卵、アスパラ、菜の花、豆類などの春野菜、オリーブオイル、塩。
作り方:春野菜をそれぞれ茹でるか焼き、半熟卵を添えて盛り付けます。(目玉焼き・ゆで卵でOK)黄身をくずしてソースのようにからめると、野菜のほろ苦さや甘みがや優しくまとまります。
春の卵料理には、心浮き立つ軽やかなワインがぴったり。程よく酸があるフレッシュな白、柔らかなロゼ、優しいスパークリング。オレンジワインなら、しっとり爽やかなタイプをどうぞ。




