猛暑が続く季節。 こんな暑い日は、よく冷えた白ワインやスパークリングワインが、いつにも増して美味しく感じられます。
だけど、好きなものだからこそ、無理なく楽しみたいもの。 「少しのワインなら、体によい」。 酒飲みが待ち望んでいた答えは、果たして出たのでしょうか。

2018年、医学誌 The Lancet に、世界195ヶ国・地域を対象とした研究が掲載されました。 この研究は、がんやけがを含む飲酒による健康への影響を総合し、「健康への害を最小にする飲酒量はゼロ」と結論づけました。
「酒は百薬の長」ではなかったのか。 ワインラバーは、少し肩を落としたかもしれません。
それから8年。 2026年7月、学術誌 Scandinavian Journal of Public Health に、少量のワインを飲む人は、飲まない人より死亡率が低かったとする研究が発表されました。
ノルウェーの約18万7千人を平均21年間追跡したもので、14日間に1〜9杯のアルコールを飲んでいた人は、飲まない人より、あらゆる原因による死亡率が低いという結果でした。 なかでも、その差が目立ったのが、ワインを飲んでいたグループです。
「やはり、少しのワインは体によい」。 そう言いたくなります。
けれど、この研究で「ワインを飲めば健康になる」と証明されたわけではありません。 飲酒量を調べたのは、調査開始時の一度だけです。 グラスの大きさも分かりません。 飲まない人の中には、体調を崩して飲酒をやめた人も含まれていたかもしれません。 さらに食生活については、詳しく扱われていません。
つまり、この研究から言えるのは、少量のワインを飲んでいた人たちの死亡率が、飲まなかった人たちより低かったということ。 ワインを飲んだことが、その差を生んだとは断言できません。
今回の論文によって、2018年の結論が覆されたわけでもありません。 この2つの研究は、同じ問いに「○」と「×」で答えたものではなく、そもそも調べた内容も方法も違うのです。
今回の結果だけを切り取り、「ワインは体によい」と書けば、売り手には都合のよい話です。 しかし、私たちはそうは言いません。
ワインは、健康のために飲むものではありません。また、健康を無視して飲むものでもありません。
厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、飲む量をあらかじめ決めること、食事をとること、水をはさみながらゆっくり飲むこと、飲まない日を設けることなどが示されています。
飲まない人には、無理にすすめない。 飲む人は、自分に合った量と飲み方を選ぶ。
「体によいから」ではなく、「好きだから」。 好きなものと長く付き合うために、少しでもリスクを減らす。 今後、新しい研究が発表されても、よいこともそうでないことも、包み隠さず正直にお伝えできればと思っています。
お盆休みに飲む方も、休肝日の方も。 どうぞ、それぞれの心地よい夜をお過ごしください。

好きなものと長く付き合うために、
今日の一杯も、自分のペースで。



